冬が訪れる前にサマータイヤからスタッドレスタイヤへ交換する人は多い。だが、本当にアナタの生活においてスタッドレスタイヤほどの性能が必要なのか、今一度考えて欲しい。オールシーズンタイヤという選択肢もあるのだから。PHOTO◎日本グッドイヤー
秋が過ぎ去る頃、サマータイヤからスタッドレスタイヤへの履き替えは、クルマを頻繁に使う人にとって実に悩ましい問題だろう。豪雪地帯居住者やウインタースポーツを趣味にしている人にとってはスタッドレスタイヤへの履き替えは必須だが、万が一の降雪のために履き替えを検討する非降雪地帯のユーザーもきっと多いはずだ。だが、いざ履き替えるとなると、タイヤの保管スペースの確保など煩わしいことも多い。
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「雪道=スタッドレス」とイメージする人は多いはずだが、実は冬季にスタッドレスタイヤが販売されている地域は日本、中国、ロシア、スカンジナビア、北欧の一部の国に限られているという(コンチネンタルタイヤ・ジャパン調べ)。世界の降雪地域ではウインタータイヤやスパイクタイヤを使用している国も多い。それはなぜか?
実は日本の冬の路面は世界でも極めて特殊なのだ。例えば北海道ではスノーやアイスバーン、新潟ではスノーやシャーベットなど、降雪地域によっても路面状況が目まぐるしく変化する。北海道、東北、北陸、関東北部、近畿など、地域ごとに多用な冬季の路面状況が出現するのだ。このような特殊な環境にある国だからこそ、アイス、スノー、シャーベット、ウエット性能などバランスに優れたスタッドレスタイヤが冬やタイヤ主役となっているのだ。
だがよく考えて欲しい、アイス路面や過酷なスノー路面を走る機会の少ない人にとって、本当にスタッドレスタイヤが必要なのだろうか? 個人的にはたまに雪道を走る機会がある(アイス路面は走る機会がない)非降雪地域在住のユーザーはスタッドレスタイヤではなく、オールシーズンタイヤのほうが用途に適していると思われる。
日本においてオールシーズンタイヤに特に力を入れているのがグッドイヤーだ。2013年にオールシーズンタイヤを導入したグッドイヤーは2016年に主力商品の「ベクター4シーズンズ・ハイブリッド」を国産化し、今季はSUV向けの「アシュアランス・ウェザーレディ」を新たに発売した。季節ごとのタイヤ交換の煩わしさから解放されることもあり、グッドイヤーのオールシーズンタイヤは右肩上がりで成長を続けているという。
だが、スタッドレスタイヤに慣れ親しんだ人にとって、オールシーズンタイヤで雪道やシャーベット路面を安心・安全に走行できるのか、不安に思っている人は多いだろう。
実際に試乗した経験から言うと、それは杞憂だ。アイスバーン性能はスタッドレスタイヤには遠く及ばないものの、スノーやシャーベット路面を走ることはなんら不安感はない。またこれは知らない人も多いかもしれないが、ベクター4シーズンズ・ハイブリッドは高速道路のチェーン規制化でも走行可能なのだ。
その一方でデメリットもあるのは事実。低燃費が売りの最新のサマータイヤと比較すると、ドライ路面時の燃費はやや悪化することは間違いないだろう。
タイヤ性能の進化により、1年を通して履き替え不要なオールシーズンタイヤは今後さらなる普及が見込める可能性を秘めている。本当にスタッドレスタイヤほどの性能が必要なのか? 自らの使用用途やライフスタイルを鑑みて、タイヤを選んでみるのはいかがだろうか? ちなみにVWシャランに乗っている筆者は、今年オールシーズンタイヤの導入を検討している。
都市圏に住むユーザーに適した特性を持っているタイヤだけに、今後グッドイヤー以外の他メーカーもオールシーズンタイヤに注力した日本展開を仕掛けてくる可能性がある。非降雪地帯に住むユーザーにとって、オールシーズンタイヤはそれだけの魅力を秘めている。
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