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業界ニュース 2018.9.5

マツダ以外にもあった「ロータリー・エンジン搭載車ヒストリー(海外編)」

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苦労はしたがそれぞれに魅力的だった、海外のロータリー・エンジン搭載車

ロータリー・エンジンといえば、その前身である東洋工業時代から開発を続けてきた「マツダ」が“育ての親”というのが通り相場だが、“生みの親”は基本技術を考案したフェリックス・ヴァンケル(Felix Heinrich Wankel)と共同開発者の「NSU」ということになる。そのため、欧州でもいくつかのメーカーがロータリー・エンジン搭載のモデルをリリース。ちなみに日本ではロータリー・エンジンと呼ぶが、ヨーロッパでは開発者の名前からヴァンケル・エンジン(Wankel Motor)と呼ぶのが一般的だ。

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【NSU Wankel Spider】

ということで海外でのロータリー・エンジン、いやヴァンケル・エンジンの搭載例だが、まずは基本特許を持つNSUからリリースされた『NSU ヴァンケル・スパイダー』が、世界で初めてヴァンケル・エンジンを搭載したモデルとして知られている。コンパクトで軽快な2シーター・オープンで、ベースとなったのは2ドアクーペの「シュポルト・プリンツ(Sport Prinz)」。空冷の2気筒エンジンに換えてヴァンケル・エンジンをリアアクスル上に搭載していた。スペック的には500ccシングルローターで最高出力は50馬力(後期モデルで54馬力)に過ぎなかったが、それでもオリジナル(600cc足らずの空冷2気筒)の30馬力に比べて6割以上もパワーアップされたことになり、685kgと軽量だったこともあって見事なパフォーマンスを発揮していた、という。

NSU Wankel Spider(1964-67)6月にドイツはアルトゥルスハイム(Altlußheim)にあるオートヴィジョン博物館(Museum Autovishion Tradition & Forum)にて撮影した『NSU ヴァンケル・スパイダー』。軽快なデザインの2座オープンボディはコンパクトで今でも十分に魅力的だ。エンジンルームの上に浅いけれど広い荷物スペースが稼げていることからも、ロータリー・エンジンのコンパクトさが分かる。

【NSU Ro 80 IAA-Model】

ヴァンケル・スパイダーは、市販モデルとはいうもののテストモデル的な位置づけだったが、その後継モデルとなった『NSU Ro80』は、ボディを新規開発するなど力の入ったアッパーミディアムセダン。ヴァンケル・スパイダーのリアエンジンから前輪駆動へとパッケージングも一新。エンジンも2ローターにバージョンアップされている。67年のフランクフルトショーでお披露目され、同年に市販されると、その技術的な先進性が評価され、68年のヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを獲得するなど高い評価を博することになった。ただしオイルシール不良によるトラブルが続出。クレーム対応に追われた「NSU」は経営が傾き、翌69年にはVW傘下に入るとともにアウディに経営統合されることになる。結界、Ro80はNSUブランドで最後のモデルとなった。

NSU Ro 80 IAA-Model(1967)同じくオートヴィジョン博物館で撮影した『NSU Ro80』。”IAA-Model”のサブタイトルが示すように、ワールドプレミアとなったフランクフルトショーに出品されたカットモデルである。

NSU Ro 80 Limousine(1967-77)一方、ドイツのフィフテルベルク(Fichtelberg)にあるフィフテルベルク・ドイツ自動車博物館(Deutsches Automobilmuseum Fichtelberg)にて撮影した『NSU Ro80』。2ローターのヴァンケル・エンジンを搭載したことで歴史的価値が高いことに加えて、基本特許を持っているNSU&ヴァンケルの地元とあって、ドイツの自動車博物館ではポピュラーな存在となっている。

NSU Ro 80 Limousine(1977)こちらはインゴルシュタットのアウディ本社に併設されたアウディ・フォーラム・インゴルシュタット(Audi Forum Ingolstadt)で撮影した『NSU Ro80』。リムジーナ(Limousine:ドイツ語でセダンの意)と呼ぶに相応しいルーミーなキャビンをエアロダイナミックなボディに包んだパッケージングは、現在のアウディにも一脈通じるものがある。

実車展示は1台きりだったが、写真のような車両&エンジン単体のフォトカードが無料配布されているから、訪問の記念として忘れず持ち帰ってほしい。



【Citroen M35】

さて、「NSUヴァンケル」は、20社以上の世界中のメーカーとライセンス契約を結ぶことになったが、市販モデルをリリースしたのは、マツダを除くとシトロエン1社のみだった。NSUと共同でヴァンケル・エンジンを生産供給する「コモトール」社を設立するなどヴァンケル・エンジンのプロジェクトを精力的に進めていたシトロエンは、まずは1970年に、テストカーとなる『シトロエン M35』を完成させると500台の制限付きでモニター販売を開始。これはコンパクトカーの「アミ8」をベースにした2ドアクーペで、駆動系やハイドロニューマチック・サスペンションなど、「アミ8」よりも上級モデルのコンポーネントを転用するなど、技術的に随分奢った設計となっていた。

Citroen M35(1969)

こちらもオートビジョン博物館で撮影したシトロエンのM35。フェンダーにシリアルナンバーが描かれているのが特徴で、ここオートビジョンの収蔵車両はNo.32号車だった。

ちなみに、シトロエンの本社が管轄しているシトロエン歴史遺産アカデミー(Conservatoire de patrimoine de Citro?n)には、当然のようにNo.1号車があり、南仏のカステラーヌ(CasT?llane)にあるシトロエン博物館(Mus?e des Citro?n)にはNo.388号車が収蔵されている、といった具合だ。

【Citroen GS Birotor(Citroën GZ)】

続いてシトロエンでは、73年に本格的な量販車となるべく『GSビロトール(GS Birotor)』を登場させる。文字通り、シトロエンの新世代コンパクトカーである”GS”をベースに、2ローターのエンジン(Birotorは2ローターの意)を搭載。500cc×2ローターのヴァンケル・エンジンは100馬力を超える最高出力を絞り出し、多くの面で高い評価を得ながらも、GSにとって唯一の弱点とされてきたアンダーパワーを解消させる。2気筒(2ローター)をフロントに横置きに搭載したFF駆動のパッケージや、ダブルウィッシュボーン/トレーリングアームの形式をもった前後サスペンションを油圧で制御するハイドロニューマチック・サス。さらに4輪ディスクブレーキなど最先端技術が多く盛り込まれた”GS”を全方位最新最強のクルマに仕上げることになった。

だが、こうして期待とともに誕生した『GSビロトール』だったが思いの外、短命に終わることになる。「NSU Ro80」と同様にオイルシールの不良などのメカニカルな問題に加え、デビュー直後に第一次オイルショックに見舞われたことが致命的だった。1974年にシトロエンを吸収したプジョーも、ヴァンケル・エンジンの将来性に疑問を持っていたようで、プロジェクトはとん挫。800台余りが販売されただけでモデルライフを終えることになる。

Citroen GS Birotor(1972)オートヴィジョン博物館で撮影したGS ビロトール。”M35″と同様、フランス国内の博物館ではポピュラーな存在だ。ちなみに、オートヴィジョン博物館のあるアルトゥルスハイムは、ミュンヘンの北西、約350kmの地にあってクルマで走っても3時間半弱。最近、マツダ車のプライベートコレクションを開陳したマツダ・クラシックカー博物館フライ(Mazda Classic Automobil-Museum Frey)のあるアウグスブルク(Augsburg)からもクルマで3時間弱だ。さらにはNSUと統合されて成長発展を続けたアウディの本拠地であるインゴルシュタットからも遠くないから、ロータリー・エンジンのファンにとっては絶好の、聖地巡りツアーとなるはずだ。

【Mercedes-Benz C 111】

これまでにヴァンケル・エンジンを搭載して“市販”されたのは以上の4モデルのみ。しかし、ほかにもメルセデス・ベンツが技術開発用に製作したプロトタイプ(試作車)もヴァンケル・エンジンを搭載していた。『C111』と命名された試作車は、ガルウィングドアを持つ2シーターの2ドアクーペ。1969年のフランクフルトショーで披露された初代モデルは280馬力の3ローター・エンジンをミッドシップに搭載していたが、半年後の70年ジュネーブショーでは350馬力の4ローターへとバージョンアップした2代目が登場している。ヴァンケル・エンジンの開発が中断されたのちにはターボ・ディーゼル・エンジンに換装されたC111-IIDに移行。ヴァンケル・エンジンのプロジェクトそのものがとん挫してしまったが、もし彼らが東洋工業(当時。現マツダ)と同様に熱意をもってエンジン開発を続けていたなら、また違った展開もあったろうと、考えずにはいられない。

Mercedes-Benz C 111(1970)こちらは2015年のレトロモビルで撮影したメルセデス・ベンツ『C111』。ダイムラー・ベンツが研究開発用に試作したもので、こちらは4ローターのヴァンケル・エンジンを搭載した2代目にあたる。このときはベンツ・クラシック御一行ツアーでパリに遠征していたが、普段はシュトゥットガルトにあるダイムラー博物館に展示されている。

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(Auto Messe Web 『Auto Messe Web編集部』)

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