デザインにこだわった国産初の市販モデルから警察にも導入されたノートンの名車まで
【スズキ・RE-5】
ハーキュレスが登場した1974年には、RE(ロータリーエンジン)バイクとしては国産初の市販モデルとなったスズキ『RE-5』もデビューを果たす。ロータリー・エンジンの搭載だけでなく、ベルトーネとギアで研鑽を重ねたジョルジェット・ジウジアーロが、イタルデザインを設立後にデザインを手掛けたことでも大いに注目を集めたものだった。なかでも円筒形のハウジングに収められたメーターユニットは特徴的。その形状から“茶筒”と呼ばれ話題を呼んでいたが、1年後のマイナーチェンジでは平凡な3連メーターに置き換えられてしまうことになる。ロータリー・エンジンに関しての豊富な収蔵車でしられたオートビジョンでは、3連メーターの後期モデルが展示されていただけだったが、やはりRE-5を語る上で“茶筒”は欠かせない。ということでスズキのお膝元、浜松市の高塚町にあるスズキ歴史館に収蔵されている前期モデルの写真も紹介しておこう。“茶筒”メーターが今でもなお斬新なデザインであることは、一目で理解できるはず。
なお、RE-5とは直接関係はないかもしれないが、当時のスズキの4輪車のエンブレムも紹介。例に出したのは1966年式「スズライトバン」のエンブレムだが、円の中に三角のデザインは数年後の、ロータリー・エンジンの登場を示唆しているように思えてならない。Suzuki RE5(1974) & Suzuki Suzulight Van Type FE(1966)
こちらはスズキのお膝元、浜松市高塚町にあるスズキ歴史館に収蔵されているスズキRE-5の前期モデル(輸出専用モデル)。1ローターの水冷エンジン。強制空冷のハーキュレスとは異なり、ローターは進行方向と同じ方向に(横置き)回転した。国産として初めてのREバイク、そして国産として唯一の市販REバイクとなったこと以上に、ジウジアーロがデザインしたことが話題を呼んだ。中でも“茶筒”と呼ばれたメーターハウジングはユニークさの塊だった。
もうひとつ注目は、当時のスズキ製自動車のエンブレム(カーバッジ)。写真は1966年式スズライト・バンに装着されているものだが、少し時代を経たフロンテ800にも、同様のものが装着されていた。どう見てもロータリー・エンジン(のローター)をイメージしたとしか思えないが、真相は不明だ。
Suzuki RE5(1975-76)
こちらはオートヴィジョン博物館に収蔵されているRE-5の後期モデル。やはりヴァンケル・エンジンの地元ということもあり、東洋の島国製のRE-5もポピュラーな存在で、例えば2010年に訪れたドイツで、シュパイヤー技術博物館には後期モデルが、カールスルーエ交通博物館には前期モデルが収蔵されていたことを思い出す。
【ノートン・インターポール2】
1904年に創立された老舗オートバイメーカーのハーキュレス製作所は、1966年にDKWに吸収された。しかし、DKWの親会社であるフィテル&ザックスが1960年に、ヴァンケル・エンジンの基本特許を持つNSUおよびWankelとライセンス契約を交わしていたことから、1974年に世界で初めてロータリー・エンジンを搭載したオートバイ=W2000をリリースしたたことは、【ロータリー・エンジン搭載車ヒストリー(2輪車・前編)】で紹介した通り。だが、やはり技術的な課題を完全にクリアすることは叶わず、数年で2000台弱を生産しただけに終わっている。プロジェクトがとん挫してしまったことで、そのロータリー・エンジンを供給していたフィテル&ザックスはロータリー・エンジン関連の開発生産機材を、単気筒の高性能オートバイで高い評価を得ていたイギリスのオートバイメーカー、ノートンに売却してしまった。
ノートンは、自ら2ローターのロータリー・エンジンを開発。まずは空冷ユニットを搭載した『インターポール2』を完成させ、警察などに納入していた。モデル最終期には空冷エンジンから水冷エンジンに乗せ換えた「インターポール2A」も僅かの台数が製作されたが、やがて後継モデルのコマンダーへと代替わりしていった。『インターポール2』では最後期モデルで試験的に水冷のロータリー・エンジンを搭載していたが、1988年に登場した『コマンダー』は、デビュー当初から水冷の2ローター/ロータリー・エンジンを採用。さらに警察などのフリートユーザーのみならず、一般ユーザーに向けた仕様もラインナップ。警察用機器とシングルシートを装着した前者は”P52″、タンデム一体のロングシートを持つ後者は”P53″のタイプネームが与えられた。
Norton Interpol 2 Polizei-Motorrad(1983-88)
これもオートヴィジョン博物館の収蔵車両。世界初のREバイクを登場させたハーキュレスの親会社、フィテル&ザックスがヴァンケル・エンジンの生産・開発を中止し、その関連設備を購入したノートンが、警察関係などフリートユーザー向けにリリースしていたインターポール2。不思議なもので、警察用車両というのは細かなデザインも、洋の東西をも超え、一種独特の凄味が出てくる、というのはある意味強迫観念かもしれないが…。
Norton F1 Rotary John Player Special Roadracer(1990-93)
そのノートンがスーパーバイク用のレーサーをベースに、レーサーレプリカのロードスポーツとして登場させたモデルがF1ロータリーのジョン・プレイヤー・スペシャル。かつてはロータスのタイトルスポンサーを務めたジョン・プレイヤー・スペシャル(JPS)はレース界ではおなじみのタバコ・ブランド。今ほどヒステリックに嫌煙運動が展開されていたわけでもなく、タバコのCMも制限されていなかった、長閑な旧き良き時代の1台。こちらもオートヴィジョン博物館の収蔵車両だ。
【ヴァン・ヴィーン OCR1000】
一方、少し時間を遡るが、1970年代の終わりから1980年代にかけて、オランダのアムステルダムで、ドイツのクライドラー社製オートバイの輸入代理店を営んでいたヘンク・ヴァン・ヴィーンがスペシャルバイクの製造にも専念。その諸作としてロータリー・エンジンを搭載したモデルを発表している。それが、ヴァンケル・エンジンの基本特許を持つNSUと、自らもM35やGSビロトールなどを投入していたシトロエンが共同で設立していたロータリー・エンジンの製作供給会社”コモトール製2ローター”のロータリー・エンジンを搭載した『OCR1000』。さらにチェーン駆動が一般的だった当時にシャフトドライブを採用していたところもトピックのひとつ。こちらも僅かな台数にとどまったが、これもれっきとしたREバイクなのだ。Van Veen OCR 1000(1978-81)
オランダのクライドラー・インポーターだったヴァン・ヴィーンが準ハンドメイドで仕上げたREバイクがOCR1000 。こちらもオートヴィジョン博物館の収蔵車両だ。ヴァンケル・エンジンという革新的なまでの新機軸を生かして車両…例えオートバイとはいえ…を手作りできる環境が、当時の彼の地にはあった、ということだろう。国民性などの地域的なものか、それとも時代背景によるものかは定かではないが、羨ましい限りだ。
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