アストンマーティンは新しい時代に入りつつある。そう思わせるのが、この1年でのモデルラインナップの刷新ぶりだ。
2017年11月の「ヴァンテッジ」、2018年3月にメルセデス・AMG製V8搭載の「DB11」と続けざまに新型車を発表した。そして、今年7月には今回試乗した「DBSスーパーレッジェーラ」がくわわった。
アストンマーティンが「スーパーGT」と呼ぶDBSスーパーレッジェーラ(以下DBS)は、DB11よりパワフルで、いっぽうヴァンテッジより乗りやすい。スポーツカーを実用にも使いたいというひとには、いいところを突いたモデルといえる。
ジャーナリストむけ国際試乗会が行われたのは、ミュンヘンからオーストリアはザルツブルグに向けて2時間ほど走った有名な保養地ベルヒテスガーデンだ。
高級ホテルもあるリゾートの雰囲気がDBSに合うし、いっぽうでアルプスに連なる山岳路がある立地も、この種のクルマを試乗するには向いている。
搭載するエンジンは、最高出力725ps、最大トルク900Nmの5.2リッターV12だ。DB11に搭載するV12(639ps、700Nm)の数値をはるかに上回る。しかも車重はDB11より73kgも軽い。
ロータスから移籍したチーフエンジニアのマット・ベッカー氏は「スポーティさと快適さのファインチューニングに努力を傾注した」と語った。なるほど、納得の結果だと感じられる。
ゆったりと流しても楽しい。速度を上げると気分が盛り上がる。味わいは異なるが、この点においてはポルシェ911のようにオールアラウンドな性格と感じた。
それほど速度を上げていなくても楽しめるのは、ステアリングの正確性、シャシーの応答性、それにエンジンの反応がいいからだ。あらゆる速度域におけるダイレクトさは大きな魅力だ。
いっぽうでアクセルペダルを踏みこんだときの加速力はすさまじい。「後輪駆動の限界」とベッカー氏が言うぐらいのトルクを受け止めるのは、ファインチューニングが施されたサスペンションシステムと、ピレリが専用開発した21インチ径のタイヤである。
中音域が強調されたアストンマーティン車特有の排気音を響かせながら、静止から時速100キロメートルまでわずか3.4秒で到達するというだけあって、そのダッシュ力はすさまじい。
爆発するようなエンジンパワーはインタークーラー付きターボチャージャーの恩恵でもある。
「加速力と燃費のためにターボは避けて通れない。イタリアのライバルもそのうち採用するのではないでしょうか」。ベッカー氏はそう述べた。
スーパーレッジェーラの由来
ブレーキはカーボンセラミック製のディスクがおごられているので、少し強めに踏み込んだところからの微妙なコントロール性はすばらしい。
コーナーとコーナーを短いストレートがつなぐようなアルプスの道でも、DBSは役不足と思わせることなく、加速力と制動力の高さを印象づける。
足まわりのセッティングはとてもよくて、高速クルージングのような場面では、路面の凹凸をていねいに吸収して、じつに快適。「スーパーGT」と、アストンマーティンが定義しただけある。
スーパーレッジェーラとは超軽量を意味するイタリア語で、「ツーリング」というミラノのカロッツェリア(車体製作業者)の特許だった。
アストンマーティンは「DB4」(1958年)などアルミニウムボディのモデルにこの名を採用した。これらモデルはキャビンまわりを鋼管フレームで組んでいたが、今回のDBSは鋼管フレームを使っていない。
それでもスーパーレッジェーラの名を採用したのは、「軽量化を意識した、という意味」と、デザインを担当したジュリアン・ナン氏は言っていた。
さきに触れたように乗り心地はわりと重厚なよさがあり、GTとして魅力的だ。おとなっぽいスポーツカーというのがDBSの存在意義だと思う。
スタイリングは大きな3次元曲面を使ったフロントグリルに上下幅の狭いヘッドランプが、新しさを感じさせる。
リアビューは大きなディフューザーが目に入る。ルマン24時間をはじめ、世界のGTレースで実績を挙げてきたブランドだけのことはあると思わせる。
そこで目を惹くのは「ASTON MARTIN」の文字だ。これはほとんど初の試みではないだろうか。「新興市場で印象づけるため」と開発担当者は理由を説明した。
エンジン排気量のダウンサイジング化とともに、パワートレインの電気化が世の趨勢となりつつある。そんななかV12にこだわる意味は? とベッカー氏に尋ねると「アイコンだからです」とシンプルな答が返ってきた。
たしかにアストンマーティン・ラゴンダ社のアンディ・パーマーCEOも「アストンマーティンはガソリン・エンジンのスポーツカーであることにこだわる」と述べている。
その“こだわり”がいつまで続くかはさだかではない。マクラーレンですら近い将来はPHVになると明言しているのだ。
DBSに乗っていると、パーマーCEOの言葉にもかかわらず、「これがガソリン・エンジンのアストンマーティンが放つ最後の輝きの1台なのだろうか……」と、センチメンタルな気分になってしまった。それだけ明るい輝きなのであった。
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