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業界ニュース 2018.7.12

2代目に似たのは機能美を追求した結果! 新型スズキ・ジムニーのエクステリアデザイナーにインタビュー

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 トレンドを意識したデザインとは真反対の方向を向いた

7月5日、20年ぶりに世代交代し4代目へと進化した“世界最強のオフローダー”スズキ・ジムニー。2代目以前に原点回帰した感の強いエクステリアデザインについて、四輪デザイン部エクステリア課の砂走和人(すばしり・かずと)さんに聞いた。

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──新型ジムニーにはとくに2代目のモチーフが多く取り入れられているように思えますが、その理由は?

砂走:2代目をリスペクトしようということはまったく考えておらず、「機能に徹する」ということと、「飾らない潔さ」をデザインテーマとしています。そうすると2代目に近づいてくるんですよね。我々のなかでも、デザインが出来上がったあとに「2代目に似ているね」という話はよく出ていて、偶然ながら2代目も機能優先で作られた結果そうなったのではないかと思いますね。

3代目はスタイリッシュな方向に振られているのですが、90年代はそうした乗用車的志向がトレンドでした。新型は、企画の段階からプロの道具として機能を優先するという話でしたが、本格的に機能を追求すると、一般のお客さまにもその飾らない潔さが響くのではないでしょうか。 つまり、本物をきちんと作れば、当然ロングライフにもなりますし、飽きられることもないですから、トレンドを意識したデザインとは真反対の方向を向いています。そういう意味では、開発中も方向性が揺れ動くことなく、一気通貫にデザインできました。

──ハスラーとクロスビーが誕生したことで、新型ジムニーのエクステリアデザインをより機能に徹することができるようになりましたか?

砂走:それはありますね。ハスラーとクロスビーがSUV風ファッションカーとして女性に響くよう狙ってデザインしていますので、それを横目に見ながらデザインしました。新型ジムニーは女性にウケようとは毛頭考えていませんが、そう作るとかえってそういう志向を持つ女性にも気に入られることはわかっていますので、そういう方たちにも見ていただけると嬉しいですね。

ボディカラーも、何層もコートして、どれだけきらびやかに見せるかを争うのがトレンドになっていますが、新型ジムニーはそれとはまったく異なり、目立たせるための色と目立たないようにするための色という2通りの機能からバリエーションを設定しました。

新型ジムニーは物事の考え方がシンプルなので、そういった所も響いてくれると嬉しいですね。 とくに働いている人で、どうしても雪山に入らなければならない場合は、ボディカラーが白では目立たないので、目立たなければならない場合はキネティックイエローを選んでいただけるとすごく嬉しいですね。

カラーデザイナーも、そうした意図をユーザーが理解したうえで選んでくれることを願っていますから。 新色はキネティックイエローとジャングルグリーンですが、ミディアムグレーはアルトのバックドアに使われている色で、ジムニーに似合うだろうと思って採用しました。シフォンアイボリーメタリックもほかの車種で使われていますが、これはユニセックスに好まれるのではないかと思いますね。

 軽自動車の枠に収めながら厚みを持たせた

──企画開発の段階では、どのようなデザイン案があったのでしょうか?

砂走:数案ありましたが方向性はみんな一緒でした。全部ピラーが立っていて、フードが長かったですね。違ったのはホイールアーチの形状が丸型のものと、採用案の台形がありました。 また、リヤコンビランプの位置が採用案はバンパーに内蔵されていますが、バンパーより上の外側にある案もありました。それは被視認性が高く、かつバックドアの開口幅を犠牲にしないという狙いだったのですが、コスト的に厳しいのでバンパー内蔵型が選ばれ、被視認性はハイマウントストップランプで確保ています。

──その中で今回のデザインが選ばれた決め手は?

砂走:ベルトラインがクランク状、ホイールアーチが台形、リヤコンビランプがバンパー内蔵型で開口部大きいことですね。どれも選びづらいくらいに評価されたのですが、もっとも機能的だったので採用案が選ばれました。その案に決まってからは軽のジムニーから開発したのですが、迷わず進んでやり直しもなく、いかに軽自動車の枠に収めながら厚みを持たせるように作り込むための時間を長く取りましたね。

──スケッチしたデザインを実車で実現するうえで苦労したポイントは?

砂走:ああいう平らなドアやプレスすると引けたり伸びたりします。ですので、設計者も生産技術の方も皆さん協力してくれて、意識を早い段階から共有できました。またカウルパネルも、樹脂ではなく鉄板にすることに最初からこだわりました。

──衝突安全のことを考えると、角が立ったデザインは非常に厳しいように思えますが……。

砂走:かなり厳しいですね。カウルパネルは歩行者が衝突した際にガラスへ頭が当たらないようにするなど、歩行者保護の要件はとくに頑張りました。成形性や歩行者保護のことを考えれば樹脂製にした方が簡単なのですが、最初から鋼板製にこだわっています。

──ドリップレールやサイド面を立たせる造形は、衝突安全性能もさることながら、横風や風切り音、空気抵抗などへの対策も難しくなるように思います。

砂走:そういった面はジムニーだから許される所でしたね。ジムニーは軽自動車と言いつつ、ジムニーというひとつのブランドですから、機能に徹するという作り方でいいのではないかということで、車重が重くなるラダーフレームを使ったりしましたが、それでも燃費は歴代ベストまで改善しています。

──既存ユーザーからは新型のエクステリアデザインに対しどのような要望があったのでしょうか?

砂走:3代目は評判が良くなかったんですね。丸みを帯びているので室内が狭く、ホイールアーチの出っ張りもあって荷物を積めないという声があって。新型は荷室容量を確保するため、機能優先のデザインにしました。3代目の開発当時は2代目に対しファッショナブルに、乗用車的な方向に行くのが根底にあったので、それはそれで間違いではなかったと思うんですけどね、時流に乗っていましたし。

──エクステリアデザインにおいて、他に機能面でこだわったポイントは?

砂走:バンパーを着色樹脂にしたこともそうですね。塗装バンパーは傷がつくと塗り直すのに数万円かかるので、絶対にやめようと。林道を走ると傷がつきますからね。また、バンパーの下端を切り上げることで、バンパーの下側をヒットしにくいようにする工夫も盛り込みました。 シエラはオーバーフェンダーも無塗装にしていますが、そのおかげでシエラがより立派に見えるという声は多いですね。なお、バックドアが新型も横開きなのは、スペアタイヤを背負ううえで構造をシンプルにできるということからです。

──機能最優先で作られていることが一目見て分かるエクステリアデザインに仕上がっていると思います。ありがとうございました。

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(WEB CARTOP 遠藤正賢)

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