■登録済み未使用車とはどんなクルマ?
クルマを購入しようと思ったとき、車種選びのほかにも新車、中古車などさまざまな購入方法も迷うところです。ピカピカのクルマを安心して乗りたいと思えば新車ですが、予算の点で厳しくなることも現実問題として存在します。
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ネット上で安くクルマを買う方法を検索してみると「登録済み未使用車は安い」という話がでてきます。どのくらい安いのか、本当にオトクなのか調べてみました。
登録済みなのに未使用という一見矛盾している言葉ですが、「登録済み未使用車」とは一体どんな存在なのか。なぜ、安く購入できるのかなど、登録済み未使用車を扱うアクティブコレクション代表取締役の長瀬隆史さんにお話を聞きました。
店舗に展示してあった、日産「ノート」はメーカー希望小売価格が約142万円のところが99.8万円のプライスタグが付いており、実際に安いことに間違いはないようです。
──「登録済み未使用車」とは、どんな車か教えてください。
言葉の通り、登録してあって誰も乗っていない車のことです。よく「展示や試乗に使った車でしょう」と言われることがありますが、そうではなく、新車同様に誰も使っていない車のことを指します。
──「登録してある」とはどういうことでしょうか。
国内で車に乗るためには、運輸支局でクルマを登録してナンバープレートを発行してもらう必要があります。これがないと公道を走ることができません。新車の場合、購入したオーナーの名義で登録しますが、登録済み未使用車の場合、まずは販売業者の名前で登録を行ないます。売り場に並ぶ時には登録が済んでいるので「登録済み」となるわけです。
──登録が済んでいるというだけで、何故安くなるのでしょうか。
車の販売業者は、ディーラーから車を大量に購入します。ディーラー側にとっては“年間を通して大量に購入してくれる顧客”ですから、車そのものを安く仕入れることができるのです。
■車種、価格、接客…安さの裏にさまざまな工夫
──人件費や家賃などもコストがかかると思うのですが、その点はどうでしょうか。
そうですね。在庫が増えれば店舗スペースを広げなければならず、利益率が下がります。そこで低価格を実現するためにさまざまな工夫が必要になります。
ひとつは販売車種を絞り込むこと。例えば、弊社で扱っているのは人気のコンパクトカーで、マツダならデミオ、日産ならノート、スズキだったらスイフトと、販売ランキング上位のクルマに絞っています。
また、接客で工夫をする場合もあります。『クルマを買うには交渉力が必要だ』と感じる人も多いのではないでしょうか。実際、買う人のキャラクターやコミュニケーション能力によって値引き率が大きく変わってしまうことも多いのです。
しかし、『安くして』と強気に出た人が得をして、弱気な人が値引きされないのは不公平です。ならば、最初から価格をギリギリまで下げて、こちらから『値引き交渉なし』の姿勢をとると、お客さまは交渉力なしに即決できます。販売店としても、駆け引き上手なベテラン営業を揃える必要がなくなりますから。
──ほかにも工夫している点はありますか。
さらなるコストカットのために、販売業者は運輸支局の指定工場になれるように努力しています。指定工場とは、運輸支局の代わりに車検を行うことができる工場のことです。
『民間車検場』などと呼ばれますが、この指定を受けていると車検を通す際に運輸支局を経由する必要がありません。ナンバープレートを取り付けるための封印許可も持っていますから、輸送コストはゼロ。納期までの時間短縮にも繋がります。
※ ※ ※
実は筆者(弓月ひろみ)も、登録済み未使用車を購入しました。新車を購入すると納車まで待たされることも多いと聞きますが、店舗にあったクルマを選んだため、納車まで1週間もかかりませんでした。販売店の名義で登録済みということでしたが、納車の際は当然ですが自分の名義に変更されていました。
ちなみに最近では、色・装備・グレードなどを新車とほぼ同様に注文できる店舗も存在します。車種がある程度決まっていて、すぐ欲しい、安く買いたいというニーズがある人なら「登録済み未使用車」も探してみるのもよいかもしれません。
ただし、扱いはあくまでも中古車になります。エコカー減税などは新車よりも不利になる場合もありますし、いわゆる「ワンオーナー」ではなくなります。それと、登録してから売れ残った期間が長いクルマの場合、その分メーカー保証の期間も短くなります。安く買えるという魅力の前では大きな問題ではないかもしれませんが、頭の片隅に入れておいてください。
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