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業界ニュース 2018.9.7

大人の911乗りは“羽ナシ”で──ポルシェ 911GT3 トゥーリングパッケージを試す

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ポルシェ好きが今、現行ラインナップのなかで最も憧れるモデルというと、911GT3だろう。

このチョイスに異論のある方は少ないはずだ。もちろんGT3RSでもいいのだけれど、まずはGT3でさえあれば、現代ポルシェの真髄を味わうことができると思う。

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端的にいって、加速・ハンドリング・制動=走る・曲がる・停まる、という走りの基本において、現代スポーツカーの頂点を極めている。だから、乗れば文句なしに楽しい。絶対的にも、そして官能的にも、スーパーカー殺しのパフォーマンスを有している。スーパーカー好きのボクがそういうのだから、たぶん間違いない。

そんなわけなので、ボクの欲しいクルマリストにも、ポルシェ911GT3は常連、なのだけれど、ふたつだけ不満があった。ひとつは昔存在した3ペダルMT仕様がなくなっていたこと。けれども、これは最新モデルで復活をはたした。残るもうひとつの不満はというと、アピアランスが派手すぎることだった。

そんなこと、ド派手なスーパーカー好きに言われたくないかもしれない。でも、ボクはポルシェ911をリアルスポーツカーだと認めてはいても、スーパーカーだとは全く思っていない。

毎日使える実用性と、最高レベルのスポーツ性を両立していることが911における唯一無比の魅力だと思っているから、スーパーカーではない。だからこそ、GT3の、あのデカくて立派なリアウィングは、ちょっと興ざめで苦手だったのだ(たとえ空力的に有用だと言われても)。

実は少し前に、理想とも言える“GT3”がデビューしていた。2016年に発表された、911Rだ。ナロー時代の名車を現代に蘇らせたらこうなる、というポルシェお得意の商品企画で、ナカミはGT3RSなのだけれども、リアウィングは無く、しかもマニュアルミッションのみという仕様。

やはりというべきか、世界に同じような想いの人は多かったらしく、瞬く間に人気を博して、一時はオークションで軽く1億円オーバーになったこともあった。特に911が好きだというわけではないボクの感覚が、世界の911乗りとさほどかけ離れたものでないことを確認して、大いに意を強くしたものだった。

もっとも、ポルシェは、転売目的で911Rを購入し、大きな利益を得た人が少なからずいたことに憂慮した。かといって、991台という限定数でリリースした911Rの数を増やすことはできない。

そこでポルシェは、911Rとほとんど同じ仕様のモデルを、911GT3 トゥーリングパッケージとしてカタログに載せることにしたのだった。つまり羽ナシ3ペダル6MTのみ、500psの911。

それはそれで衝撃的なニュースである。911Rを転売目的で買った連中はさぞかし“怒った”ことだろう。そんなことされちゃ持ってるRの価値が下がるじゃないか。けれども、ハネ無しMT仕様のGT3を乗って心底楽しんでみたいと思っていた人には朗報、のはずだったのだが……。

残念ながら、日本市場への正規輸入は見送られた。理由は分からない。欲しい人はいっぱいいるだろうに……。ボクのまわりにだって、数人はすぐに見つかる。

というわけなので、日本法人が輸入して売ってくれないなら、ヨーロッパに行って買ってくるだけだ! といつもこの手の希少未導入モデルをヨーロッパ市場で買い付けては日本で乗り回す友人が、早速、GT3トゥーリングを手に入れて登録もしたというので、味見させてもらうことに。有り難いことに彼はいつも筆者に気前よく鍵を預けてくれる。

某ホテルの地下駐車場に、そいつは佇んでいた。グレーの911GT3トゥーリング。クレヨンと呼ばれる人気色。インテリアはブラック一色。潔い。

500psの4リットル水平対向6気筒エンジンが、コンクリート製の箱のなかで、けたたましく目を覚ました。軽いタッチで決まるシフトレバーを操作し、今となってはそれが重いのか軽いのか見当もついていない左足をゆっくりと上げて、アイドリングのままクラッチを繋ぐ。ススーッと、何ごともなく滑り出した。

段差や坂にはとても気を遣う。最低地上高が低いから。オーナーもすでに一度、がりっとやってしまったらしい。プラスチック製のリップだから交換は簡単、とはいえ気分のいいものじゃない。見かけは911カレラだけど、しっかり車高は下がっているし面構えはGT3そのものだった。

手動の変速機は、素晴らしく小気味良くキマってくれる。4リットルもあるので自然吸気(NA)だと言いつつも、さほど神経質に変速しなくてもいい。何なら3速あたりでオートマチック風に乗っていても、停止さえしなければ平気。けれども、3ペダル自体が貴重な今、むやみに手足を動かしたくなるというのが(前時代の?)クルマ運転好きの人情というものだろう。

コキコキ変速フィールを楽しみながら、郊外へと向かった。GT3であることを忘れさせてくれるほど乗り心地がいい。ときおり路面からのソリッドな反応に、リアルスポーツカーであることを思い出すも、すぐさま何ごともなかったかのような滑らかさを取り戻す。よくできたGTカーだ。

ためしに加速してみた。パドルシフトが恋しくなるほど、スリリングでシャープな吹け上がり。力強さは相変わらずで、ばかっ速。偶然、隣に並んだターボのオーナーが驚いている。

GT3は、もうその出で立ちからしてサーキットに持ち込みたくなるようなマシーンだった。けれども、このトゥーリング、ナカミはほとんどGT3と変わらないというのに、なぜだがそういう気分にはならない。

郊外のちょっとしたワインディングロードを攻めてみるだけで十分、満足できてしまう。これなら仕事の合間のストレス発散にも十分使える。GT3だと、逆にストレスが貯まってしまうというのに。出で立ちだけで、こうも変わるものだろうか。

それはおそらく乗り手の気分の問題だろう。いかにも派手な出で立ちのモデルを選んで、身も心も震え立たせるもよし。大人しいけれど力を秘めたモデルを選んで、こっそり楽しむもよし。大人の911乗りには、後者のほうが断然お似合いだと思うのだが、どうだろう?

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(GQ JAPAN )

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