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業界ニュース 2018.8.7

シート間の距離が狭いほど、ピュアなスポーツカー…かもしれない

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クルマのシート位置とそのクルマがつくられた目的とは密接な関係がある。

「知ってるよ、スポーツカーはシートが低いんでしょ?」という読者もおられるだろう。
たしかにそのとおりだが、「それだけ」ではない。
だから今回はシートの話をしてみよう、と思う。

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スポーツカーのシートレイアウトはこうなっている

まずスポーツカーだが、知っての通り、シートの位置は低い。
これはなぜかというと、単純に「重心を下げる」ためだ。
重心が下がるとコーナリングでの安定性が増す。
だからスポーツカーのシート位置は低い、というわけだ。

だが、ボクが今回主張したいのは「シートの高さ」ではなく「シート左右の距離」だ。
つまり運転席と助手席との距離だが、これは非常に重要だと考えている。

たとえば、これはロータス・エキシージの室内だ。
シート左右が触れ合わんばかりに接近していることがわかると思う。
これは何もエキシージの車幅が狭いからではなく(エキシージの全幅は1800ミリもある)、ロータスがその哲学に基づき、重量物を車体中央に集めようとしてるためだ。

シート自体はそう重いものではないが、これに人が座るとなると話は別で、そうとうな「重量物」となる。
だからロータスはその「重量物」を車体中央に集めようとしたわけだが、この距離はシフトチェンジを行うと、隣に座る人に自分の肘が当たるほどである。

そしてマクラーレンもシートがかなり中央に寄っているクルマだ。
たとえば「570Sクーペ」の全幅は1915ミリであるにもかかわらず、シートとシートとの距離は軽自動車規格のスズキ・ジムニーよりも狭い。
これも重量物を中央に集めたいというマクラーレンの意向が反映されたものであり、マクラーレンは以前に「F1」でセンターシートを採用したことでも知られるほど重心の適正化にこだわるメーカーだ。

これらロータス、マクラーレンはボクの知る限り、もっとも左右のシート間が狭いメーカーでもある。
余談だが、フェラーリ、ランボルギーニもかなり左右シート間が近い。

参考までにだが、かのレクサスLFAもここにこだわり、左右シート間の距離は72ミリしかない、という。

なお、左右のシート間が近いということについて、運転している限りは不便を感じることはない。
ただ、駐車場などで発券機を利用する場合は注意が必要だ。

車の中央寄りに座っていて、全幅の広いスポーツカーの窓越しに手を伸ばし、チケットを取るという作業は、思ったより難しい。
よほど腕の長さに余裕があれば別だが、ほとんどの人は身をのりださねがならないだろう。
だが、スポーツカーメーカーはそんなことは気にしていない。

スポーツカーメーカーにとって「速く走ること」がトッププライオリティであり、そのためには重心を適正化する必要があるからだ(車体の中央に重量物を集めねばならない)。
だからスポーツカーメーカーは利便性を無視してでもシートを中央に寄せ、たとえ1ミリであっても左右のシート間を縮めたいのだ。

よって、このシート間の距離が狭いほど、スポーツカーとしては「ピュア」だとボクは考えている。

オフローダーのシートレイアウトはこうなっている

ここまではスポーツカーを見てきたが、オフローダーについても触れてみたい。
オフローダーはスポーツカーとはまったく異なる思想で設計されている。

そしてオフローダーに乗って気づくのは、「左右シート間が広い」ことだ。
これはスポーツカーとは全く逆だが、オフローダーといえども同じ「クルマ」だ。
安定して走るということを考えると、重心は中央に近いほうがいいうことには変わりがないはずだが、どういった理由からこういったシートポジションを採用しているのだろうか。

ボクがいくつかのイベントに参加し、あるメーカーの広報担当に聞いたところ、下記のような回答が返ってきた。

「オフローダーは、極限環境にて、外部の路面状態を確認しながら走らねばならないことがあります。だから、ドライバーが容易に路面を確認できるよう、シートは車体の外側に限りなく近く位置しているのです」

なるほど。
左右シート間の距離が広いということは、シートを車体の端まで出した「結果」であったわけだ。
たしかに、崖っぷちやぬかるみ、岩場などでは頭をクルマから出し、下を見ながら慎重にドライブせねばならない場面もあるのだろう。
つまり本格オフローダーは、「極限」での走行性能を重視し、いかなる環境でも安全に走り抜けることを考えている、ということになる。

以上がスポーツカー、そしてオフローダーという”クルマの性格の違い”に起因するシート位置の差異であるが、いかがであっただろうか。

もし、これからスポーツカーやオフローダーを購入しようと考えているのであれば、シートの位置をチェックしてみるといいだろう。

「ピュアスポーツ」を標榜しているのに他車種から流用したプラットフォームのおかげで左右シート間の距離が大きなクルマもあるかもしれないし、オフロード性能を主張していてもシートに座った状態で外部の状況を確認しながらの走行ができないクルマだってあるかもしれない。

ただ、オフローダーに関しては、新型メルセデス・ベンツGクラスや、ランボルギーニ・ウルスのように、自分の目に代わって周囲の状況をしっかり把握し、モニターに映し出してくれるクルマもある。
「オフロード性能」を謳っているわけではないが、マセラティ・レヴァンテやジャガーFペイスのようにオンロードでの走行をメインに考えたSUVも存在している。

そのクルマのシート位置を見ながら、設計の意図や、そのクルマの性格を考えてみるのも面白いだろう。

[ライター・撮影/JUN MASUDA]

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(CL JUN MASUDA)

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