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業界ニュース 2018.9.1

【過去記事再投稿】ディーゼルエンジンの存続が問われる次世代の燃費・排ガスの測定法「RDE」とは?

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この記事は2017年8月に有料掲載したものです。
2017年7月にベルセデス・ベンツが300万台を超えるディーゼルエンジン搭載車の自主的なリコールを発表し、続いてアウディもディーゼルエンジン搭載モデル85万台の自主的リコールを発表した。アウディはフォルクスワーゲンの排ガス不正対策の時点でも210万台のリコールを行なっており、さらにポルシェ・カイエンのディーゼル車も販売停止、リコールが行なわれた。

■実走行での排ガスを重視

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こうしたドイツメーカーの一連のディーゼルエンジン車の自主的なリコールは、ドイツの連邦自動車庁(KBA)の指示の下で実施された。その背景にあるのが「リアルドライビング・エミッション(RDE)」だ。

RDEとは、シャシーダイナモ上で行なわれる従来のNEDC(ヨーロッパの燃費・排ガスモード)、WLTC(世界統一モード燃費・排ガス)ではなく、文字通り実際の道路を走った状態で燃費・排ガスを計測する方法だ。

思い起こせば、アメリカで発生したフォルクスワーゲンのディーゼルエンジン車の不正プログラム問題が発見されたのも、RDEによる調査だった。つまりフォルクスワーゲンは、アメリカでの燃費・排ガスモードのテスト中は制御がキチンと行なわれていて、規制値に適合してる。ところが、実際の道路を走り出すと排ガスの制御が行なわれないという、禁じ手のECUプログラムを採用していたのだ。なぜならそのほうが、実走行でのパワー、走り、燃費の点で有利になるからだ。

では、違法なECUプログラムではなく、正常なECUプログラムであれば、シャシーダイナモでのテストで規制値をクリアするのか? そして実走行でもクリーンな排ガスなのかといえば、じつは、そこはグレーゾーンなのだ。

なぜなら、排ガス規制はシャシーダイナモ上で決められたモードの規制値内に収まっていることが求められるが、実走行では規制値が存在していないからだ。だから、どのような排ガスレベルになるかは未知数であり、また理論的には、実走行で規制値が守られなかったとしても違法とまではいえないのだ。

しかし、フォルクスワーゲン問題以降は、従来のモード・テストによる規制値の問題だけではなく、実走行でどうなのか? という点が問われることになった。そうなると、NOx対策として尿素還元触媒方式を採用している場合、実走行でのNOxを低減させるために尿素水の消費量が多くなるなど、新たな課題も発生してくる。

メルセデス・ベンツ、アウディ、ポルシェの自主的リコールは、RDEでの試験結果が好ましくなかったことが推測でき、制御プログラムを改修することでRDEの排ガスを向上させようということだろう。

■CO2に厳しくNOxにあまい欧州規制

ディーゼル不正の背景には欧州でのディーゼル人気も影響している。というのは、欧州では地球温暖化対策としてCO2の大幅な低減が求められ、その結果としてガソリンエンジンよりCO2の排出量が少なく、熱効率の高いディーゼルエンジンが急激に普及したという点がある。排ガスという観点だけではなく低速トルクが大きく、燃費が良いことなど、走る性能的にもユーザーの支持を受けたのだ。

そうした事情でヨーロッパはCO2排出の低減を重視し、ユーロ4、ユーロ5などの排ガス規制ではNOxの規制値がアメリカなどに比べて緩めだった。

現在のユーロ6ではディーゼルの排ガス規制は強化されているが、実走行ではどうなのかが改めて問われることになり、そのためにRDEというテスト&評価法が注目を浴びることになった。ちなみにRDEは排ガス・燃費に加え、PM(排気ガスに含まれるススなどの粒状物質)も同時に計測される。

つまり、今や排ガス規制だけでなく大気汚染のひとつであるディーゼル、ガソリンエンジン両方のPMも、より厳しくチェックされるようになっているのだ。

このため、欧州ではRDE規制を2017年9月から導入し、アメリカはシャシーダイナモでの排気認証試験モードを4種類完備した。さらに発売後の使用過程車の抜き打ち検査制度も整備されており、2005年頃からは必要に応じRDE試験で補完するという構成になっている。日本ではヨーロッパの例を参考にしながら2017年から検討を開始している。

欧州では車両にPEMS(Portable Emissions Measurement System:車載式排出ガス分析計)を取付け、外気温度や走行モードを決め、認証試験値比較する。そして2017年の9月1日(新型車)より、NOxはディーゼル、ガソリン共に、認証試験値の2.1倍以下に規制された。さらに2020年1月1日には1.5倍に強化されることになっている。

■日本でのRDEの検討

2017年2月1日、国交省と環境省は排ガスを測定する路上走行テスト(日本版RDE)の方法案を取りまとめている。その内容は、シャシーダイナモ上でのモード試験の測定値が実走行の環境でも実現されるているか確認するため、路上走行テストを行ない、それぞれの測定値が乖離しないよう自動車メーカーに求める方針だ。

日本で実施する路上走行テストは、欧州のRDEの方法をベースに、日本独自の条件に変更される。

欧州のRDE試験は、市街地:60km/h以下で走行する場所、郊外(都市間道路):60~90km/hで走行する場所、高速道路:90~115km/hで走行する場所のそれぞれを最低16kmずつ走行して実施することになっている。

また市街地の走行は平均時速15~40km/h、走行時間の6~30%は停止時間とし、高速道路では100km/h以上で5分間走行し、原則として走行速度は時速145kmを超えてはならないとされている。

走行時間は90~120分だ。走行ルートの比率は市街地が29~44%、郊外と高速道路がそれぞれ33±10%とされる。標高700m以下からスタートし、スタートとゴールの高度差は100m以内、登り坂は走行距離100kmあたり1200m未満。気温は3~30℃と定められている。

またRDE試験ではCO2濃度、NOx濃度、排気質量流量、周囲湿度、周囲温度、周囲気圧、車速、緯度・経度・高度が計測され、そして車両コンディションの判断用材料としては、エンジン水温、エンジン回転数、エラー有無状態、DPF再生状態、シフト位置、シフトインジケーター、さらにハイブリッド車の場合は充電状態と電流も計測される。排気ガス関係は車載式排出ガス測定システムで計測し、車両状態はECUのデータを元にOBDコネクターから取得する。

また欧州ではNOx、PMの計測が重視されるが、日本版はNOxを重視する方針とされる。RDEでの優先重視は、まずはシャシーダイナモでのモード試験の結果と実走行でのNOxの乖離をチェックすることが第1の目的とされているのだ。

国土交通省と環境省は、日本の交通環境に合わせ、欧州のRDE試験を一部変更することを考えている。これはWLTC燃費モードの修正と同じ発想だ。

■RDE試験内容

まず欧州では地図上で、都市内、都市間、高速道路の区別が明確だが、日本では都市内と都市間の道路を区別するのが難しいため一般道と高速道路でルートを設定し、都市間道路は想定しない。そして走行ルートは、WLTPで想定する走行パターンに準じ、一般道路から高速道路へ行く順序とする。速度区分は日本の制限速度に準じるなどが挙げられる。

また走行速度は、日本では、最高制限速度とWLTPの走行パターンに準じて走行ルートの比率を決めることが考えられる。具体的には、40km/hまでの低速区分を20~35%、40~60km/hの中速区分を30±10%、60km/h以上の高速区分を45±10%とし、低速区分と中速区分が一般道の走行を想定したものとなる。

日本独自の停止時間の条件としては、20km/h以下で20分以上連続走行しないことも決められる。低速の連続走行ではディーゼルエンジンの保護を優先するEGR解除の制御が働くためだ。

試験時間は90~120分とする点は欧州と共通だ。その一方、市街地、郊外、高速道路をそれぞれ16km以上走行する条件とすると、東京近郊では2時間を超える場合があるので走行距離の下限は設定しない。90分走行すれば一定の走行距離を確保できると判断されている。

走行ルートの標高の高さや勾配は日本の地理条件に合わせたものが考えられるはずだ。また試験実施時の気温は0~35度Cとするが、0度C未満や35度Cよりも高い温度でのテストも検討されることになるだろう。

このように日本でのRDE試験はまもなく開始されるが、当面は欧州のような全面的な導入ではなく、日本独自の厳しい「ポスト新長期規制」が、実走行でも実現されているかどうかの検証に使用されることになると考えられている。

ただ、いずれにしても実走行は、天候や交通環境により、いつでも思い通りに実施できるとは限らないため、実走行のデータを記録しながら、シャシーダイナモ上でRDEを再現するという方法もすでに開発されている。

自動車技術開発会社のAVL(オーストリア)では、すでに欧州方式のRDEのシミュレーションが実現できるようになっており、近い将来には日本モードのRDEもシャシーダイナモ上でテストできるようになるはずである。

またAVL社の川崎テクニカルセンターでは、日本にいながら欧州方式のRDEテストもシャシーダイナモ上で実施することができるなど、新たなRDE試験重視の時代にいち早く対応していることも注目しておくべきだろう。

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(Auto Prove Auto Prove 編集部)

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