現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 世界のトップが乗るクルマとは 防弾はあたりまえ、国の威信もかかる公用車たち

ここから本文です

世界のトップが乗るクルマとは 防弾はあたりまえ、国の威信もかかる公用車たち

掲載 更新
世界のトップが乗るクルマとは 防弾はあたりまえ、国の威信もかかる公用車たち

選び抜かれた、いわば究極のVIPカー

 古今東西、一国のトップともなると、身辺警護と威厳の両方を保つため、移動に際しても特別仕様のクルマを用いることが多くなります。首脳会談やサミット、国際会議のオフショットなどでちらりと映像に映る各国トップの公用車は、それぞれ、さまざまな理由から選び抜かれた車両なのです。世界的なトップたちのクルマを見てみましょう。

クルマの「きれい」、どう保つ? コツは「ディーラーの営業担当」にアリ

動く要塞 アメリカ大統領専用車「ビースト」

 世界一有名な公用車ともいえるのが、トランプ米大統領の大統領専用車「ビースト」でしょう。GM(ゼネラルモーターズ)「キャデラック」の特別仕様で、大統領専用機「エアフォース・ワン」になぞらえて「キャデラック・ワン」とも呼ばれています。

 すごいのはその防御能力。全ての窓はポリカーボネート5層構造で、厚さは約13cm、シャシーもセラミックなどの複合装甲で同じく13cmほどあり、至近距離で爆弾が爆発しても耐えられる構造だといいます。扉を閉めれば、室内は外気から完全に遮断され、化学兵器や生物兵器などによる攻撃にも耐えられるようになっているそうです。

 トランク内には酸素タンク、フロントグリルには暗視スコープとレーダー、そしてケブラー繊維で強化された特殊なタイヤは、パンクした状態でも100km以上の走行が可能だといいますから、ちょっとした軍用装甲車は裸足で逃げ出すレベルだといえるでしょう。

 1台約17億円。これをアメリカは12台保有しているそうです。

ロシア経済の起爆剤に? 国を挙げた大統領専用車製造

 アメリカの永遠のライバルといえばロシアですが、そのロシアのトップ、プーチン大統領は2018年5月、4度目の大統領就任演説ののち、あるモノを初公開しました。それが、一大プロジェクトで開発された国産大統領専用車です。

 この大統領専用車は、「コルテージ」というロシア製政府専用車製造プロジェクトのもとで、2013年から研究・開発が行われたといいます。プーチン大統領は、今までドイツ車であるメルセデス・ベンツの最高級リムジン、「メルセデス・マイバッハS600プルマン」の装甲仕様車両を大統領専用車として使用してきましたが、ここにきて国産車へ乗り換え、その性能をアピールし始めました。

「この車両は必要なテストに合格し、国家元首にとって安全であることが証明された」という公式見解とともに、この車両の民間バージョンが売り出されることも発表され、ロシア国産車の市場はこれから活気を帯びてきそうです。

意味はないらしい、北朝鮮の公用車と並走するボディガード

 先ごろアメリカのトランプ大統領と歴史的な会談を行った北朝鮮のトップ、金正恩委員長は、クルマで移動する際に12名もの屈強なボディガードを並走させて話題となりました。その際に彼が乗っていたクルマは、メルセデス・ベンツの高級リムジンモデル「メルセデス・マイバッハ」。詳細は明かされていませんが、防弾仕様にはなっていると考えられ、「ビースト」ほどではないにしろ、ある程度の防御は可能だと考えられます。むしろそういった場合、並走するボディガードたちの安全のほうが気になるところです。

 さて、日本のトップである総理大臣の公用車はどのようなものでしょうか。2018年8月現在、トヨタ「センチュリー」とレクサス「LS600hL」の2車種が併用されているとのことです。もちろん防弾ガラスや装甲が施された防弾仕様ですが、セキュリティの問題から詳しくは明かされていません。

少しでもその姿を見るために、「パパモビル」とベントレー

 最後に、国のトップではありませんが面白いクルマを2種紹介しましょう。

 ひとつ目はローマ法王の専用車「パパモビル」。前法王ベネディクト16世の専用車は、なかで立ち上がっても手を振れるように、後部座席は一段高い位置にひとり用の座席が設けられています。その前後左右は防弾ガラスでおおわれているものの、見た目は野球のピッチャーが、グラウンドに出ていくときの専用カー(リリーフカー)を彷彿とさせます。ちなみに現法王のフランシスコは、このパパモビルをオープンカーに改造しました。「失うものはない。神に命をゆだねる」と彼は言いますが、警備担当者は気が気じゃないでしょうね。

 ふたつ目は、イギリスの女王エリザベス2世の専用車両。2002(平成14)年、即位50周年を記念して特別に設計されたベントレーの車両です。高い天井や大きく開くドアは、王室の人びとが乗り降りしたときに、威厳を持った姿を保てることを考え抜いて設計されたといいます。しかし、その最大の特徴は「女王の姿をひと目でもみたいという多くの人の願いをかなえるため、現存するいかなるクルマよりも外からの見やすさを向上させた」という設計理念。その姿は落ち着いたえんじ。車体は低く車高は高く、何よりも大きな窓が目を引きます。ベントレーの特徴ともいえるやわらかい曲線は、強さと優しさが同居した女王の姿そのものといえるかもしれません。女王は、その理念と美しい車体に感動し、同じクルマをもう1台注文したといいます。

 防御、国内産業、威厳、人びととのふれあい。さまざまな考え方で生み出され、運用されるさまざまな公用車。国のトップのクルマから、国際情勢やその国の内情を考えてみるのも面白いかもしれませんね。

【写真】8800万円(税込)也、「メルセデス・マイバッハS600プルマン」のインテリア

こんな記事も読まれています

マルチクラッシュ決着を突破したタイラー・レディックが今季初勝利。MJも現地で祝福/NASCAR第10戦
マルチクラッシュ決着を突破したタイラー・レディックが今季初勝利。MJも現地で祝福/NASCAR第10戦
AUTOSPORT web
藤原慎也、2026年にダカールラリー挑戦へ「自分史上最大のプロジェクト。果てしない過酷な道を走破したい」
藤原慎也、2026年にダカールラリー挑戦へ「自分史上最大のプロジェクト。果てしない過酷な道を走破したい」
AUTOSPORT web
“6速MT”もある新型「トルネオ」!? SUV風デザインが超カッコイイ! 日本でも”最高にちょうどいい“「コンパクトミニバン」とは
“6速MT”もある新型「トルネオ」!? SUV風デザインが超カッコイイ! 日本でも”最高にちょうどいい“「コンパクトミニバン」とは
くるまのニュース
ホンダアクセス、新型ヴェゼル用・純正アクセサリーを発売開始
ホンダアクセス、新型ヴェゼル用・純正アクセサリーを発売開始
月刊自家用車WEB
これからの物流の要となる小型EVトラック普及の鍵! EV充電スポットが「小型EVトラック」にも開放された
これからの物流の要となる小型EVトラック普及の鍵! EV充電スポットが「小型EVトラック」にも開放された
WEB CARTOP
横浜ゴム「GEOLANDAR X-CV」「GEOLANDAR A/T G31」がトヨタ 新型「ランドクルーザー250」に新車装着
横浜ゴム「GEOLANDAR X-CV」「GEOLANDAR A/T G31」がトヨタ 新型「ランドクルーザー250」に新車装着
くるまのニュース
スフィアライトから「純正LEDフォグパワーアップバルブ」が発売
スフィアライトから「純正LEDフォグパワーアップバルブ」が発売
レスポンス
明るい話題だけではやっていけない。メルセデスF1代表、終わらない苦戦から「チームが一歩踏み出す必要がある」
明るい話題だけではやっていけない。メルセデスF1代表、終わらない苦戦から「チームが一歩踏み出す必要がある」
motorsport.com 日本版
WRC育成2期生、初のターマック戦『クロアチア・ラリー』を完走。グラベルクルーとの連携も経験
WRC育成2期生、初のターマック戦『クロアチア・ラリー』を完走。グラベルクルーとの連携も経験
AUTOSPORT web
どこがどう違う?ボルボの最新コンパクトEV「EX30」とレクサス「LBX」を徹底比較
どこがどう違う?ボルボの最新コンパクトEV「EX30」とレクサス「LBX」を徹底比較
@DIME
日本で大人気の「軽自動車」なんで海外で売らないの? コンパクトで「燃費・性能」もバツグン! “高評価”でもメーカーが「輸出しない」理由とは
日本で大人気の「軽自動車」なんで海外で売らないの? コンパクトで「燃費・性能」もバツグン! “高評価”でもメーカーが「輸出しない」理由とは
くるまのニュース
レクサス、新型SUV「GX550」を今秋に発売! さらに100台限定で“オーバートレイル+”も先行抽選販売へ。
レクサス、新型SUV「GX550」を今秋に発売! さらに100台限定で“オーバートレイル+”も先行抽選販売へ。
くるくら
レクサスが新型「GX550」の限定モデル“OVERTRAIL+”を抽選で発売
レクサスが新型「GX550」の限定モデル“OVERTRAIL+”を抽選で発売
@DIME
F2王者プルシェール、F1参戦叶わなければインディカーフル参戦も視野に? オーバル挑戦にも前向き「チャンスがあれば当然やりたいよ」
F2王者プルシェール、F1参戦叶わなければインディカーフル参戦も視野に? オーバル挑戦にも前向き「チャンスがあれば当然やりたいよ」
motorsport.com 日本版
ノンジャンル220台のマニアック車が集合…第15回自美研ミーティング
ノンジャンル220台のマニアック車が集合…第15回自美研ミーティング
レスポンス
全国各地で地震が多発! クルマまわりの防災設備をさらに強化しつつ「モバイルトイレ」にも期待【連載 桃田健史の突撃!キャンパーライフ「コンちゃんと一緒」】
全国各地で地震が多発! クルマまわりの防災設備をさらに強化しつつ「モバイルトイレ」にも期待【連載 桃田健史の突撃!キャンパーライフ「コンちゃんと一緒」】
LE VOLANT CARSMEET WEB
6速MT搭載! マツダ「小さな高級コンパクト」あった!? クラス超え“上質内装”×めちゃスポーティデザイン採用! 登場期待された「斬新モデル」とは
6速MT搭載! マツダ「小さな高級コンパクト」あった!? クラス超え“上質内装”×めちゃスポーティデザイン採用! 登場期待された「斬新モデル」とは
くるまのニュース
人気の無料地図アプリ「グーグルマップ」の道案内はまだ“純正カーナビ”にはかなわない!? 使いこなすのに覚えておくべきアプリの“クセ”とは?
人気の無料地図アプリ「グーグルマップ」の道案内はまだ“純正カーナビ”にはかなわない!? 使いこなすのに覚えておくべきアプリの“クセ”とは?
VAGUE

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

4850.014350.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

577.02780.0万円

中古車を検索
マイバッハの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

4850.014350.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

577.02780.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村