直噴エンジンの普及によりレギュラーでもノッキングを抑えられる
トヨタのクラウンハイブリッドに搭載される2.5リッター直列4気筒エンジン、新型になったスバル・フォレスターの2.5リッターボクサーエンジン、いずれも直噴エンジンだが使用燃料はレギュラーガソリンになっている。ひと昔前なら直噴エンジンであれば、燃費重視のユニットであってもハイオク仕様となっている印象が強かったが、いまや実用性を求められるエンジンはランニングコスト的に有利なレギュラーガソリン仕様となっていることが多い。
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そもそもハイオクガソリンというのは熱エネルギーが大きいわけではなく、異常燃焼とも呼ばれるノッキングを起こしづらいブレンドになっている燃料であり、ノッキングを起こしづらいということは点火時期を進められるということになる。
点火時期は4サイクルレシプロエンジンにおいてピストンが上死点にあるときにシリンダー内圧力を最大にするタイミングにすることが理想だが、そうした状態が続くと燃料室温度が高くなってしまいノッキングにつながる。そこで点火時期を遅らせて(リタードして)、ノッキングが起きないようにするのだが、そうなるとシリンダー内圧力のピークが上死点を過ぎてピストンが下がり始めてからになってしまい熱効率に悪影響を及ぼしてしまう。
直噴エンジンというのは、シリンダー内に燃料を正確に噴射できるだけでなく、燃料による気化熱によって燃焼室周りの温度を下げる効果が期待できるのも特徴。つまり燃焼室温度に由来するノッキングを防ぐことができる。そのため、かつては“ノッキングに強い”ハイオクでなければ実現できなかったような点火時期も、直噴化の普及によりレギュラーガソリン仕様のエンジンで可能になった。そのため、プレミアムクラスにおいてもレギュラーガソリン仕様が目立つようになってきたと感じる面はあるのだろう。
なお、レギュラーガソリン仕様でノッキングを避けるには圧縮比を下げることになりがちだが、前述したように直噴化による気化熱の利用で圧縮を高めることも可能になっている。一例を上げると、マツダ・アクセラの1.5リッターエンジンは、なんとレギュラーガソリン仕様ながら13.0をとなっているのは驚きだ。ターボエンジンでは、スバル・レヴォーグの1.6リッター水平対向エンジンが11.0という高い圧縮比を実現できているのは直噴化のおかげといえる。
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