納期が1年を超すというジムニー。1年もしたら小変更とかありそうだが、大丈夫なのだろうか、と勝手に心配になっている担当です。
そんなジムニーにベストカーがオフロードで試乗しました。新型から装備された話題の電子制御や、そのスクエアなボディデザインの使い心地などをレビューします。
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頼もしい相棒。そんな言葉がピッタリな新型ジムニーに迫ります。
文:ベストカー編集部
写真:池之平昌信
■「俺のクルマ、ジムニーだよ」の破壊力の強さ
「クロカン4WD」という言葉はすっかり忘れ去られてしまったが、ジムニーをSUVと呼ぶのはジムニーに失礼だろう。
ラダーフレームを持つモデルがクロカン4WDという言い方もできるが、プロユースモデルをクロカン4WDと呼んだほうがカッコいい。
新型ジムニーは林業や建設業、狩猟やレスキューなどさまざまなプロたちが選ぶクルマ、プロが使う本格派だから憧れる。
50歳を超え、釣りや山を始める人は多いが、HARDY(ハーディー)のロッドよりもTernua(テルヌア)のジャケットを愛用するよりも「愛車はジムニー」のほうがインパクトはありそうだ。
一見して豪華になったコックピット周りに感心しながら、シフトを1速に入れてスタート。
ギア比が低いため、スピードを上げるには2速、3速とシフトアップが必要。長いシフトストロークがジムニーの証し。
旧型に比べて明らかによくなっているのは静粛性。ベストカーの社用車には同じスズキのハスラーがあり、エンジンもR06Aと同じ。
ラダーフレームを採用し、200kg以上重いジムニーだが、遮音性は変わらないレベル。特に5速、50km/hくらいで走るぶんには遜色ない。
ジムニーが苦手と思われるコーナリング、3速にシフトダウンし30km/hくらいで緩いコーナーに入る。
重心高はあるが、しっかり感は旧型とは比べものにならず、これまたハスラーよりもいいくらい。
新開発のラダーフレームの効果はオンロードでも充分に感じられる。ハスラーもいいクルマだが、50過ぎの親父が感じる"もの足りなさ"をジムニーは受けとめてくれる。
さらによくなったのが乗り心地。ラダーフレームとボディをつなぐボディマウントゴムを新設計し、振動を軽減。上下方向の動きを柔らかくしながら、水平方向に硬くすることで乗り心地のよさとしっかり感を両立させている。
■ブレーキLSDは非常に有効な武器だ
高揚した気分のまま特設のオフロードコースへ。「FENEK(かつて存在したアウトドア雑誌でベストカーの姉妹誌)の時はなんでもかんでもオフロードを走らせたものだなあ」と思い出がよぎる。
そんななか、新型ジムニー最大の特徴であるブレーキLSDを試す。
ジムニーはパートタイム4WDで、通常の舗装路は2WD(FR)で走行する。オフロードで4WD(4H)に、そして泥濘路やスタックしやすい状況で4Lへ副変速機をチェンジする。
話題のブレーキLSDは4Lで作動する。
ブレーキLSDは多くのSUVに標準装備となっているが、アナログ派のジムニーとのマッチングはどうか? 気になるところ。
意外かもしれないが、ジムニーにデフロックは付いていない。
軽くて走破性に優れるためといわれるが、いわゆる対角線スタックといって前後の対角線方向の車輪がそれぞれ空転してしまうとジムニーとてスタックは免れない。
デフの特性として回りやすい車輪に駆動力がいくため、空転し放題になる。その唯一の弱点をカバーするのがブレーキLSDなのだ。
ブレーキLSDは4Lにした時に作動するが、空転した車輪にブレーキをかけることで、反対側の車輪に駆動力が回され、スタックを防げる。
タイヤが浮きそうなところを走ったが、トラクションの妖精たちがいい仕事をするのだろう!? 余裕のよしこさんでクリア。
ヒルホールドコントロール&ヒルディセントコントロールも標準装備となり、滑りやすい上り下りも心理的な余裕が生まれる。
もう一点キックバックを感じることがなかったのは、ステアリングダンパーが装着されたおかげだろう。疲労軽減という点でも大きい。
新型ジムニーの性能はクロカン腕自慢たちが拍子抜けすることを心配してしまうほど。ちなみにジムニーの平均耐用年数は約17年というから、今買っても2035年まで現役の計算だ。
新型ジムニーは、これまでのジムニーと同じく、長く深く付き合えるに違いない。
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