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業界ニュース 2018.10.5

安定した走りでグイグイと加速!フォルクスワーゲン・ゴルフトゥーランTDI試乗記

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2003年秋に登場した初代以来、いささか地味な印象を持たれながらも日本市場において着実に地位固めをしてきたゴルフトゥーランは、その名のとおりゴルフをベースとし、3列7人乗りのシートレイアウトが与えられたコンパクトMPV。二代目に当たる現行モデルの日本導入は2016年1月で、これまでは1.4リッターのTSIガソリンターボのみがラインナップされていた。文・武田公実写真・YoshiDazai

グイグイと加速させる

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そんな状況のもと、日本で購入できる数少ないディーゼルミニバンの一つとなるべく登場したゴルフトゥーランTDIは、国内同時デビューとなったティグアンTDIと同様「EA288」と名づけられた最新世代のクリーンディーゼルを搭載する。
これは低圧/高圧のEGR(排気ガス還流システム)に酸化触媒、SCR(尿素式選択還元触媒)、DPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)という当代最新のテクノロジーを併用することで、世界でも最も厳しいとされている日本の「ポスト新長期排ガス規制」をクリアしたもの。
総排気量1,968ccの直列4気筒直噴ターボディーゼルは、1.4リッターTSIガソリンエンジンと同じ150ps(110kW)の最高出力と、TSIを大きく上回る340Nm(34.7kgm)の最大トルクを発生する。

そしてこのエンジンに組み合わされるトランスミッションは、TSIモデルと同じくすべてDSG。ティグアンTDIが7速であるのに対して、ゴルフトゥーランTDIは6速と、スペックの上では劣るかに思われよう。
しかし実際に走らせてみると、太い低・中速トルクを身上とするターボディーゼルのおかげで、市街地のドライブでは1,630kgというけっこうな重さであるはずの車体をグイグイと加速させる。
DSGの身上であるダイレクトな変速フィールで野太いトルクのディーゼルエンジンを操るという行為は、スポーツカー的な快楽とは対極にありながらも、これはこれで実に楽しい。
加えて、今回は試乗時間が限られていたために試す余裕は無かったのだが、例えば高速道路をクルージングさせる際にも心地よいフィーリングが味わえるであろうことは容易に想像がつく。

またティグアンTDIと同じく、アイドリング時やアクセルを深めに踏み込んだ際にはディーゼル特有のカラカラ音が聴こえてくるものの、一旦クルージングスピードに乗ってしまえば非常に静か。
こちらもエンジンの回転数を上げることなくトルクを発生するディーゼルの特質ゆえに、同じゴルフトゥーランのガソリンTSIモデルをも凌ぐのでは?と思われる静粛性を披露してくれるのだ。


安定感と快適な乗り心地

一方シャシー/ボディに関して言うなら、ガソリンTSIモデルとの差は皆無に等しい。
フォルクスワーゲン各モデルの基幹を成す「MQBプラットフォーム」上に構築された新型ゴルフトゥーランでは、ゴルフや新型ポロなどのMQBモデルと同様にシャシー性能が極めて優れていることも特筆すべきポイントであるのだが、その美風は同じ「ハイライン」仕様どうしの比較で70kg重くなるTDIでも、しっかり継承されているようだ。
背高で重心も高いミニバン型ボディのクルマでは、大げさに言うなら上屋と下半身が別々の挙動をしているかのごとき錯覚に陥ってしまうようなモデルもしばしば散見されるのだが、他方このゴルフトゥーランでは格段にソリッド。より剛性感に富んだ、安定したドライブフィールが満喫できる。

日本国内マーケットの常識においては、全長を4,535mmに抑えたことから3列目シートのスペースも限られること。あるいはスライド式リアドアを持たないことも、例えば小さなお子さんのいらっしゃるファミリーなどへの訴求力を損ねてしまっているのは事実だろう。
しかしスライドドアを必ずしも必要としないユーザー、あるいは大人数での移動の機会が多くないユーザーにとっては、この安定感と快適な乗り心地は補って余りあるもの。
もちろん価格は同クラスの国産コンパクトミニバンよりは高価になってしまうものの、魅力的な選択肢として念頭に置く価値は充分にあると思うのである。


まだまだディーゼルを諦めたくない

ところで、2015年の9月にアメリカで発覚したディーゼル排ガス不正問題、世にいう「ディーゼルゲート」の当事者となってしまったフォルクスワーゲン・グループだが、その道義的責任をまっとうしようとするかのように、内燃機関を念頭に入れたバイオ合成燃料の開発に努めているとのこと。
今年3月にはアウディから「e-ガソリン」の生産に成功したとのニュースがリリースされ、軽油に置き換えられる合成燃料「e-ディーゼル」の開発も鋭意進行中と言われている。

世に言う「EVシフト」が彼方に見えつつある現在にあっても、もしもバイオ燃料が本当に実用化するというならば、このゴルフトゥーランTDIのごとき実用車の本分を体現した魅力的なクルマが、今後も世界中で働き続けることが可能となるかもしれない。
そしてゴルフトゥーランTDIは「まだまだディーゼルを諦めたくない」という夢を想起させてくれる、秀逸にして愛すべき一台と実感したのである。

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