■平成31年度税制改正には抜本的な改革が必要
経団連(一般社団法人・日本経済団体連合会)が2018年9月18日に発表した「平成31年度税制改正に関する提言」の中で、自動車関係諸税について触れています。
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提言の骨子は、自動車関係諸税の値下げです。日本の自動車関連の税金は、欧米に比べて高く、ユーザーは重い税金を負担してきました。経団連は、これを世界水準に抑える必要があると提言しています。
2018年6月に自工会(一般社団法人・日本自動車工業会)の新会長に就任したトヨタ社長である豊田章男氏も「自動車の税金はすべて軽自動車レベルにすべき、日本は米国の31倍。普通車も軽自動車に合わせれば、ようやく国際基準になります」と語っており、税負担の軽減という部分では経団連と足並みを揃えたようにもみえます。
国は消費税率が10%になった時点で自動車取得税を廃止するとしていますが、新たに「環境性能割」が導入されます。従って税金の数は減りません。消費増税分だけユーザーの税負担が増えます。
この点について経団連では、税負担を簡素化すべきだと主張しています。平成31年度税制改正には抜本的な改革が必要で、自動車税の税率を国際水準レベルとなる軽自動車税並に引き下げ、自動車重量税の「当分の間税率」(暫定税率廃止後の呼称)は廃止すべきだとしています。
また消費税が増税された時点では、取得時課税の負担軽減が必要だといいます。購入時の自動車税(小型/普通車)の月割り課税も廃止すべきで、自動車取得税と自動車重量税のエコカー減税、自動車税のグリーン化特例は、延長すべきだとしています。
以上が経団連の主張です。ユーザーの立場から見て納得できる部分もありますが、国への忖度、ユーザーの「所有」よりもメーカーの「販売」を優先する主張が多々見受けられます。
まず経団連が最も強く言及すべきは、初度登録から13年を超えた古い車両に対して、重い税金を課していることです。これは古い車両を仕方なく使う高齢者や、低所得者を苦しめる悪法ですが、経団連の提言では触れられていません。
これでは「経団連はユーザーのことを本当に考えているのか?」と疑われても仕方ないでしょう。なぜなら古い車両に対する重い税負担は、新車への乗り替えを促進させる制度だからです。この疑いを晴らすためにも、経団連は重課税を廃止する主張を行わねばなりません。
またエコカー減税やグリーン化特例の延長を求める主張も、表現を変えるべきです。エコカー減税やグリーン化特例の目的は、購入後の所有段階ではユーザーに高い税金を負担させながら、購入時だけは税金を安くしてクルマの販売に貢献することだからです。この延長を望んだだけでは、ユーザーのために税金の仕組みを変えることはできません。自動車関連の税体系を構築し直すことが求められています。
話を整理すると、ユーザーにとって重要なのは、クルマを購入した後、長い間にわたって納め続ける税金を安くすることです。そのためには自動車税の税額を引き下げ、元・道路特定財源とされる自動車重量税と燃料の課税を廃止して、悪法となる13年を超えた車両の重課税を撤廃することです。
■燃料の課税に触れないのは問題
経団連の提言では、燃料の課税に触れていないのも問題です。ガソリン1リットルには53.8円のガソリン税、2.8円の石油税、さらに消費税も上乗せされます。今はガソリンが高額で1リットル当たり平均150円とすると、そこから税金を差し引いたガソリン本体の価格はわずか82.29円です。
ディーゼルの軽油にも税金が含まれますが、ガソリンに比べると安いです。従って燃料本体の価格を比べると、常にガソリンよりも軽油の方が高額になり、価格は逆転してしまいます。
いずれにせよ、燃料に含まれる税金は、クルマを使う限り常に納めねばなりません。これも元・道路特定財源なので、撤廃を主張する必要があります。
このような購入後に何年間も納め続ける極端に高額な税負担を軽減できるなら、クルマを買う時は、少し高い税金を支払っても構わないと考えるユーザーも多いでしょう。そうなればクルマにお金を掛けられないユーザーは、安い中古車を買うことで(当然、購入時の税金も安い)、クルマ関連の出費を総合的に抑えられます。
今はそれが逆で、売れ筋車種の大半はエコカー減税に該当しますから、新車は比較的安く手に入ります。しかし所有する段階の税金が高いのです。特に燃料の課税は高額です。実用燃費が1L当たり10kmで、ガソリン価格が150円とすれば、1年間に1万kmを走ると15万円のガソリン代を負担します。この内の6万7710円が税金です。
経団連がこの点を指摘して、購入後の税額を安くする論調にならないのは、あくまでも業界寄りになるからでしょう。根底の部分では、国の税収を確保する忖度も働いていると判断されてしまいます。
購入時における自動車税の月割り課税を廃止すべきという主張も、クルマを売ることを優先した稚拙なものです。
仮に月割り課税を廃止すると、軽自動車税と同じように購入の翌年度からの課税になります。これでは税負担の不公平が生じます。3月に登録すれば翌年度(つまり翌月の4月)には納税通知が送られて自動車税を納めますが、4月に登録するとその翌年度(つまり1年後の4月)からの負担になり、約1年分の自動車税を節約できます。4.6リッターエンジンの「ランドクルーザー」などは、年額8万8000円と高額です。どの月に登録するかにより、自動車税の負担が大きく変わるのでは不公平でしょう。
そうなると4月の登録を希望するユーザーが増えるかも知れません。ただし、今度は販売会社が困ります。決算期に大幅な値引きをする目的は、3月内に登録を行なって決算に貢献できるためなので、4月登録では決算値引きの意味がなくなります。月割り課税を廃止して購入の翌年度からの納税にすると、税負担の公平性が失われ、販売現場も混乱します。経団連の主張とは思えません。
ちなみに、軽自動車税が月割り課税を行わずに購入の翌年度とした理由は、損失が生じるのを避けるためです。軽自動車税は乗用車の場合、今は年額1万800円ですが、以前は7200円でした。この税額で月割り課税を実施すると、税収以上に事務手続きの費用が高くなってしまいます。本来は公平を保つために月割りで徴収すべきですが、徴税が損失を招くから月割りを行っていないのです。
従って自動車税が軽自動車税並みに安くなれば月割りが廃止されますが、経団連がそこを前提にしているなら、あえて主張する必要はありません。経団連の主張では、自動車税は現状の税額で、なおかつ月割りを廃止しろと言っていますから、前述の不公平と販売店の困惑が生じます。
経団連の自動車の税金を安くしろという主張は、基本的には正しいですが、もっとユーザーの立場で自動車税制を考えていただきたいです。いろいろな人達の意見を聞くことも大切でしょう。月割り廃止の件などは、複数の人がチェックすれば指摘されて解決する課題です。もう少し慎重に取り組んで欲しいと思います。
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