■振り返れば、クラウンブランドは40周年
初代「クラウン」のデビューから40年の月日が経った1995年。クラウンは10代目へと進化しました。この年は、阪神・淡路大震災や、地下鉄サリン事件などの重大事件が起こった年であり、国民全体に社会不安が広がった年でもありました。
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単一のモデル名が40年以上続くことはまれで、当時においてはランドクルーザーなど、ごく一部のモデルだけでした。
国産初の高級乗用車として登場した40年前とは異なり、日産「セドリック/グロリア」やホンダ「レジェンド」、同じトヨタ内では「セルシオ」などのライバル車種があらわれ、また輸入車勢も身近になっていたこの時代ですが、「クラウン=高級車」という図式はもはや確固たるものとなっていました。
歴代「クラウン」の中には、販売台数で競合モデルに遅れをとり「失敗作」と揶揄されることもありました。しかし、日本における高級車のスタンダードとして、10代目を迎えることができたのは、まさに日本自動車史に残る名車であることを表しているといえます。
■注ぎ続けられた最新の技術
時代とともに変化を遂げてきた「クラウン」ですが、日本の道を走る高級車として、常に最新の技術を投入するという点は、初代から10代目に至るまで揺らぐことはありませんでした。
10代目「クラウン」では、先々代から継続生産されているワゴンモデルを除いて、モノコックボディを採用しています。それによる構造上のメリットは多く、それまでのフレーム構造と違って足元が広くなりました。
ボディの構造は、フレームとボディを繋ぎ止めるさまざまな部品を削減できることで、全体の重量は軽量化されます。クルマにおける軽量化は、走行性能、燃費の向上など多数のメリットをもたらします。
さらに、剛性の向上を目的とした場合、一繋ぎのボディとなることで、ボディ全体の高い剛性を実現。それにより、走行性能や安全性能を向上させることができます。
■安全性追求の時代へ
日本のモータリゼーションは、トヨタがけん引し、安価で質の良いクルマをトヨタが提供し続けてきたことで、日本人は自由な移動を手に入れました。しかし、その代償として交通事故による死傷者を生み出していることもまた事実です。
それまでは、快適に走れること、走行性能が良いことが「良いクルマ」の条件でしたが、10代目「クラウン」が登場した時代になると自動車メーカーの企業的責任として、安全性の向上が課題となります。
VIPを後部座席に乗せるクルマとして、また、日本を代表するクルマとして、時代の先端をゆく安全性の向上が「クラウン」には求められていました。
そこで、10代目「クラウン」では、モノコックボディの採用による剛性向上のみならず、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)やエアバッグ、VSC(横滑り防止装置)といった安全装備が、全車に標準装備されます。
これらの安全装備は、いまでこそ搭載が義務付けられていますが、全車標準装備化をいち早く達成したのは「クラウン」にほかなりません。
高級車に求められるもの、そしてクルマそのものに求められるものが変化してゆく中でも、しっかりと対応していったのがこの10代目「クラウン」なのです。
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