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業界ニュース 2018.8.17

【MaaSベンチャー】日本人が作る日本のライドシェアを目指す…Azit 須藤信一朗氏[インタビュー]

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Uber(ウーバー)型のライドシェアサービスが日本国内で展開できない状況のなか、法規制をクリアしたうえでライドシェアを展開しているドライブマッチングアプリ「CREW」は、どのように法規制をクリアしたのか。そして今後の目論見は。CREWを展開する株式会社Azit共同創業者で、取締役CCO(最高文化責任者)の須藤信一朗氏に話を聞いた。

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CREWの概要

---:まずCREWがどのようなサービスなのか教えてください。

須藤氏:はい。CREWはドライブマッチングサービスと言いまして、2015年の10月にサービスを開始しました。まずアプリを起動して出発点と到着点を設定します。するとCREWパートナーと呼ばれるドライバーとマッチングをします。

マッチングが成立して移動して、目的地に到着すると、乗った方と運転した方それぞれが相互評価をします。また、乗った方は謝礼として、自分でいくら払うかを決めるというモデルです。(輸送に対する)有償性の生じない新しいスキームです。

---:謝礼はゼロ円でもいいんですか?

須藤氏:ゼロ円でもいいです。自分で謝礼の額を決めます。運転した方と料金の交渉をするということではなく、運転した方のホスピタリティ、思いやりに感謝して決めていただきます。「ありがとうと思いやりの循環」と我々は呼んでいるのですが、そういったサービスを目指してやっています。

---:車を提供する側はガソリン代などの実費が発生しますが、これはどうなるのでしょうか。

須藤氏:支払われます。ガソリン代は請求してもいい、と無償運送の範囲内の法的なルールの中に書かれています。ガソリン代は移動距離と車ごとの実燃費の掛け合わせで計算して決められます。

---:ドライバーとお客さんで実費を按分する必要はあるのですか?

須藤氏:いえ、按分していません。その全部をお客さんに請求しています。法的にも問題ありません。

---:実費に関しては、決済するときに推奨支払額という形で提示されるのですか?

須藤氏:いえ、そうではなく実際にガソリン代がこれだけかかりました、手数料がいくらです、と表示されていて、そのまま決済をしていただく形です。

---:例えば謝礼をゼロ円とした場合でも、実費分は自動的に運転した方に支払われるということですか?

須藤氏:はい、そうです。

---:手数料というのは御社の取り分ということですか?

須藤氏:はい。マッチング手数料として1ドライブ20円と、安心安全保障料を1分あたり20円としています。1分ごとに我々カスタマーサポートチームが見ているので、カスタマーサポートという意味合いでいただいています。

---:1分20円であれば、1時間乗ると1200円ということですね。

須藤氏:そうですね。

---:この手数料も法的に問題ないということですか。

須藤氏:運送の対価ではないので問題ありません。サービスの運営費として取っていますので。逆に手数料がドライバーさんに支払われるとNGです。そうなると運送の対価になる可能性があります。僕らとしては、こういったスキームもすべて国土交通省に伝えた上で確認をしています。

---:仮に1時間乗車すると、プラットフォーム手数料が1200円、最初のマッチングで20円、1220円が御社に入ってくるということですね。

須藤氏:そうです。

安心安全保証料とは

---:1分20円の安心安全保証料についてですが、具体的にはどのようなサポートをするのでしょうか。

須藤氏:起こりがちなケースとしては、乗る方と運転する方がうまく合流できないというものがあります。運転する方が、間違えて出発地ではなく目的地に向かってしまった場合に、「間違えていますよ」という連絡をしたり、あるいは乗る車が分かりづらくて合流できない場合に、「アプリ内にマッチングした車のナンバープレートの番号が出ているので、それを確認してください」といったサポートをしています。カスタマーサポートという意味合いが強いですね。

---:ドライバーの身分確認はどのようにしているのでしょうか。

須藤氏:運転する方をCREWパートナーと呼んでいるのですが、パートナーには面談と書類チェックを行っています。免許証の確認や保険に加入しているかどうかなどです。また今後、反社会勢力かどうかのチェックを追加する予定です。我々としてもそういう所をしっかりやっていこうということで進めています。

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サービスの完成度を上げていく

---:御社の収益は、1ドライブあたり20円に加えて、カスタマーサポートの1分20円ということになりますね。

須藤氏:そうです。今は収益を最優先するのではなく、まずはプラットフォームをしっかり作っていくことに注力をしている段階です。

---:将来的に、収益性を上げるために20円を値上げする可能性はありますか。

須藤氏:20円を値上げするかどうか、今の時点で決めているわけではありません。ただ、値上げしたところで利用者が減っては意味がないので、僕らの都合で決めるというより、サービスの利用のされ方やデータを取りながら意思決定を進められればと思います。

移動を非日常体験に

---:CREWパートナー(ドライバー)はどのような方が多いんですか?

須藤氏:車好きの方たちがすごく多いなと感じています。「CREWが最高の趣味です!」と言っていただいたり、「趣味がドライブです」という方が多くて、そういう方々が楽しみながら参加していただいています。

---:めずらしい車に乗っている方もいるそうですね。

須藤氏:昨日、CREWを使って移動したんですが、偶然ですがランボルギーニのオープンカーの方が来ました。やっぱりそういう車に乗れると楽しいなってあらためて思いましたね。

移動って窮屈なことが多いなという印象があって、電車も満員電車やいろいろなストレスがあるなかで、ランボルギーニのオープンカーで家まで帰れるとは思ってもなかったので、やっぱり心躍る瞬間は乗っている側もありますし、運転する側も、車好きの方から「この車すごく良いですね」って言われて嬉しいんじゃないかと思っていて、そういう車好きの心をくすぐられるようなサービスでもあるのかなと思っています。

---:マッチングする時に、車種を選べるんですか?

須藤氏:車は選べませんが、これまで実験的に進めてきたことですが、体験を選べる、という企画は実施しています。今夜はオープンカーで帰ろう、セダンでリラックスして、ゆったりとした音楽で、などです。何かそういうファンな要素があると、移動がどんどん非日常の体験になっていくと思うので、そういう企画は僕らとしても進めていきたいと考えています。

---:オープンカーに乗る気分じゃない日もあると思うのですが、どんな人が運転しているのか、どんな車かはマッチングした時に初めて分かるわけですよね。それを見て乗車をキャンセルすることはできるんですか?

須藤氏:それはできますね。CREWパートナーの評価も表示されますし、これまで乗せてきた方々のコメントもすべて見られるようになっているので、それを見てキャンセルするかどうか選べるようになっています。

タクシーが拾えないときにCREWで帰宅

---:CREWのサービスはどのような利用シーンが多いのでしょうか。時間帯や時期的によく使われる傾向はありますか?

須藤氏:去年の年末は利用者がとても多かったですね。雪が降ったり、クリスマス前後ですごく寒くなった日があって、タクシーもなかなか拾えなくなってしまった時に、CREWを使って帰ることができたのはすごくよかった、という声を聞きました。

それから印象的なエピソードとしては、同じところをくるくる回っているドライブがあったのですが、オープンカーに初めて乗った方が、楽しくてもうちょっと走っていてほしいということで、家の周りを回ってもらっていたという話がありました。あるいは、遠回りだけど東京タワーを見ながら帰りたいという話を聞いて、サービスの使われ方が変わってきたなと思う瞬間がありました。明日に向けての元気じゃないですけど、帰り道が快適だとやっぱり元気になるなと思うエピソードがありましたね。

---:帰り道に使う人が多いんですか。

須藤氏:帰り道が多いですね。例えばCREWライダー(乗る方)が缶コーヒーを2本買って待っていてくれて、お疲れですって一緒に飲みながら移動したというエピソードもありました。

CREWという名前や、サービスのロゴでも表現しているんですけど、車内で同じ時を過ごす仲間という意味合いがあって、そういうところは缶コーヒーのお話であったりとか、一緒に会話をしていく、自然な状態でお互い、ただ思いやりを持って感謝の気持ちで運んでいくというのがすごく良いなと思っていて。やっぱり日本らしいサービスだなというふうにも思っていまして。

それこそ今回与論島での実証実験(※)も、僕も与論島を歩いているとき、知らないおじちゃんが、「暑いから乗っていきな」って声をかけてくれるような、島全体にそういうコミュニティがあるので、すごく相性が良いといいと感じています。

※株式会社Azitとヨロン島観光協会は、観光ピーク時の公共交通機関不足問題に対処するため、与論島内でCREWを使った新たな移動手段を提供する実証実験を8月から開始すると6月21日発表した。

日本人が作る日本のライドシェア

---:今回の与論島の実証実験は、公共交通が不足しているエリアへのサービス展開の第一歩という位置付けですか。

須藤氏:そうですね、交通空白地帯と呼ばれる地域で、CREWがどれだけ利用してもらえるのか、CREWパートナー(ドライバー)のご意見はどうなのか、既存のタクシー会社やバスの会社も含めて、どういうご反応なのかというところも含めて、やってみないと分からないこともたくさんあるので、まずは実証実験という形で始めたいと思っています。

---:与論島の実証実験では、どんな人がCREWパートナーに登録しているんですか?

須藤氏:旅館の家主さんや、役場に勤めている方もいますね。あるいはスキューバダイビングのインストラクターの方もいました。

---:なるほど、四六時中忙しいわけじゃないので、空いている時間はお手伝いするということですね。

須藤氏:そうですね。海がとても綺麗な島で、そこは皆さん誇りに思っているので、観光客の方にはやっぱり海を見てもらいながらドライブしたいよねと話していました。

---:CREWのサービス設計においても、道交法の縛りで規制されている部分が今はあると思うんですが、たとえそれが無くなったとしても、Uberとは違うサービスを目指すのでしょうか。

須藤氏:そういう意味では、日本人が作る日本のライドシェアというか、我々はドライブシェアと呼んでいますが、その形は大きく異なってくると考えています。

当社でも最初はUberやLyftを参考にしていた部分もありますが、実際に利用されている方々にインタビューしていくと、日本に合う形だとこうだよね、というのが見えてきました。サービスにおいても、より日本の温かみが伝わるようなコミュニティー作りや、カルチャーも含め、日本らしいCREWというサービスができているのかなと思いますね。

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(レスポンス Koichi Sato / Kazuya Miura)

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