現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ケンメリGT-R 公道試乗「松田次生が語るハコスカとのちがい」

ここから本文です

ケンメリGT-R 公道試乗「松田次生が語るハコスカとのちがい」

掲載 更新
ケンメリGT-R 公道試乗「松田次生が語るハコスカとのちがい」

7台を所有する究極のGT-Rマニアが、“ケンメリR”をぶった切る

日産のエースドライバーとして、国内最高峰のハコのレースである「SUPER GT」のGT500クラスに参戦。松田次生は、C10/R32/R33/R34/R35の歴代GT-Rを7台を所有する生粋の”Rマニア”としても有名だ。今回、彼が唯一所有していない「ケンメリGT-R」の試乗を敢行。現役トップドライバーは、どのような評価を下すのだろう。

ホイールベース短縮でサーキットを征服したGT-R 「ハコスカ」はこんなクルマだった



軽快感が魅力のハコスカ、一方のケンメリは?

R33GT-Rから始まり、その後にR34を2台、NISMO 400R、R32 を購入し、わずか数年で第2世代GT-Rはコンプリート。昨年は、ハコスカGT-R(KPGC10)、R35 NISMO、R35を入手。松田の手元には歴代6モデルのGT-Rが揃うという、なんとも羨ましい環境だ。最後に残された”R”まで手に入れそうな予感もある、究極のGT-Rオタク。その足りないピースである「ケンメリGT-R」を体験してもらおうというのが、今回の趣旨だ。まずは、試乗前にイメージしているケンメリR像を聞く。

「年代が近いせいか、雰囲気なのか、ハコスカと似ていますね。ただ、ハコスカはスタイルが純日本風でありながら、レーシングカーのような交戦的な臭いがします。一方、ケンメリは時代の流れなのかアメリカンなイメージで、どこか洗練された印象。もし、レースに参戦していたならば、どんな風に仕立てられただろうか。想像するだけで胸が熱くなりますね」。

今回の車両は、千葉県・香取市のプリンス系旧車専門店『プリンス ガレージかとり』の香取孝代表が保有する秘蔵コレクション内の1台。完調なコンディションで乗ってもらいたいと、この日のためにキャブレターをオーバーホールしてリセッティングしたという。

ハコスカとは隔世の差あり、安定感のある走りが魅力だ

いよいよ、ケンメリRの試乗がスタート。上り坂を颯爽と駆け抜けるケンメリと、シンクロするように名機S20型エンジンのサウンドが山間にこだまする。初体験のケンメリGT-R。印象はどうだったのだろうか?「驚かされたのが、完成度の高さ。ボディ剛性は高く、ハコスカとはいろいろな意味で隔世の差があるし、クルマとして各部が進化していること感じます。ハコスカはよく言えば軽快。悪く言えば荒々しい。ケンメリと比べればボディ剛性が低く、コーナリング時の姿勢が安定しませんが、そのぶん乗りこなすのがハコスカGT-Rの楽しさでもありますね。乗り手を選ぶ感覚は、ドライビングスキルがある人にとっては非常に魅力。一見では同じに見えるバケットシートですが、ハコスカよりも幅に余裕があり、こういった所も改良されていました」。

ボディ剛性が高まり、トレッドを拡大したケンメリR。安定した姿勢を作ることができ、路面からの影響もしなやかに受け止めるので、安心しながらコーナーを抜けられる。ハコスカは乗るために気持ちをオンにしなくてはいけないが、ケンメリは乗ることに構えることはなく毎日乗っても疲れない懐の深さがあるようだ。

「ただ、完成度の高さがすべてをマイルドに感じさせます。ハコスカと比べて、車両重量増は45kgですが、乗り比べると、それ以上にサイズの差と重量差を感じますね。どこまでも回っていくようなS20のエンジンフィーリングは、ほぼ互角。ただ、ハコスカならば3速で登る上り坂でも、ケンメリは3速では失速し、2速で引っ張らないと速く走れませんでした。軽さと軽快感が魅力のハコスカ、ボディ剛性の高さが生む走りの安定感ではケンメリの方が優位でしょうね」。

ハコスカとケンメリ。松田の中で第2世代のGT-Rに例えれば、ハコスカが”32″で、ケンメリが”33″。実際に愛車の”33″から初めて”32″に乗ったときに、今回のケンメリとハコスカで感じたのと同じような違いを味わったそうだ。時代は繰り返す、まさにそんなところではないだろうか。

「ハコスカは余分なものを削ぎ落としてスポーツ走行に特化したモデル。ケンメリは扱いやすさも考えて作られたファッショナブルなクルマに、高性能なS20エンジンを搭載したスポーツモデルという印象です。ただ、クルマとしてのポテンシャルはケンメリのほうが高く、チューニングを含めて磨き上げる楽しさが残されていますね」。

故・櫻井眞一郎氏も「オイルショックがなければ、S20エンジンはまだ進化の余地があった」と語っていた。時代の流れによって、ケンメリのレース参戦は叶わなかったが、開発が続けられたていたのならば完成度の高いボディを生かして、ハコスカを凌駕するレースマシンが誕生していたかもしれない。

「GT-Rはどの世代も個性的で魅力溢れたクルマであることが再確認できました。”R”は本当に最高です」。 (文中敬称略)

取材協力:プリンスガレージかとりhttp://www.pg-katori.com/

(レポート:GT-Rマガジン編集部)

関連タグ

こんな記事も読まれています

“6速MT”もある新型「トルネオ」!? SUV風デザインが超カッコイイ! 日本でも”最高にちょうどいい“「コンパクトミニバン」とは
“6速MT”もある新型「トルネオ」!? SUV風デザインが超カッコイイ! 日本でも”最高にちょうどいい“「コンパクトミニバン」とは
くるまのニュース
ホンダアクセス、新型ヴェゼル用・純正アクセサリーを発売開始
ホンダアクセス、新型ヴェゼル用・純正アクセサリーを発売開始
月刊自家用車WEB
これからの物流の要となる小型EVトラック普及の鍵! EV充電スポットが「小型EVトラック」にも開放された
これからの物流の要となる小型EVトラック普及の鍵! EV充電スポットが「小型EVトラック」にも開放された
WEB CARTOP
横浜ゴム「GEOLANDAR X-CV」「GEOLANDAR A/T G31」がトヨタ 新型「ランドクルーザー250」に新車装着
横浜ゴム「GEOLANDAR X-CV」「GEOLANDAR A/T G31」がトヨタ 新型「ランドクルーザー250」に新車装着
くるまのニュース
スフィアライトから「純正LEDフォグパワーアップバルブ」が発売
スフィアライトから「純正LEDフォグパワーアップバルブ」が発売
レスポンス
明るい話題だけではやっていけない。メルセデスF1代表、終わらない苦戦から「チームが一歩踏み出す必要がある」
明るい話題だけではやっていけない。メルセデスF1代表、終わらない苦戦から「チームが一歩踏み出す必要がある」
motorsport.com 日本版
WRC育成2期生、初のターマック戦『クロアチア・ラリー』を完走。グラベルクルーとの連携も経験
WRC育成2期生、初のターマック戦『クロアチア・ラリー』を完走。グラベルクルーとの連携も経験
AUTOSPORT web
どこがどう違う?ボルボの最新コンパクトEV「EX30」とレクサス「LBX」を徹底比較
どこがどう違う?ボルボの最新コンパクトEV「EX30」とレクサス「LBX」を徹底比較
@DIME
日本で大人気の「軽自動車」なんで海外で売らないの? コンパクトで「燃費・性能」もバツグン! “高評価”でもメーカーが「輸出しない」理由とは
日本で大人気の「軽自動車」なんで海外で売らないの? コンパクトで「燃費・性能」もバツグン! “高評価”でもメーカーが「輸出しない」理由とは
くるまのニュース
レクサス、新型SUV「GX550」を今秋に発売! さらに100台限定で“オーバートレイル+”も先行抽選販売へ。
レクサス、新型SUV「GX550」を今秋に発売! さらに100台限定で“オーバートレイル+”も先行抽選販売へ。
くるくら
レクサスが新型「GX550」の限定モデル“OVERTRAIL+”を抽選で発売
レクサスが新型「GX550」の限定モデル“OVERTRAIL+”を抽選で発売
@DIME
F2王者プルシェール、F1参戦叶わなければインディカーフル参戦も視野に? オーバル挑戦にも前向き「チャンスがあれば当然やりたいよ」
F2王者プルシェール、F1参戦叶わなければインディカーフル参戦も視野に? オーバル挑戦にも前向き「チャンスがあれば当然やりたいよ」
motorsport.com 日本版
ノンジャンル220台のマニアック車が集合…第15回自美研ミーティング
ノンジャンル220台のマニアック車が集合…第15回自美研ミーティング
レスポンス
全国各地で地震が多発! クルマまわりの防災設備をさらに強化しつつ「モバイルトイレ」にも期待【連載 桃田健史の突撃!キャンパーライフ「コンちゃんと一緒」】
全国各地で地震が多発! クルマまわりの防災設備をさらに強化しつつ「モバイルトイレ」にも期待【連載 桃田健史の突撃!キャンパーライフ「コンちゃんと一緒」】
LE VOLANT CARSMEET WEB
6速MT搭載! マツダ「小さな高級コンパクト」あった!? クラス超え“上質内装”×めちゃスポーティデザイン採用! 登場期待された「斬新モデル」とは
6速MT搭載! マツダ「小さな高級コンパクト」あった!? クラス超え“上質内装”×めちゃスポーティデザイン採用! 登場期待された「斬新モデル」とは
くるまのニュース
人気の無料地図アプリ「グーグルマップ」の道案内はまだ“純正カーナビ”にはかなわない!? 使いこなすのに覚えておくべきアプリの“クセ”とは?
人気の無料地図アプリ「グーグルマップ」の道案内はまだ“純正カーナビ”にはかなわない!? 使いこなすのに覚えておくべきアプリの“クセ”とは?
VAGUE
郵便局の集配車が「赤く蘇る」、KeePerが8000台を施工
郵便局の集配車が「赤く蘇る」、KeePerが8000台を施工
レスポンス
トヨタ「GR86」とスバル「BRZ」がそれぞれ「良いクルマ」を目指したら、驚くほど似た味付けになってしまいました
トヨタ「GR86」とスバル「BRZ」がそれぞれ「良いクルマ」を目指したら、驚くほど似た味付けになってしまいました
Auto Messe Web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村