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ホンダ 3代目「シビック」は『空間は大きくメカは小さく』を最大限に具現化 レースでホンダのイメージアップにも貢献

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ホンダ 3代目「シビック」は『空間は大きくメカは小さく』を最大限に具現化 レースでホンダのイメージアップにも貢献

■1.5リッターで最高出力110PSと高出力化

 アメリカ以外の国で初のディズニー・テーマパークとなった「東京ディズニーランド」の開園や、マイケル・ジャクソンの「ビリー・ジーン」と「今夜はビート・イット」が大ヒットした1983年、ホンダは3代目となる「シビック」を発売しました。その当時ホンダが掲げた愛称が「ワンダー シビック」つまり“驚きのシビック”でした。

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 1981年に1.2リッターエンジンを搭載した初代「シティ」(AA型)を発売し、翌年には「シティターボ」を発売したことで、3代目シビックは完全に1ランク上の車格のモデルに引き上げられました。

 当時の市場では1980年に発売された5代目マツダ「ファミリア」が大ヒットし、1981年に日産はFF化した5代目「サニー」を発売。グラスエリアが広くエッジの効いたシャープなボディラインと、なだらかな傾斜角を持つリアゲートを持った3ドア2ボックスカーが1.5リッタークラスでは主流となりつつありました。

 ホンダは「N360シリーズ」から始まったFF採用時から独自の『M・M(マン・マキシマム、メカ・ミニマム)思想』に基づき、2代目「シビック」とは大きく異なる直線基調のボディに長いルーフを組み合わせ、リアエンドの傾斜角を少なくすることで室内空間を大きく取るように設計しました。また、テールランプ位置を低くしリアゲートの開口面積を広げ利便性を高めつつ、独特のシルエットを与えました。

 大きく延長されたホイールベースにより、2代目シビックよりもひと回り大柄なボディとなった3代目「シビック」は、トーションバー式ばねを用いたフロントサスペンションに、オーソドックスなコイルばねを用いたリアサスペンションとし、スペース効率のアップと、高い旋回性能、乗り心地を向上させました。

 搭載されるエンジンは新開発の1.5リッターSOHC4気筒12バルブエンジン(EW型)と、1.3リッター(EV型)の2種類が用意されました。また、1.5リッターの「25i」グレードには「シティターボ」にも採用されていたホンダ独自の電子制御燃料噴射装置「PGM-FI」(ピージーエム・エフアイ)が搭載され、SOHCながら最高出力110PS、最大トルク13.8kgという高い数字を実現しています。

■S800以来となるDOHCエンジンを搭載したSiも登場

 3代目「シビック」の1.5リッターエンジンは充分なパワーを発揮していましたが、1982年に日産は「サニー」に1.5リッターターボエンジン(E15ET型)の「TURBO LEPRIX」(ターボ ルプリ)を追加、さらに1983年にはマツダも「ファミリア」にターボエンジン(E5型)搭載の「XG TURBO」を加えるなど、税制面で有利な1.5リッタークラスの国産ファミリーカークラスに高出力化の波が押し寄せていました。

 そして、ホンダにさらなる危機感を与えた存在が、名機4A-G型を搭載したトヨタ「カローラレビン/スプリンタートレノ」、いわゆるAE86型『ハチロク』の登場です。1.6リッターDOHC16バルブ、高回転、高出力の4A-G型は、若者をターゲットにしたスポーティカー『ハチロク』に相応しいパワーユニットでした。

 そこで、ホンダは1984年10月に「カローラ/スプリンター」と同様に、新開発の1.6リッターDOHC16バルブヘッドを持つエンジン(ZC型)を搭載した「Si」をラインナップに追加します。ホンダ車に搭載されたDOHCエンジンは「S800」以来となる、じつに14年ぶりのことでした。

 この「シビックSi」は最高出力135PS/6500rpm、最大トルク15.5kg/5000rpmと、ライバル車の「カローラ/スプリンター」が「エンジンを高回転まで回さないと速くない」のに対し、「シビックSi」は常用域からトルクが太く「乗りやすいけど速い」と評価されていました。

 またZC型エンジンの構造は4A-G型と同じ1.6リッターDOHC16バルブでしたが、4A-G型の鋳鉄製エンジンブロックに対し、ZC型はアルミ製エンジンブロックを採用し、エンジン単体での軽量化にも成功しています。

 1.6リッターながら俊足の「シビックSi」は、二輪市場で大ヒットした「CB750F」や「CBX400F」などと同じDOHCエンジンを好むホンダファンや、その当時の『走り屋』と呼ばれる層から絶大な支持を受けることになります。

 さらに85年から市販車をベースにした「グループA」車両で競われた「全日本ツーリングカー選手権」での活躍により「シビック=スポーツコンパクトカー」の地位を不動のものにしていきます。当時、ホンダはF1にも復帰しており、「ホンダ=エンジン屋」というイメージも確立しており、レース活動はホンダのイメージアップに大きく貢献していました。

■ボディバリーエーションにシャトルを追加

 高い性能と利便性の高さで幅広い層のユーザーから好評価を受けていた3代目「シビック」では、新しいボディタイプの「シャトル」を追加しました。

 全高が高められたワゴンボディの「シャトル」は、従来の概念にとらわれない楽しい創造空間を持つモデルで、通常の「シビック」よりも広い室内が与えられました。「シャトル」はこの次の4代目にも登場しますが、「フィット」の派生モデル「シャトル」と、いまもその名前は残っています。

 また、2代目同様に姉妹車「バラード」がラインナップされていましたが、そのバリエーションとしてクーペボディの「バラードスポーツ CR-X」も登場しています。約800kgと現在の軽自動車並の車両重量に、パワフルなエンジンを搭載した「バラードスポーツ CR-X」は、俊敏な走りで『走り屋』のなかで「シビック」と人気を二分しました。

 この3代目「シビック」は、ホンダでは初となる「日本カー・オブ・ザ・イヤー」、「グッドデザイン大賞」受賞など、非常に高い評価を受けました。M・M思想を最大限に具現化した3代目「シビック」は、その後のホンダ車開発に活かされ、いまも軽自動車、コンパクトカー、ミニバンに共通する設計思想となっています。

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