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エスティマやアクアも…なぜマイナーチェンジばかり? 新車をフルモデルチェンジをしなくなった理由とは

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エスティマやアクアも…なぜマイナーチェンジばかり? 新車をフルモデルチェンジをしなくなった理由とは

■通常のサイクルならフルモデルチェンジの時期が来ているのに…

 最近は、通常のサイクルであればフルモデルチェンジを受ける時期に来ているのに、マイナーチェンジで済ませる車種が増えています。直近では2018年6月にマツダアテンザのマイナーチェンジが行われました。現行アテンザの発売は2012年11月ですから、5年以上を経過しますが、マイナーチェンジで済ませています。なぜそうなってきたのでしょうか?

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 ちなみに同じマツダの先代CX-5は、2012年2月に発売されながら、2017年2月には現行型へフルモデルチェンジされました。アテンザと先代CX-5は、ほぼ同じ時期に発売されながら、その後の対応は大きく異なります。

 他メーカーの主力車種でも、長期間にわたってフルモデルチェンジを行わず、マイナーチェンジを繰り返す車種が多いです。トヨタではエスティマ(現行型の発売は2006年)、プレミオ&アリオン(2007年)、マークX(2009年)、ヴィッツ(2010年)。日産であればキューブ(2008年)、フーガ(2009年)、マーチ(2010年)、エルグランド(2010年)、ジューク(2010年)。三菱ではデリカD:5(2007年)、RVR(2010年)という具合です。

 いずれも発売から8年以上を経過しています。1980年代までの日本車は、4年ごとにフルモデルチェンジを行い、その2年後にマイナーチェンジを受けていましたから、これらの車種は周期が2倍以上に伸びています。

 また今ではフルモデルチェンジを行う平均的な周期も6~7年です。先代CX-5のように発売から約5年でフルモデルチェンジを受けるのは短い部類です。昔のように4年ごとに一新する車種はほとんどありません。

 なぜ今のようにフルモデルチェンジをしない車種が増えたのでしょうか。そこでマイナーチェンジを繰り返す車種の開発者に理由を尋ねました。

「フルモデルチェンジの周期が延びたり、マイナーチェンジが増える一番の理由は、今後の需要動向が不透明だからです。国内市場は今以上に少子高齢化が進み、クルマの需要は減る傾向にあります。そうなるとすべての車種をフルモデルチェンジしても、順調に売れるとは限りません。そこでマイナーチェンジを行います。ただし可能な限りの改良を行い、商品力を相応に進化させることは可能です」とのことです。

■フルモデルチェンジの周期が長期化する原因とは

 今の日本車メーカーは、ダイハツを除くと、世界生産台数の80%以上を海外で販売しています。国内は20%以下の市場ですから、国内向けのミニバンや5ナンバーサイズのセダンは、商品開発が特に冷遇されやすいです。

 また別の開発者からは「安全性、自動運転、通信などの技術開発、電動化を含めた環境対応が急務になり、開発費用も高騰しています。いわゆる選択と集中を迫られていることも、フルモデルチェンジの周期が長期化する原因です」という話も聞かれます。

 今の自動車メーカーでは、広範囲の技術開発を行う必要があり、昔に比べてお金の使い道が増えました。そのために車両本体の開発費用を抑える必要があるわけです。

 例えば2018年6月26日にフルモデルチェンジされた新型トヨタクラウンは、プラットフォームを一新させて、上級ブランドに属するレクサスLSと共通化しました。以前は「レクサスとトヨタブランドでは、メカニズムをなるべく共有しない」という意見を主にレクサス側の開発者から聞いた時期もありますが、今後はトヨタの後輪駆動乗用車が使うプラットフォームは1種類に統合されます。これも「選択と集中を迫られている」からです。

 このように見てくると、先進技術の自動運転、プラットフォームをレクサスLSと共通化したことで走りが良くなったといわれるクラウン、私たちのクルマ選びに影響を与えるフルモデルチェンジの長期化まで、すべて繋がっていることになります。

 これらの内、フルモデルチェンジの長期化は、ユーザーに不利益をもたらす場合があります。新型クラウンのようなプラットフォームの一新を伴うクルマ造りは、フルモデルチェンジが前提になるからです。ボディを大幅に軽くして燃費を向上させたり、強度を高めて走行安定性を抜本的に改めるには、マイナーチェンジでは対応できず、フルモデルチェンジを実施せねばなりません。

 安全装備も同様です。ホンダの開発者は「N-BOXが(上級の安全装備とされる)ホンダセンシングを装着できたのは、新型にフルモデルチェンジされて、プラットフォームを刷新するなど車両全体を見直したからです。マイナーチェンジでホンダセンシングを装着するのは困難です」といいます。そうなるとN-WGNやN-ONEは、次期型にフルモデルチェンジするまではホンダセンシングを装着できないということになります。

 このようにクルマが大幅に進化するには、フルモデルチェンジが重要な役割を担います。この周期が長引くほど、進化する速度が下がると考えて良いでしょう。今の日本車の状況を見ると、発売から8年以上を経過した車種には、全般的に古さが目立ちます。発売後6~7年以内にフルモデルチェンジを行うのが理想です。

■長年にわたって何の改良も施さない放置された車種も

 その一方でマイナーチェンジも大切です。フルモデルチェンジのような機能の大幅な刷新はできませんが、2年ごとに走行性能、燃費、安全装備まで踏み込んだマイナーチェンジを行えば、商品力を高く保てるからです。

 最近は長年にわたって何の改良も施さない放置された車種も見られますが、売れ行きは下がり、そのクルマが可衰想に思えることもあります。

 逆にフルモデルチェンジの直前まで地道な改良を続けると、売れ行きは下がりにくく、メーカーのイメージも高まります。自社の商品を最後まで責任を持って改良することは、商品に対する深い愛情の表現でもあり、消費者の共感を呼ぶからです。商品力を大幅に進化させるフルモデルチェンジと、細かく改良するマイナーチェンジを効果的に行うことが大切なのです。

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