二輪車や自転車は検知できず眩しい思いをさせることも
クルマには夜間の視界を確保するために、走行用前照灯とすれ違い用前照灯といった2つのランプが備わっている。カタカナで表記すると走行用前照灯=ハイビーム、すれ違い用前照灯=ロービーム。対向車や先行車がいるような状況、十分な街灯がある環境ではロービームを使うことが多いが、本質的にいえば遠方までの視界を確保しやすいハイビームで走ることが安全につながる。
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最近では、状況に応じてハイビームとロービームを自動的に切り替える「オートハイビーム」といった機構を採用しているクルマが増えている。
中には、対向車に眩しくないように、LEDの部分消灯やランプユニット内のシェードを利用して、照射範囲を可変させる「アダプティブヘッドライト」と呼ばれるメカニズムを採用しているクルマもあるが、多くのオートハイビームは単純にハイ/ローを切り替えている。
その制御においては街灯の有無による道路の暗さをベースに、先行車のテールランプや対向車のヘッドライトを検知して、周囲にクルマがいなければハイビーム、車両を検知するロービーム(まさに「すれ違い用」だ)を選ぶという仕組みになっている。そのため仮に無灯火のクルマが先行していると車両を検知できずにハイビームになってしまうことがある。
さらに、多くのオートハイビームではオートバイや自転車といった二輪車のヘッドライトや尾灯については車両として確実に検知はできない。つまり、前方をオートバイが走っている状況において、オートハイビーム機能をオンにしていると、車両がいるにもかかわらずハイビームになってしまう可能性があるのだ。これは道路交通法的には違反だ。
また、街灯が少ない市街地において、ハイビームにしておくことは状況をはやめに把握できるので、ドライバーにとっては安全につながるが、歩行者の立場からすると、とくに向かい合っている状況では眩しく、ハイビームを不快に感じてしまう。もっとも、ロービーム時よりも事故を防止する効果は期待できるなど痛しかゆしの面もある。
というわけで、オートハイビーム頼りというのはルール違反になることもあるし、マナーの面からもノーグッドな使い方になってしまうこともある。なお、オートハイビームの作動条件には、速度も含まれる。国産メーカーではおよそ30~40km/hを境にオートハイビームが機能することが多い。低速走行中にハイビームが必要なシチュエーションでは、ドライバーが判断して切り換え操作をする必要があるのだ。
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