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業界ニュース 2018.8.26

おしゃれ商用車のナナメ上をいく──プジョー リフターに緊急試乗!

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夏の盛りの南仏にて、プジョー リフターを試乗する機会に恵まれた。3月のジュネーブサロンで、シトロエン ベルランゴと同時にプジョーが発表した商用バン、転じてちょっとアクティブなミニバンかと思っていたら、さにあらず。どういうことか説明しよう。

まず「ludospace(リュドスパス)」とは、ラテン語のludus(遊び、の意)と「espace(スペース、の意)」を組み合わせた造語で、ユーティリティヴィークルの積載性を逆手にとって、車両価格が安い割に、遊び道具や友人・家族を乗せてレジャーに転用できる、そんなジャンルだった。その代表格が日本でも大人気のルノー カングーだ。

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しかし、同時発表のベルランゴがすでに欧州で商用車としてヒットしているにも関わらず、リフターはリュドスパスでも商用車でもなく、SUVでもミニバンでもない、新タイプの「アクティブなレジャー用の乗用車」であると、プジョーはいう。よってルノー カングーと競合するモデルではない、というのだ。

これには欧州の商用車事情も関係ある。初代カングーは1990年代後半にデビューし、欧州Bセグメントベースの商用車だった。対してPSAプジョー・シトロエンでカングーに当時、相まみえたのはプジョー ビッパーとシトロエン ネモ。いずれもMT仕様しかなかったため日本市場では展開されなかった馴染みの薄いモデルだが、その上のCセグメント商用バンとしてプジョー パルトネールとシトロエン ベルランゴがあった、カングーは2代目から「デカングー」呼ばわりされたほど大きくなったとはいえ、ルノーのユーティリティ陣営でその上は全長5m前後のマスターだから、ワンボックス車となってしまう。プジョーの言い分は、元よりCセグのライバルとして等価的存在ではなく、乗用車として作られたリフターは商用バンより上位カテゴリー、といわんばかりの遠ざけ方なのだ。うーん、いけず。

実際、リフターはプジョー308や3008、シトロエンC4スペースツアラー(かのアーティストの家族と契約終了に伴って改名)と同じEMP2プラットフォームに基づいている。最上級トリムである「GT」の、ドアを開けてアップライト気味のドライバーズシートに腰を下ろすと、なるほど、確かにバンよりはSUVのような内装で、コクピットのロジックは小径ステアリングの上方からメーターパネルを視認する、プジョー独自のi-コクピットだ。

ハードプラスチックも少なくないのだが、安っぽく見せないのはマットなグレーとカッパーのツートン、そしてブロックチェック柄のツイード風ファブリックのシートも、オレンジのステッチが入っていて、確かに商用車ではありえない内容となっている。

独立3座の2列目シートも、前列シートと同じテーマでまとめられ、見すぼらしさは皆無。スライド量に応じてリアのラゲッジスペースは5人乗車のままで775リットル、2列目と助手席を畳めば最大3500リットルにも達する。

加えてラゲッジスペースは、トノーカバーを中段にかませて上下2分割でシェルフのように使うことも可能で、リアハッチゲートはガラスウインドウのみの開閉もできる。このモジュラー性の高さと空間ボリュームの並外れたサイズ感はやはり、商用車ユーティリティを思わせるのだが、あくまでその骨格を乗用車に用いた、というのがプジョーの強弁(!?)の拠りどころというか、アマルガムの素なのだろう。

荷室の話が出たので、車内の細々した収納についても触れておこう。前席のダッシュボード周りやドアパネルには、そんなに飲めるか? というぐらい、ペットボトルその他の小物を置けるポケットが充実している。

こういう実用的な仕掛けを凝らしたらプジョーはピカイチだと感じるのが、収容物が転がってこないように頭上シェルフの内側を、凹凸でなく波型に加工してあるところ。取り出しやすさも考慮した、とてもよく練られた形状だ。

ここまで見て乗用・レジャー用途にしておくのが惜しい……と考えるような、おしゃれ自営業や商店オーナーは、フランスには山ほどいそうなものだが、リフターの強みは大容量の収納パッケージに終わらない。PSAグループが「最後のディーゼルエンジン」であると公言し、ユーロ6.2規制に合わせて新開発した1.5リッターターボのBlueHDi130に、アイシンAW製8速ATを組み合わせたパワートレインを有するので、日本市場にはもしかしてリフターで初導入となる可能性もある。

スライド式のシフトダイヤルをD に合わせ、市街地に一歩出ただけで、BlueHDi130のディーゼルエンジンとして並外れた軽さと、1750rpmで300Nmを発生する必要十分なトルク、そしてEMP2ならではの正確なステアリングフィールが伝わってきた。

アイドリングストップから再始動するさいの静かさも、ゼロスタートからゆっくり踏み込んだ時の回転フィールのスムーズさや振動の抑え具合も、現行のプジョー・シトロエンで最上級の2リッターディーゼル、BlueHDi180を凌駕するほどだ。平たくいえば、上質な上に軽快。それが軽量・低重心で鳴るEMP2プラットフォームに載っているのだから、ワインディングでのハンドリングの軽快さたるや、いうまでもない。

8速の多段ATだけに、街中でもそそくさと5速までシフトアップする。一方でアクセルを強めに踏み込んだ時のキックダウンは、もっさりした印象はない。郊外での90km/h走行では、7速に入った後、かなりの距離でこの速度をキープしないと8速に入らないが、1430kgという車重に300Nmのトルクがあるため、どんな場面でも軽快さの方が際立っていた。

実際、足回りもロールはするがロールスピードは抑え目で、ストローク長を活かした乗り心地が感じられる。屋根の高いクルマながら、その姿勢をフラットに保つ感覚だ。装着タイヤがグッドイヤー、215/60R17のエフィシェントグリップ・パフォーマンスという選択もシブい。走・止・曲の三原則はもちろん、ウェットや燃費性能、静粛性にもこだわった欲張りタイヤを、絶妙のサイズで履きこなしている印象だった。

そして明らかに商用バン離れしている、と思わせた点が、いわゆる先進運転支援システム関連パッケージに一切の手抜きがないところだ。車速感応式クルーズコントロールにアクティブブレーキアシスト、車線逸脱警告と最低限の修正舵だけ行うレーンキープ機能に加え、360度モニターやパークアシストも備わる。

今回、乗ったのは全長4403×全幅1848×全高1874mm、ホイールベース2785mmのショートボディ版の5人乗りだが、当然3列目のシートも用意され、7人乗りも可能。日本導入時期は、プジョー・シトロエン・ジャポンによれば2019年前半の予定だそうだ。車両価格はおそらく、Bセグでないという以上、ルノー カングーより一段高い価格帯、おそらくは250~300万円弱に落ち着くだろう。価格ではなくキャラクターとしては、シトロエンC4スペースツアラーとルノー カングーの中間ジャンルといえるのではないか。上陸が楽しみな1台だ。

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(GQ JAPAN 南陽一浩)

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