売れてるクルマや新しいクルマについては、多くのメディアで取り上げられて、その近況や今後の動向を簡単に知ることができる。
しかし売れていなかったり、発売から時間がたって新型発表の見通しが立っていないモデルでも、担当開発者や担当営業マンはいて、なによりファンがいる。ユーザーもたくさんいる。
売れるクルマの記事はほかの自動車メディアにお任せして、当サイトでは定期的に「あんまり売れていないクルマの記事」もお届けします! 売れてないクルマにも愛を!!
文:ベストカーWeb編集部
■三菱パジェロ 2018年6月販売台数 54台
全盛期を知る者からすれば涙が出る数字。パジェロの初代モデルが登場したのは1982年。無骨さを抑えたルックスと優れた4WDシステムで日本にクロカン4WDブームを巻き起こし、1992年には月間販売台数でカローラを抜いて第1位に輝いた。パリ・ダカールラリーでも活躍し(総合優勝12回!)、ラリーレイドの世界では圧倒的な存在感を誇った名車なのだ。
ところが21世紀になるとそんな栄光がすっかり色あせてしまう。2006年に4代目モデルを投入するものの、各社が続々と発売するSUVにシェアを奪われ、今年2月にはついに国内向け3ドアの生産が終了してしまった。
ライバルのランドクルーザーが高級SUV市場を開拓したのに対し、パジェロはプレミアム性を身に着けられなかった点が惜しまれる。
しかしだ。熟成が進んだ4WD技術や、モノコックとラダーフレームのいいとこどりをしたビルトインフレームの乗り味などは今でも第1級。プラドやハリアーがほしいと考えている人は、食わず嫌いしてないでぜひとも試乗するべし!
■日産フェアレディZ 2018年6月販売台数 66台
2019年、フェアレディZは記念すべき誕生50周年を迎える。となれば販売もそれなりに上向いているかと思えばこの数字(涙)。全世界で55万台を売り上げた初代モデルS30型も、あの世で悔し涙に暮れているだろう。
いうまでもなく、フェアレディZは日本を代表するスポーツカーだ。1969年にS30が登場し、2000年に一度世代が途切れたが、2002年に2シーターのピュアスポーツモデルとして復活を果たした。現在のZ34型は3.7L、V6エンジンを積む6代目モデル。すでに発売後10年を数えるが、今年3月には特別仕様車「Heritage edition」を発表し、健気に存在をアピールしている。
400万円台の2シータースポーツという希少種ゆえ、国内にはライバルが存在せず、海外ではBMW・Z4やポルシェ・ボクスターが仮想敵となる。
その復活案だが、来年、復活するスープラをぜひとも利用してほしい。話題はライバル同士がせめぎあうことで生まれるからだ。
個人的には、おきて破りの4気筒ターボを350万円くらいでリリースしてほしいのだが、ボンネットに直列4気筒が収まらないらしい。ならば「ワインディングまでは快適に」というコピーで、人気の「プロパイロットモデル」を出せないものだろうか?
■ホンダアコードハイブリッド 2018年6月販売台数 179台
とほほ。
モデル末期とはいえ、なんとも寂しい数字。ライバルのトヨタカムリが同月に(それでもなんとか)1448台を売り上げているのを知るといっそう寂しい。
1976年、シビックの兄貴分としてデビューしたハッチバックがアコードの始まりだが、日本ではセダンボディが人気を集め、長くホンダの屋台骨を支える主力セダンの地位を保ってきた。
日本車として初めて北米生産されたクルマでもあるのだが、近年はボディサイズやデザイン面でもアメリカナイズが進み、いまや5m近い全長に1.85mという全幅を持つ堂々たるアッパーミドルセダンである。
すでにアメリカでは新型がデビューしてしまっているのだが、現行モデルも決して古臭くはない。2016年に行ったビッグマイナーチェンジによってフロントマスクを一新し、ボディ剛性や振動抑制が劇的に改善したためだ。
もちろんホンダセンシングも装備しているし、クルーズコントロールは全車速追従、おまけにApple CarPlayやAndroid Autoといったコネクト機能も備えている。
端正なセダンがほしいと考えるシニア層のクルマ好きには、ぜひとも一度ハンドルを握ってほしい1台なんだけどなあ!
■スズキバレーノ 2018年6月販売台数 49台
49台って……。もうアキバの地下アイドルのチケット売り上げのような数字だ。いやしかし、地下アイドルがいつか東京ドームのライブを夢見て頑張るように、バレーノもスズキがコンパクトクラスに送り込んだチャレンジングな1台なのだ!
どこがチャレンジングか。まずスズキは、第2の本拠地ともいえるインドで生産を行い、それを逆輸入するというスタイルをとった。
さらにフィットやノートといったライバルよりも車高を低めてスタイリッシュさを実現するいっぽう、全長、全幅は拡大して、居住性を確保した。
結果、アクティブ志向のスイフトやイグニスとは一線を画す、個性的なルックスのコンパクトカーが誕生した。
実際、グリルの小さいフロントマスクなんか、どこか2代目ランチア・デルタにも通じるラテンの風を感じるじゃないか!
「みんな乗ってるコンパクトカーなんて乗りたくない」
そう考える個性派ユーザーには、ぜひともバレーノをおすすめしたい。優雅なプロポーション、ゴルフバッグも詰める広い荷室。欧州車の気分でドライブできる異色のモデルだ。がんばれ!
■スバルBRZ 2018年6月販売台数 113台
くー、日本に残る貴重なミドルクラスFRスポーツカーがこの数字。なんとか3ケタに踏みとどまってもらいたい。
BRZはご存知の通り、スバルがトヨタと共同開発した小型FRスポーツであり、トヨタ86の兄弟車だ。
デビューは2012年だからすでに6年が経過しているが、毎年コツコツと年次改良を行い、完成度を高めてきた。
昨年10月には満を持して最上級グレードSTI Sportを投入し、その熟成極まった走り味は、BRZの偉大な到達点として大いに評価されたものだ。
BRZのライバルだが、兄弟分の86を除けばマツダ・ロードスターくらいしか存在しない。ところがこちらも6月の販売台数は45台と大低迷! うーんホイホイ売れてくSUVが恨めしいのう。
しかしちょっと待て。
BRZのこの台数にはちょっと理由があるのだ。実はBRZの現行モデル(F型)はすでに生産が終了しており、現在は各ディーラーが在庫を売っている状態。ユーザーが好きなボディカラーやオプションが選べないので、販売も奮わないというわけだ。
まもなく年次改良されたG型の生産が始まるはずだから、販売もちょっと上向くはず。コンパクトFRの火よ、消えるな!
■レクサスRC 2018年6月販売台数 84台
かっこいいと思うんだけどなあRC。日本車のクーペとしちゃあすごくがんばってる。ちょっと前までスーパーGTも戦ってたし、2ケタの販売台数ってのは悲しい。
そんなレクサスRCは、2010年に生産を終えたSC(かつてのソアラ)の後継モデルとして、2014年に登場したFR2ドアクーペだ。2.5L、直4ハイブリッドと3.5L、V6という2グレード構成だが、その上に5L・V8を積む「RC F」
というスペシャルモデルも存在する。
今年2月には、この「F」という呼称(レクサスの高性能モデルを表す)の誕生10周年を記念した限定車「F 10th Anniversary」も発売され、完売している。
500~600万円台のパーソナルクーペなので、日本車にはライバルが存在せず、手ごわい欧州車と闘わなければならないのがRCの辛いところ。
メルセデスのCクラスクーペやBMW4シリーズ、アウディA5あたりが完全にかぶってしまうのだ。
しかし昨年には、世界各地のレースを戦うGT3マシンも完成し、あちこちで善戦しているニュースも伝わってきている。こうした話題を武器にして、セールス面でももう少し熱い戦いを見せてもらいたい。
「売れていても、売れていなくても、多くの選択肢がある」ということは、その市場に力があるということ。ラインアップの豊富さは、そのまま日本の経済力を示すことになる。
さらにいえば、クルマにはいつまでも「個性」を求めてもらいたい。
だからこそ、売れてるクルマにも、売れないクルマにも、愛と関心をよろしくお願いいたします!!
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