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ノートが売れ行き好調の陰に、販売現場は「新型車欲しい」 登録車はトヨタに次ぐ2位も国内販売は5位の日産

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ノートが売れ行き好調の陰に、販売現場は「新型車欲しい」 登録車はトヨタに次ぐ2位も国内販売は5位の日産

■総台数ランキングに大きな影響を与える軽の存在

 日産「ノート」のCMは誇らしげです。『2018年上半期、最も売れている登録車』とナレーションが入ります。登録車とは小型/普通車のことで(軽自動車は届出車とも呼ばれます)、ノートは2018年1月から6月の販売1位になりました。現行ノートの発売は、2012年ですが、2016年にハイブリッドのe-POWERを加えて、売れ行きに弾みが付いたのです。

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 一方、トヨタのアクアは2011年の発売とあって売れ行きが下がり気味で、プリウスもフロントマスクが不評なこともあって伸び悩んでいます。ライバル車の不振も追い風に、ノートが登録車の1位になりました。

 そして、登録車のメーカー別販売ランキングでも、日産はトヨタに次ぐ2位です。それなのに軽自動車まで含めた国内販売総台数になると、いきなり5位に沈んでしまいます。

 直近の、2018年度上半期(2018年4月から9月)速報値で見た場合、登録台数の1位となるトヨタは、69万8542台を登録。2位は日産ですが、19万9494台に下がります。1位と2位との間には、約50万台もの違いがあるのです。登録台数で、3位のホンダは17万2475台、4位のマツダは8万1852台ですから、日産はさほど優位ではありません。

 そして、総台数ランキングに大きな影響を与えるのが軽自動車の届出台数です。2018年度の上半期には、スズキが28万4174台、ダイハツが28万2109台、ホンダが17万3943台を届け出しており、日産は8万5156台です。

 以上の登録車と軽自動車の台数を合計すると、2018年度上半期は、1位がトヨタ、2位はスズキ、3位はホンダ、4位はダイハツ、5位が日産になります。

 この内、2位から5位は僅差で、月別台数を見るとホンダが2位に繰り上がり、日産が4位に入ることもあります。それでもおおむね上記の台数で、日産が総台数で3位以上になることはほとんどありません。

 過去の販売ランキングを振り返ると、2000年代の前半まで、日産は安定的に2位でした。日産は業績を悪化させて1999年にルノーと資本提携を結びますが、2000年代にもティーダ(2004年)、2代目キューブ(2002年)、3代目マーチ(2002年)などが相応に売れていたからです。

■2年に1車種しか国内に新型車を発売していない日産

 しかし2005年以降は、新型車の発売が次第に滞り、特にスズキ/ダイハツ/ホンダが軽自動車の売れ行きを伸ばした結果、日産の順位が下がり始めました。

 軽自動車の新車販売比率は、1980年頃は約20%でしたが、1998年に現在の規格が導入されて30%に増えます。そこからさらに増加して今は36%になり、この過程で日産はランキング順位を下げました。日産も軽自動車を用意していますが、他メーカーはそれ以上の売れ行きになるからです。

 またホンダは、先に述べたように登録車の台数も多く、軽自動車メーカーといわれたスズキも、今では登録車が約19%を占めます。

 各メーカーの販売比率を増やしているのは新型車で、ホンダは軽自動車のN-BOX、スズキではスペーシアのような軽自動車と併せて、スイフトやソリオなどの小型車が充実してきました。

 このように、活発な商品投入が見られるなかでも、日産はほとんど国内に新型車を発売していません。直近で見ると2014年にデイズルークス、2015年は改良やグレード追加のみです。2016年にセレナ、2017年にリーフで、2018年はありません。つまり2年に1車種くらいですから、差を付けられて当然です。

 日産の考え方では、世界の市場を公平に見た場合、日本は成熟市場で将来性が高いとはいえません。そこで新型車と売れ筋車種の台数を抑え、その代わりにe-POWERを投入するなど1車種当たりの売れ行きを伸ばす方針を取っています。

 例えば小型車であれば、キューブやマーチは設計が古く、緊急自動ブレーキも装着されません。ティーダ、ラティオ、ウイングロードなどは生産を終えました。コンパクトカーはノートのみに特化して、e-POWER、スポーティなNISMO、SUV風のCギアとバリエーションを充実させています。

 同様にミドルサイズは、ミニバンのセレナと売れ行きが下がり気味ですがSUVのエクストレイル。軽自動車のデイズとデイズルークス程度で、残りは電気自動車のリーフになります。

 上記以外の車種は、販売に力を入れません。2017年におけるスカイラインの売れ行きは、1973年(4代目/通称ケンメリ)のわずか2%でした。45年前のスカイラインは月販平均が1万3133台でしたから、今の「最も売れている登録車」のノートを上まわっていたのです。

■「新型車欲しい…」販売現場の悲痛な声

 日産の販売店は、もはや呆れ返っています。「今の海外で販売されるマイクラやティーダは、3ナンバーサイズのハッチバックです。5ナンバー車に比べると売りにくいですが、国内に導入されればしっかりと販売します。特にティーダやキューブのお客様は、ノートでは物足りないと感じています。その意味でノートe-POWERは満足感が高く、ティーダ、キューブ、5ナンバー車だったブルーバードシルフィからの乗り替えも多いですが、すべてのお客様をフォローできるわけではありません。

 やはり新型車が欲しいです。スカイラインのクーペも、海外仕様(インフィニティQ60)を導入すれば、スグに購入するというお客様がおられます。それなのに放置されていますから、メルセデス・ベンツやBMWに乗り替えられてしまっています」(日産の販売店セールスマン)

 目先の利益を追求すれば、国内市場に多額の投資をするのは効率が悪いでしょう。しかし日本の自動車メーカーが日本を大切にしないのは、海外のユーザーから見た時のイメージも良くないと思われます。

 日産の商品企画担当者からも「今はインターネットが発達しているから、海外のお客様も日本で売られている日産車について詳しいです。日本で買えない日産車を敬遠するお客様もおられます」という声が聞かれます。

 また、海外向けの日産車を開発するのも、日本のエンジニアです。日本で日産が魅力を失うと、社員の人材確保に影響が生じることも考えられるでしょう。自動車は、今後も基幹産業であり続けますから、意欲的な人材を集めることが経済面からも重要になります。今一度、国内に目を向けて日本のための日本車を出してほしいものです。

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