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業界ニュース 2018.9.9

15代目もオヤジのハートを鷲掴み! 歴代クラウンがオジサンたちを夢中にさせる理由とは

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 時代時代のオヤジに合わせたクルマ作りをしている

 以前、取材のために「クジラ」の愛称で親しまれる4代目クラウン(発売は1971年)を試乗した際、激しい自己嫌悪に陥った。「俺はこの時代の男に負けている」と痛切に感じたからだ。4代目クラウンの外観は賛否両論だったが、たたずまいが内装も含めて落ち着いており「いっぱしの大人」が乗るクルマであった。

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 いわゆるオーラが物凄い。運転席に座ると、新車で購入したオーナーの姿が脳裏に浮かんだ。自宅では妻や子どもから尊敬され、勤務先でも人望が厚い。有能で仕事ができるだけでなく、本気で付いていきたいと思う部下も多い。政治や経済に一家言あり、しかも他人の話にはしっかりと耳を傾け、つねに勉強を忘れない。

 この4代目クラウンのオーナーに比べて、今の俺はどうなのか。似たような年齢のはずだが(私は1961年生まれで今は57歳)、子どものままで大人になった気がする。とてもではないが、このクラウンのオーナーにはなれないと思った。

 50年近く前の50代の男性はイメージしにくいが、アニメの「サザエさん」に描かれる磯野波平氏は50代半ばらしい。彼は一風変わった人物ではあるが、やはりいっぱしの大人だ。妻のフネさんなど家族から尊敬され、カツオ君は叱られると震え上がってしまう。少なくとも私と愚息の間に、あの緊張感はない。

 一方新型のクラウンに乗ると、4代目のような自己嫌悪とオーラはまったく感じない。良くできた4ドアセダンで、ごく普通に購入できそうだ。つまりクラウンは、時代とそれに乗る人の変化に合わせて、クルマ造りを正確に変えてきた。1970年代の初頭には、私がかなわないと感じた大人の男性に合わせていた(当時の運転免許保有者数の内、81%を男性が占めていたが今の男性比率は55%)。

 それが50年近くを経過した今はどうだろう。4代目と現行クラウンの変化から読み取れる、50年前と今のオーナー像の違いは、率直にいえば大人と子どもの差だ。ここでは今のクラウンのユーザーに刺さる魅力を考えたい。

■オヤジ殺しのポイント1:RSグレードの設定

 今のクラウンは子ども相手だから、かつて大人の象徴であったロイヤルサルーンを廃止して、RSというエアロパーツを装着したグレードを据えた。スポーティでカッコイイと、無邪気に喜ぶ典型的なクルマ好きに合わせている。

■オヤジ殺しのポイント2:スポーティな運転感覚

 運転すれば走行安定性が高く、乗り心地は少し硬めで、メルセデス・ベンツに似たところもある。欧州車が大好き、スポーティな運転感覚のセダンが欲しい、という需要に応えた。峠道などを走るとけっこう楽しい。

■オヤジ殺しのポイント3:コネクティッド(通信機能)の採用

 新型クラウンに標準装着されるコネクティッド(通信機能)には、エアバッグ連動型ヘルプネットの機能も備わる。これは緊急自動ブレーキなどと同様、先進的な安全装備だから、オーナーの好みや性格と直接は関係ない。それでもパソコンやスマートフォンに慣れた今の世代に向けた装備ではあるだろう。

■オヤジ殺しのポイント4:全幅を1800mmに抑えた扱いやすいセダンボディ

 新型クラウンは、昔から変わらない価値観も併せ持つ。まずセダンであることだ。今はセダンの車種数が減る傾向にあるから、新型クラウンがサイドウインドウを3分割した「6ライト」形状になったとはいえ、セダンボディであることに伝統の個性を見い出せる。

 しかも全幅を1800mmに抑えて、取りまわし性に配慮した。混雑した日本の街中で運転しやすいのは、昔から変わらないクラウンの価値だ。

 それにしても、新型クラウンに乗ると「これなら本家のメルセデス・ベンツを買うのではないかな」と思う。メルセデス・ベンツに近づいたクラウンよりは、本物の方がずっと魅力的なのは当然だ。昔に比べて子どもっぽい(一般的には「若い」と表現される)大人に合わせると、クラウンらしさが次第に薄れていくようだ。

 ただし、ここでいうところの「クラウンらしさ」とは、往年の「いっぱしの大人が乗るクラウンらしさ」を示す。

 クラウンは先に述べた通り、乗る人の変化に合わせて、クルマ造りを正確に変えてきた。オーナーが子どもっぽくなった以上、昔のクラウンらしさが薄れても仕方ない。新型クラウンは、今の大人を鏡のように映し出す。要は私の世代に責任があるということか。またもや自己嫌悪に陥りそうだ。

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(WEB CARTOP 渡辺陽一郎)

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