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業界ニュース 2018.7.18

開発のキーマンが日本人を長年魅了するカローラの最新モデルに込めた思いとは

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 伝統を守りながら、新たなる領域への挑戦

 時代ごとに求められる新たな価値を創出し、変化することで歴史を築いてきたカローラ。カローラのDNAとも言えるその精神性は、12代目となる新型でも健在だ。目指したのは、カローラならではの伝統と、カローラだからこその先進性。開発チームのみなさんに、新型カローラの開発に込めた想いを聞いてみた。

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 初代誕生から52年という長い歴史を誇るトヨタ・カローラ。その名前に特別な響きを感じるクルマ好きは少なくないはずだ。12代目となる新型の開発責任者を務めた小西良樹さんも、そんなひとりだ。

「カローラはある意味、時代を映す鏡とも言えるクルマです。大衆車によって日本の本格的なモータリゼーションの幕開けをもたらそうという意気込みで開発された初代。時代が求めるユーティリティにいち早く応えようとFRからFFへと変わった5代目。ほかにもグローバルに広がっていった9代目や10代目など、その時代ごとの世の中のニーズに新しい技術で素早く応えてきたクルマがカローラなんです。見た目の意匠性ではなく、社会が求めるものをいち早くキャッチして変わり続けるという精神性、それがカローラのDNAだと思っています。今回の開発で最初に取り組んだことも、『壊れない』『安心して使える』『高い実用性』といった基盤を守りながら、そこにどんな価値をアドオンしていくかを考えることでした」

 その目玉のひとつが「コネクティッド(繋がり)」というクルマにとっての新しい価値の提供。車載通信機DCMを全車に搭載し、遠隔で走行アドバイスや車両診断を受けられるほか、「eケアサービス」や「LINEマイカーアカウント」など、多彩なコネクティッド機能を新搭載している。

「人とクルマ、クルマとクルマ、そしてクルマと社会が繋がることで、『安全・安心』や『便利・快適』がさらに強化されます。この機能によって、クルマが単なる移動手段ではなく、クルマと人のまったく新しい関係が生まれます。こうした先進的なメッセージを大衆車に込めるというのも、カローラらしさのひとつの象徴だと思います」

 カッコいいクルマを作るためならどんな苦労も苦にならない

 カローラ スポーツの開発では、この「コネクティッド」という価値に加え、「スタイリング」、「走り」、「安全」そして「環境」の5つが、クルマ本来の楽しさを追求するための重要なポイントとして掲げられたという。

「とりわけデザインには力を入れました。個人的にも、見た瞬間にカッコよく思えることはいいクルマの絶対条件だと思っています。目指したのは、ワイド&ローで、スタンスや骨格のよさが感じられるスタイリングです。止まっているときでも、クルマが今にも動き出しそうな躍動感を目指しました」

 グッと絞り込んだリヤまわり、豊かな抑揚としっかりとした踏ん張り感が印象的なサイドビューや、強い前進感を感じさせる低いエンジンフードなど。これまでのカローラとはひと味もふた味も違うスポーティさが感じられるスタイリングは、実現までには数多くの高いハードルを越える必要があった。開発メンバーの一員である梅村伸一郎さんは次のように振り返る。

「当初は生産現場からも不可能だという声があがったほどのチャレンジでした。たとえばエンジンフードで言えば、従来のトヨタ車よりおよそ100mmも低くなっています。それを実現させるためには、エンジンやトランスミッションをはじめ、何百もの部品を小さく低い配置にしなければなりません。そのためだけでも3年くらいかかっているんです」

 カローラ スポーツの開発では、かなり早い段階で1分の1モデルの作製を実施。これはデザインの検証というよりも、設計や実験、生産現場などの各部署にデザインの重要性を理解してもらうことを主たる目的としたものだ。この段階でフルスケールモデルを作るというのは、かなり異例なことと言える。

「実際に形を目にして、そのカッコよさに納得すると、なんとしても作ろうというマインドが生まれます。トヨタのエンジニアはみんなもともとすごいパワーを持っています。一度ベクトルが合うと、ものすごい勢いでそこにパワーが向かうんです。カッコいいクルマを作るためなら、どんな苦労も苦にならない。そんなメンバーたちばかりが集まっていたからこそ実現できたのだと思います」

 リヤまわりのデザインも、その実現には幾多の困難が立ちはだかったという。開発チームの本多義行さんに伺った。

「絞り込んだリヤのバックドアは鉄板では絶対に不可能な形状です。軽量に作れば使い勝手もよくなることから、開発当初から樹脂製バックドアを採用すると決めていました。樹脂製はカローラ フィールダーでも採用実績がありましたが、ここまでラウンドした形状は初めてで、実現には想像以上の難しさがありました。樹脂は熱を持つと膨張するという特性があるので、型から抜いたときの変形が大きく、最初の段階では3~4mmも変形量があって、それでは到底商品にはなりません」

「裏面に複雑なリブ形状を加えるといった補強によって変形量を最小限に留め、さらに、あらかじめその変形を想定して最終的な形状が適切になるような設計をするなど、さまざまな工夫によって実現させました。補強も入れ過ぎると重量がかさみますから、なるべく軽くできるようにもっとも効き目のある場所を探すなど、何度もトライ&エラーを重ねました」

 トヨタ車体から開発メンバーとして参加した笠原太地さんも、リヤまわりのデザインの実現に大きな貢献を果たしたひとりだ。

「リヤまわりのパッケージングでは、後席の視界にもこだわりました。まずは後席乗員が真横の景色を見られるようリヤドアガラス後端を決め、斜め後ろを走るクルマを認識するのに必要な視野角を計算、Cピラーの適切な位置を探り出し、幅を追い込みました。さらにはクルマの真後ろに小さな小学生が立っていてもしっかりと確認できる後方視界を確保し、視界とデザインの両立を図っています。また、絞ったリヤまわりはラゲッジにも不利な要素となるのですが、設計と協力しながら毎週のように何時間も検討を重ね、あらゆる寸法をミリ単位で見直して、デザインを犠牲にすることなく、ゴルフバッグを水平に積み込める間口を実現させています」

 カローラ スポーツにとっては「走り」も絶対に譲れない要素のひとつとなった。開発期間の後期には、5大陸で延べ100万kmもの走行試験を実施。世界のあらゆる場所でも安心・快適な乗り心地が感じられる走りを実現した。

「奇をてらうような乗り味ではなく、ステアリングを切ったら切った分だけ曲がり、真っすぐな道では安心して真っすぐに走れるような乗り味にこだわりました。目指したのは、いつまでもずっと運転していたくなるような気持ちのいい走りです。とくにこだわったのは、最初の5m、10mで感じていただける走り出しの気持ちよさです。まるでスケートリンクを滑るようななめらかさです」と、小西さんが語るように、味付けはじつにシンプルだ。もちろんその分、奥深いものになる。

 五感に訴えることのできる走りをギリギリまで粘って仕上げた

 カローラ スポーツの開発では、ショックアブソーバーも新開発。約600パターンにおよぶオイルや構成部品などの組み合わせについて走行実験を実施し、質感の高い快適な乗り心地と、操舵応答性の高次元での両立を目指した。ここで尽力した小林範彦さんは次のように語る。

「新型車の開発でショックアブソーバーまで開発するというのは珍しいケースです。実際、当初は一般的な開発のようにチューニングを主とした対応を考えていました。ですが、当初掲げた目標が非常に高かったため、チューニングだけでは納得できる走りが実現できず、異例ではありますが、開発の途中から新規開発をすることに決めたんです」

「しかも今回はアブソーバーのオイルもスペシャルなものにしています。また、同じプラットフォームを使っているプリウスやC-HRよりも剛性をさらに向上させ、静粛性も上がっています。より静かな乗り味は、走っているときのゆとりや安心感に繋がりますし、心理的な疲労の軽減にも効くはずです。五感に訴えかけられる乗り味を、開発期間の最後の最後まで粘って仕上げました」

 乗り味を磨き上げる過程では、女性の視点も数多く生かされている。開発メンバーのひとりである七里文子さんは、社内でのテストドライブの上級ライセンス保有者でもある。

「ドライビングポジションや、運転中の目線や視界などについて、さまざまな提言をしました。女性と男性とでは体格も力も違います。いいドライビングポジションや、身体にしっかりフィットしてホールドしてくれるシートならば、操作する力も軽くてすみます。50~60人の女性社員にも意見を聞くなどして、体格差による目線の高さの違いも含めて、安心・快適に運転できるクルマを目指しました。女性が運転しやすいクルマは、結果的に男性にとっても運転しやすいクルマになるんです」

 トヨタの国内モデル初となる「iMT(インテリジェント・マニュアルトランスミッション)」の設定を用意したことも、開発チームがどれほど走りに注力したかの証と言えよう(※iMT搭載車は8月発売)。開発メンバーの上田泰史さんに伺った。

「通常のMTと変わらずに操作できますが、ドライビングモードをオンにすることで、シフトダウンの際に回転数を合わせるなど、お客さまの操作に合わせて発進や変速をアシストします。MTが久しぶりの人だけでなく、MTが未体験という若い方にもぜひ乗っていただきたいですね。パワーユニットに関しても、1.2Lターボや、1.8Lハイブリッドなど、名前こそプリウスやC-HRで使われているものと同じですが、たとえば1.8Lハイブリッドでは走り出しのリニア感にこだわったアクセルペダルの適合など、静粛性も含めて新型カローラ独自の気持ちよさを追求しています。もちろん、高い燃費性能も両立しています。カローラにとって環境性能は高くて当たり前、その先の気持ちよさにこだわりました」

 若い方にも、という言葉があったが、新型の開発では、「次の50年に向けて、カローラを若い人たちに」というテーマも掲げられている。11代目カローラのユーザーの平均年齢はアクシオが約70歳で、フィールダーでも約60歳だ。高齢者のユーザーが多いクルマと見ることもできるが、別の見方をすると昔からのファンをしっかりと魅了し続けているクルマと言うこともできる。実際にカローラというブランドに高い信頼を感じ、カローラ一筋のカーライフを送っているユーザーも少なくない。

 社会の価値観がすさまじい勢いで多様化している現代において、これほど息の長い愛され方をしているのは、カローラというブランドのひとつのすごさと言えるのではないだろうか。

「そう言っていただけるとうれしいですね。この新型は、そうした今までのお客さまも大切にしながら、日本にはカローラというクルマがあるんだということを、若い人にもっともっと知ってほしいという想いも込めて開発しました。じつは、カローラの開発責任者を任命されたときに、いろいろな自動車雑誌などをあちこちで探して、歴代カローラの記事を読みまくったんです」

「歴代のなかでは、とりわけ初代に強烈な印象を感じました。全面に打ち出されたスポーティさにも惹かれますが、空力を意識した形状でボンネットのふくらみを設計したり、コラムシフトが当たり前だった時代にいち早く4速のフロアシフトを搭載するなど、先進性にも目を見張るものがありました。当時の若い人たちのなかにも、この初代でクルマの楽しさを知ったという方も多かったはずです。開発プロジェクトを終えた今、あらためて振り返ってみると、私のなかに無意識のうちに原点回帰という気持ちがあったのかもしれませんね」と、小西さんは感慨深げに振り返る。

 姿形は変わっても、時代が求めるものをいち早く取り込んで進化を続けてきたというカローラのDNAは、新型カローラ スポーツでも変わることなく継承されている。これまでの50年と、これからの50年。12代目となる新型は、カローラの歴史と未来をしっかりと感じ取ることのできるクルマと言えそうだ。

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