現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > かくも軽快な身のこなしは今や貴重。 意地を感じる新型プジョー508に試乗

ここから本文です
業界ニュース 2018.7.31

かくも軽快な身のこなしは今や貴重。 意地を感じる新型プジョー508に試乗

  • みんカラ つぶやく
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

3月のジュネーブ・サロンでデビューして以来、誰もの口から「カッコよくなったね」という、見た目一発目の高い評価が下されていた。そのカッコよさの源泉はどこからくるのか? 実車を目の前にして考えてみると、1404mmという低い車高に気づく。優美な曲線というより、筋の浮いたアスリートの筋肉のようなローファット・マッチョな、少しテンションの効いたデザインでもある。それに、プジョー3008やシトロエンC4ピカソらと同じくEMP2プラットフォームに基づきつつも、2793mmに拡大されたホイールベースと1593/1590mmの前後トレッドによる伸びやかなプロポーションも貢献しているだろう。

フロントとリア、サイドの処理もいい。垂直気味に立てられたコンケーブ状のグリルの奥に、ヘッドライトが収まる様は、往年の504クーペを彷彿させる。ボンネット前端中央に配された車名ロゴも504譲りだ。リアは横一文字のガーニッシュが、まるでクーペのような印象を与える。しかも前後ドアはサッシュレス仕様なので、横アングルから眺めた時にドア周りに余計なグラフィック線がなく、クーペのようにウィンドウの形状をキレイに見せる。牙のようなLEDの日中走行灯は好悪の分かれるところかもだが、新しい508のデザインはあらゆる角度から計算し尽くされた、完成度の高いデザインといえる。

    プジョー、新型508を公開へ。全長を短く、全高は低くスタイリッシュに

だが508が耳目を引きつけるのは、エクステリアだけではない。最上級グレード「GT」に用意されたナッパレザーのレッドは、406クーペからわざわざリバイバルした内装色だそうで、グリーンのニュアンスがあるガンメタリックのボディと、この上ないマリアージュを見せる。英国車やドイツ車が反対色の色合わせを使うと、やたらパッキリしたコントラスト一辺倒の印象になりがちだが、スモーキーなグリーン&レッドの地味ハデに落とす辺りが、フランス車ならではの控えめセンスでもある。

しかも508のインテリアは、静的質感という点でもかなりアグレッシブだ。これまでプジョーの内装デザインといえば、ダッシュボードやドアパネルなどは部材を上下や斜めに重ねて、あえて合わせ目の精度を追い込まなくても済むような意匠にまとめられていた。ところが508ではウッドやウレタンフォーム、クロームやレザーといった異素材同士の合わせ目のクオリティ面で真向から勝負し、きっちり詰まった精密感の高い仕上がりを見せているのだ。

プジョーのフラッグシップ・モデルとはいえ、先代508よりワンランクもツーランクも上質な仕上がり目指してきた背景は、欧州市場でDセグメントの需要を支えてきたカンパニーカー需要への依存から距離を置く、というスタンスがためでもある。会社から待遇の一部として与えられるクルマではなく、欲しいと思った人が買えばいい、そんなパーソナル色の強いサルーンへと新しい508は変貌を遂げているのだ。

一方で、スタイリッシュな4ドアクーペのスタイルと、精緻な雰囲気が心地よい内装を奢っても、従来的な3ボックスのセダンではなく、リアハッチゲートをリフトバック形式として荷室の実用性は確保されている。先ほどドアがサッシュレスであることは話したが、Bピラーは特太だし、リアドアを開ければ外観以上に太いCピラーが、カーボン風処理の装飾に覆われているとはいえ、インナーシェルのように顔を出す。確かに今回の試乗中、ドアやリアハッチゲートの開口部周りからミシリといった低級音が聞こえてくることは、ついぞなかった。ボディ剛性の追い込みと密閉性の確保も、また見事なのだ。

試乗順として最初に回ってきたのは、ガソリンエンジンの「ピュアテック225ps」仕様。最高級グレードとなる「GT」だ。ウッドとレザーの内装が、スポーティ・ラグジュアリーな仕様といえる。最大トルクは300Nm/3000rpmと、近年のエンジンにしては発生域が高めだが、車検証表記で1420kgという軽い車重と、新たに組み合わされたトランスミッション、アイシンAW製8速ATとのマッチングもよく、低速での走り出しからしてとにかく軽い。走り出してしまえば、向こうからすすんで手の内に収まってくるような容易なドライバビリティが感じられる。
 
加えて市街地を出て、130km/h制限の高速道路で巡航に入っても、エンジンの仕事ぶりが控えめというか、滑らかで素晴らしく静粛性が高い。回転フィールのスムーズさ、遮音性の高さ、カメラで約20m先の路面を読み込んで4輪の減衰力を積極制御するアクティブ・サスペンションといった、各々の働きが総合的に効いている。

無論、センターコンソール上のドライブモードの選択によって、コンフォートやスポーツといったシャシー・セッティングを手元で変えられる。ワインディングに差しかかって、モードをスポーツにすると明らかにステアリング中立付近の反応が敏感になる一方、初期のロール量は抑えられる。それでも、しなり感を伴った正確なトレース性は終始一貫しており、ノーズの動きは軽快だがスパっと切れ込んでいくというより、じんわりと少し湿り気のあるフィールがどんな状況でも持続する。そんな奥行のあるロードホールディングなのだ。

次に試乗したピュアテック180は、同じくノーズの動きは軽くステアリングの感覚もほぼ同じなのだが、唸るようなエキゾーストの小ささ、加速時の伸びといった点では、つまり、エンジンの性格面での余裕という点では、225ps仕様に一歩譲る。乗り心地についても、通常サスペンションで十分に滑らかながら、アクティブサスペンションのそれを知ってしまうと、段差やギャップを越える時の後車軸側の動きが、ややドライというか、パタパタっとした感触を拾ってしまう。それだけ225psのGTが、軽快なサルーンのひとつの表現として強烈だったのだ。
  
逆にBlueHDi 180ps仕様は、どっしりと安定感が増し、ロングツアラー的性格を見せる。ステアリングを切りこんでからの感触も一段、サイズが上がったかのような重厚感で、むしろガソリン版との味つけが思い切り異なることに驚く。それでいて先代508や他車種のBlueHDi180搭載車より、アイドリングストップにぎこちなさがなく、静粛性も上がっていて、マナーに優れる。このどっしり感を好むのであれば、もしかしたらステーションワゴン、つまり508SWの登場を待ちたくなるかもしれない。

GTの225ps仕様は本国価格で4万6000ユーロなので日本では500万円台後半になる。対してGTラインの180psは4万ユーロなので500万円前後だろうという予想は立つ。アリュールのディーゼル180psなら3万8800ユーロで、こちらはエコ減税を見込めば500万円以下だろう。よってピュアテック225・GTの価格が相対的に高いが、アルファロメオ・ジュリアの、「スーパー」と「ヴェローチェ」の中間ぐらいの価格となれば、十分に正当化できるものとなるだろう。なぜならプジョーのPHEVは、モーター駆動を後車軸に収めて、4WDとなることが既定路線となっている。それに比べたら従来型のガソリンエンジンはコンベンショナルとはいえ、FFであることにコンプレックスがなく、日常的にはFRより安定した使い勝手を発揮するのがプジョーの伝統的な魅力でもある。そして軽量ゆえの切れ味や小気味よさ、大人の鑑賞眼に耐えうる内装をも備えたという点で、508GTの225psに並ぶサルーンには、この先そうそう簡単にはお目にかかれないだろう。

  • みんカラ つぶやく
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

(GQ JAPAN 南陽一浩)

コメントの使い方

みんなのコメント

ログインしてコメントを書く

愛車無料一括査定

あなたの愛車今いくら?

車の種類を選択
事故車 商用車
お住まいの郵便番号を入力
-
※郵便番号がわからない方はこちら

※(株)カービューのページへ移動します