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業界ニュース 2018.8.2

価格は285万円! これは大人のオモチャだ!──ホンダの新型S660 Modulo X試乗記

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4輪車用純正パーツの開発や生産を一手に手掛ける本田技研工業の100%連結子会社が「ホンダアクセス」である。4輪車のデザインを開発するR&Dセンターにも近い埼玉県新座市に居を構える同社がプロデュースする「Modulo X(モデューロ・エックス)」は、通常のホンダ車ディーラーで新車購入可能な、コンプリート・モデルに与えられた名称だ。

そもそも、見た目だけではなく軽量さなど性能にも拘って開発され、1994年に発売されたアルミホイールがModuloの名を冠したアイテムの第1号。その後、1999年にエアロパーツ。2007年にはスポーツサスペンション……と、手掛ける範囲を拡大し、純正カスタマイズ・ブランドとしての地位を確立して現在へと至っている。

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さて、Modulo X初のコンプリートモデルは、2013年に発売した「N-BOX Modulo X」だった。以来、N-ONE(2014年)、ステップワゴン(2016年)、そしてフリード(2017年)にModulo Xを設定して、そのバリエーションを拡大してきた。

そしてこのほど、待望のスポーツモデルをベースとしたコンプリートカーとして登場したのが、ここに紹介するS660 Modulo Xだ。

S660 Modulo Xは、純正パーツを手掛けてきたメーカーらしく、各部に手をくわえているものの、いわゆる”後付け感”は皆無。それでいながら、固有の雰囲気が演出され、同時にベースモデルではでは望みえなかった上質さもプラスされている。これは、歴代Modulo Xの場合と同様だ。

各アイテムの開発過程で、テストコースや風洞などホンダが所有する設備や施設を使うことが出来るのは、自動車メーカー直系のチューナーであるがゆえの大きな特権だ。実際、歴代のModulo Xに採用してきたボディキット類も、「単なるドレスアップ効果のみならず、機能性の向上も必ず伴ってきた」というのが、大きな見どころになっている。もちろん、このS660 Modulo Xも、そうした事情は同じ。

ボディキットの開発にあたっての眼目は、「標準状態ではリア側のリフト量が大きく、速度が増すにしたがって前傾の度合が増して行く姿勢を、前後均等にバランスさせる」という点にあったという。

そこで採られた策が、専用デザインのグリル一体バンパーを装着し、フロントまわりの整流をおこなうと同時に、ポップアップ式リアスポイラー後端にガーニーフラップを設け、さらにリアの専用ロワーバンパーでリフト量を減らすといった方法だ。これにより、前後均等バランスを実現したとうたう。

実際、これによって「空気抵抗は殆ど増やすことなく、理想の前後リフト配分が得られた」という。ちなみに、派手なウイングなどに頼らず空力性能の改善にアプローチするというのも、いつものモデューロ流儀のやり方なのだ。

小さなドアノブに指を掛け、ドアを開いて低いシートへと腰を降ろす。ボルドーレッドとブラックの2トーンによる専用スポーツレザーシートは、見た目も着座感も”軽自動車”の範疇を明らかに逸脱した仕上がりだ。

そんなシートとコーディネートした、やはり2トーン基調のダッシュボードまわりやステアリングホイールも同様に、“軽自動車”を超えた仕上がりだ。今回のテスト車はMT仕様なので、チタン製のシフトノブがさらなるプレミアム感を加える。

エンジン/トランスミッションはベースモデルから変更なし。そもそも優れるシフトフィールに、さらなる”操る快感”が加わったようにも思えるのは、シフトノブの新鮮な触感の影響が大きそう。欲を言えば、ステアリングホイールそのものも、スポーク上からスイッチ類を廃したよりシンプルなデザインの方が、このモデルの狙いどころには似合っているように思う。

テスト走行当初は、「軽自動車で初」とうたう可変減衰力ダンパーを、前後共に5段階のなかで最もハード寄りにセットした。その乗り味はさすがに硬派だったが、ステアリング操作に対しすこぶるソリッドな応答性を示す一方、ボディの無駄な動きを伴わず、高速走行時には望外なフラット感まで得られた。しかも、強風でも思った以上に直進性に優れていた点も特筆ものだ。

そのあと、ダンパーを中間の3段目ポジションにセットし直し再スタートすると、サスペンションのストローク感はしなやかさを増してより好印象。実はテスト時の箱根地方の天候はあいにくの暴風雨! それゆえ、濡れた路面に小枝が散乱という条件では当然コーナリング時の限界Gも低く、サスペンションへの入力もドライ路面時よりはグンと低く限定されたことも、この印象に影響したと思う。

そもそもスタート価格が約198万円と、軽自動車としては「破格の高さ」として話題を集めたS660。が、それをベースにさまざまな手がくわえられたModulo Xは、ナビゲーションシステム無しの状態でMT仕様/CVT仕様ともにおよそ285万円という驚きの設定だ。

なるほど、そこではどうしても300万円を確実に切る価格が求められたのかもしれない。けれども、個人的にはさらに吟味したチューニングをおこない、そもそもの狙いどころである「楽しさと上質さを両立した、”大人の走り”」をより高い次元で実現して欲しかった。だから、あえて300万円をオーバーする価格設定にして話題を獲得する、という戦略もアリだったのではないかと思う。

ただしその場合、エンジンのポテンシャルをより一層引き上げることは不可欠だ。そう、現状の仕上がりで物足りないのはズバリ、最高64psまでという自主規制が足かせとなって、「あえてピークパワーを落としている」という感覚が色濃いエンジンフィーリングであるからだ。

皮肉にもこの部分は、”自動車メーカー直系”のブランドが手掛けた作品であるがゆえに、解決が困難な課題かもしれない。が、端的に言ってここがブレークスルーしない限り、S660 Modulo Xの狙いどころを100%享受出来ない状態だ。

噂によれば実は現在のエンジンのままでも、自主規制という”足かせ”を解いてやるだけで、軽く80ps以上を発することが出来るポテンシャルを秘めているという。こうして、本来の実力を得られるようにした上で300万円オーバーの価格が与えられれば、それは世界に類を見ない究極の“マイクロスポーツカー”として、新たな価値観をアピールすることが出来るようになると思う。

今のところの歴代Modulo Xは、いずれもパワーパックはベースモデルをそのまま流用する。が、この先同ブランドがさらなるチューニングの高みを目指していくためには、この部分に手をくわえることは不可避であるはずだ。

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(GQ JAPAN 河村康彦)

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