■最大料金繰り返しの誤認によるトラブルにはどんな例がある?
2006年6月から施行された改正道交法で駐車禁止の取り締まりが強化されて以降、短時間でもコインパーキングなどの駐車場を利用する人が増えてきました。と、同時にトラブルも多数発生。特に大きな問題の一つが最大料金や平日と休日料金の違いに関する表示です。どのようなトラブルがこれまであり、駐車場の業界団体ではどのような対策を講じているのでしょうか?
コインパーキングから「ロック板」消える? 不正防止よりも重要視することとは
最大料金に関するトラブルのうち、独立行政法人国民生活センターに寄せられた例をいくつか紹介してみましょう。
・「当日最大1,000円」と大きく看板に書かれているコインパーキングを2日間利用した。利用料金は2,000円だと思っていたら、それ以上の料金を請求された。看板をよく見ると「2日目以降は通常料金」と小さく書かれていた。表示が分かりにくい。
・「最大料金1日600円」と記されてあったので3日間停めたら1日600円とは停めた日にだけ適用されるもので、24時を過ぎると通常料金となり1万円以上を請求された。
・最大料金があるのは平日の夜と休日の昼間だけ。平日の昼も最大料金があると勘違いして停めてしまった。
筆者(加藤久美子)も数年前に、都心のとあるコインパーキングに停めた時に「3時間1000円」と書いてあったので、6時間停めていたのですが、料金を支払おうとしてびっくり。6000円以上になっていました。「3時間1000円」は繰り返しではなく、1回きりであとは通常料金が加算されていく仕組みでした。よく見ると、かなりわかりにくい所に小さな文字で「3時間経過後は通常料金」と書かれてありました。
■わかりにくい表示。利用者は泣き寝入りするしかないの?
「繰り返しなし。24時間経過後は通常料金」「最大料金は夜間と休日のみ」など、小さくわかりにくい表示であっても見落とした利用者が悪いのでしょうか? 平成25年10月3日に国民生活センターが発表した資料の中には、以下のように記載されています。
「消費者がコインパーキングを利用するかどうかを判断するに当たって重要な要素となる利用料金等について、一定の条件があるにもかかわらず、消費者がそのコインパーキングを利用する前にそれを認識できない場合、そのような表示は、景品表示法に定める『有利誤認表示』に該当するおそれがあります」(国民生活センター)
その後、国民生活センターは業界団体である「日本パーキングビジネス協会」に対して要望書を出し、現在では「時間貸駐車場における表示・運用に関するガイドライン」(日本パーキングビジネス協会作成)に基づき、駐車場に掲示される表示は以下の内容をベースに作成されています。
(1)利用料金や利用条件などについて、独特な表現を多用せず分かりやすく表示すること。(2)大きく理解しやすく表示をすること。(3)利用規約についても、利用者がコインパーキングを利用する前に確認できる状態で掲示すること。(4)統一的な表示に関する基準を作成することも検討すること。(5)駐車券を紛失した際、適切な紛失時料金を徴収すること。(6)釣銭が出る精算機を導入すること。困難な場合、釣銭が出ないということを利用者が理解した上で利用することができるような表示を行うこと。(7)精算機には、利用者が操作を誤っても取り消すことができるような機能を必ず付けること。(8)駐車期限の注意。(9)月極併用の注意。(10)ゲート式駐車場の精算後バックの注意
では、わかりやすい表示とはどのような表示を言うのでしょうか? 画像は日本パーキングビジネス協会が作成した「最大料金繰り返し適用あり、特別料金(車室別料金)あり」の場合の模範的な表示例です。
「最大料金」「通常料金」はそれぞれ文字高45mm以上。繰り返しの有無についてはわかりやすい位置に文字高30mm以上で記載することが望ましいとされています。
■青森ねぶた祭の「1時間5000円」は運営会社に非は?
高額駐車料金と言えば、8月上旬に開催された青森ねぶた祭で普段の16倍もの特別料金を設定した駐車場が話題になりました。ネット上では「ぼったくり!」「ひどい会社!」などという非難の声が多く上がり、運営会社も後日、謝罪をしています。
しかし、駐車場の運営会社「パラカ」の発表によると、期間中に駐車場に車を入れた客の総数は315人で高額な料金に気づいてすぐ駐車場を出た(料金はかからない)人はうち122人。提携する「ホテルJALシティ青森」の宿泊や飲食による無料サービスを利用した人が117人。残り76名が1時間5000円の高額料金を支払ったことになります。
その日が特別に高額料金になることは7月末から駐車場の入り口に大きく掲示されており、さらに駐車場内合計12か所に高額料金に関する注意が掲示されていたとのこと。実際に高額料金に気づいて駐車場を出た人もたくさんいるので、これでは「誤認表示」とは言えないでしょう。
なお、わかりにくい表示は「有利誤認表示」に該当し、行政からの措置命令・刑事罰へ発展する可能性が高くなります。
もし、不正な表示のせいで最大料金のシステムを誤認し、高額の駐車料金を支払うことになった場合は、駐車場運営会社や消費生活センター、国民生活センターなどに相談してみてはいかがでしょうか。
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