現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 東洋ゴム、タイヤの空洞共鳴ノイズを低減する新デバイス新開発

ここから本文です

東洋ゴム、タイヤの空洞共鳴ノイズを低減する新デバイス新開発

掲載 更新
東洋ゴム、タイヤの空洞共鳴ノイズを低減する新デバイス新開発

2018年6月29日、東洋ゴムはタイヤから乗用車の車室内に伝わるノイズ低減できる新技術「Toyo Silent Technology(トーヨーサイレントテクノロジー)」をベースに、車内騒音の一つであるタイヤ空洞共鳴音を効果的に低減するデバイスを新たに開発したと発表した。

ハイブリッド車や電気自動車の普及が進み、乗用車の動力源がガソリンによる内燃エンジンからモーター駆動へ移行するなど、モビリティ環境が大きく変貌しつつあり、乗用車の室内環境にはより静粛さ、快適さが追求される傾向にある。乗用車が走行する時に唯一路面と接するタイヤの発生するノイズを低減する「トーヨーサイレントテクノロジー」を搭載した製品開発に取り組むとしている。

東洋ゴム 「人とくるまのテクノロジー展2018名古屋」に出展 モビリティの未来を創り出すユニーク・アプローチをアピール

タイヤのノイズは、空気の振動によって生まれ、装着されたタイヤは、内部を空気で満たされた構造物であるため走行中に路面との接触によって発生するタイヤへの入力が、タイヤ内部の空気に振動を起こし、その振動が車軸を通して乗用車の室内に音(ノイズ)として伝わっている。

タイヤが外部(路面)からの入力を受け、内部に充填されている空気が振動して発生するノイズは、タイヤ空洞共鳴音と呼ばれ、車内騒音のひとつとなっている。例えば、高速道路を走行中、道路の継ぎ目を通り過ぎるときに「パカーン」という音が発生するが、これは転動するタイヤに対して道路表面の凹凸が入力され、タイヤの中の空気が振動する現象によって発生する典型的なタイヤ空洞共鳴音だ。

東洋ゴムは、ノイズ発生の原因となるタイヤ内部の空気が、実際の車両走行時にタイヤの接地転動時にどのような状態にあるかをシミュレーションによって可視化した。これにより、充填された空気自体がタイヤ内部で「周方向への流れ」と「垂直方向への流れ」を発していることが判明したという。

タイヤ空洞共鳴音を低減する方法として、音の吸収効果のある素材を内部に装着するというアイデアがタイヤ業界ではすでに実用化されているが、東洋ゴムはタイヤ内部に空気の流れが発生している事実に着目し、空気の流れを活用してノイズの低減を図るという独自アプローチに取り組んだ。

もともと音は穴を通ると低減する性質を持つ。これは通過する穴の壁面で摩擦が生じ、また穴を通過した後に渦が発生する、という2つの減衰メカニズムによるものだ。音が穴を通過する際に空気の流れを活用することでさらに音の低減効果が高まるため、東洋ゴムは可視化によって判明した空気の流れの向き(空気の通り道)に多孔フィルムを配置し、「発生する音が穴を通る構造」を設ける検討を行なった。

周方向、垂直方向の双方の流れに対応するために、多孔フィルムを「山なり形状」のデバイスとして装着することがブレークスルーポイントとなっている。また、この山なりのフィルム形状を保持するために、円筒状スポンジを周上に16本配置している。円筒状スポンジの中空構造が音の減衰に効果を持っているため、多孔フィルムとの相乗効果によって、さらなるノイズの低減効果が得ることができたという。

人が聞くことのできる音の可聴域はおよそ20Hz~2万Hzとされているが、タイヤ空洞共鳴音は200Hzから250Hzという低周波数帯域でのノイズだ。この周波数帯域をターゲットにノイズ低減をめざしたデバイスの搭載効果を確認するため、販売しているトーヨータイヤをサンプルに実車試験を行なった。

車内の騒音レベルを計測した結果、デバイス搭載タイヤで走行した乗用車のタイヤ空洞共鳴音は、デバイスを搭載していない現行タイヤでの走行時に比べ、200Hzから250Hz帯域において、最大でマイナス12dBという大幅な低減効果を得ることができることが確認された。東洋ゴムは、この結果をもとに今後、このデバイス搭載タイヤの製品化と市場展開を検討するとしている。

トーヨータイヤ 関連情報
トーヨータイヤ 公式サイト
東洋ゴム 公式サイト

こんな記事も読まれています

未来のWRC戦士は誰だ? 若武者激突! モリゾウチャレンジカップ第2戦レポート
未来のWRC戦士は誰だ? 若武者激突! モリゾウチャレンジカップ第2戦レポート
ベストカーWeb
プリウスもない! クラウンセダンにもない! 最近フォグランプのあるクルマ減ってない?
プリウスもない! クラウンセダンにもない! 最近フォグランプのあるクルマ減ってない?
ベストカーWeb
宮田莉朋が2度目のWEC出走へ。第3戦スパでレクサスRC F GT3を代役ドライブ
宮田莉朋が2度目のWEC出走へ。第3戦スパでレクサスRC F GT3を代役ドライブ
AUTOSPORT web
中央道の渋滞対策2ストライク、三振間近! なぜ愚策が繰り返されるのか?[清水草一の道路ニュース]
中央道の渋滞対策2ストライク、三振間近! なぜ愚策が繰り返されるのか?[清水草一の道路ニュース]
ベストカーWeb
大型連休でも大活躍! 6名以上乗れる手頃な価格の中古車4選
大型連休でも大活躍! 6名以上乗れる手頃な価格の中古車4選
グーネット
ハイブリッドなのにスポーツカー⁉️ C 63 Sに新世代のAMGを見た
ハイブリッドなのにスポーツカー⁉️ C 63 Sに新世代のAMGを見た
グーネット
レクサス 新型「GX550オーバートレイル+」抽選販売スタート!通常販売は2024年秋開始
レクサス 新型「GX550オーバートレイル+」抽選販売スタート!通常販売は2024年秋開始
グーネット
マツダ 新型3列シートSUV「CX-80」初公開 2024年秋に欧州で発売
マツダ 新型3列シートSUV「CX-80」初公開 2024年秋に欧州で発売
グーネット
プリウス後席ドアに13万台のリコール! 暫定的に手動開閉に! ところでプリウス後席ドアって手動でどう開けるの?
プリウス後席ドアに13万台のリコール! 暫定的に手動開閉に! ところでプリウス後席ドアって手動でどう開けるの?
ベストカーWeb
クルマの窓から愛犬が顔出してる! 可愛いんだけどこれって違反にならないの?
クルマの窓から愛犬が顔出してる! 可愛いんだけどこれって違反にならないの?
ベストカーWeb
ボルドールの経験でEWCの切符を掴んだ綿貫舞空。ル・マンで昨年2位の3ART加入に「できれば優勝をしたい」と意気込み
ボルドールの経験でEWCの切符を掴んだ綿貫舞空。ル・マンで昨年2位の3ART加入に「できれば優勝をしたい」と意気込み
AUTOSPORT web
BYDが都内屈指の自動車ディーラー激戦区に「BYD AUTO 目黒」を開店
BYDが都内屈指の自動車ディーラー激戦区に「BYD AUTO 目黒」を開店
グーネット
今やブーム真っ只中なのに……期待が大きすぎた  悲しい運命をたどった[SUV]4選
今やブーム真っ只中なのに……期待が大きすぎた  悲しい運命をたどった[SUV]4選
ベストカーWeb
マツダの新型「3列SUV」でた! ついに5m級 驚異的パワー!? 「CX-80」欧州で世界初公開 これ日本に来るのか!?
マツダの新型「3列SUV」でた! ついに5m級 驚異的パワー!? 「CX-80」欧州で世界初公開 これ日本に来るのか!?
乗りものニュース
GTワールドチャレンジ・アジアがJ SPORTSで全戦放送。ジャパンカップはほとんどを生中継へ
GTワールドチャレンジ・アジアがJ SPORTSで全戦放送。ジャパンカップはほとんどを生中継へ
AUTOSPORT web
安かろう悪かろうなクルマをつかまされないために知っておくべき……[修復歴]と[事故歴]の違いとは  どうやって見分けりゃいいの
安かろう悪かろうなクルマをつかまされないために知っておくべき……[修復歴]と[事故歴]の違いとは  どうやって見分けりゃいいの
ベストカーWeb
もっと「アバルト595」で運転を楽しもう! 車高調からペダルの「ポッティングデカール」にドラシューまで、厳選アイテムを紹介
もっと「アバルト595」で運転を楽しもう! 車高調からペダルの「ポッティングデカール」にドラシューまで、厳選アイテムを紹介
Auto Messe Web
シェイクダウンはオジエが最速発進。トヨタ1-2にヒョンデ勢が続く/WRC第4戦クロアチア
シェイクダウンはオジエが最速発進。トヨタ1-2にヒョンデ勢が続く/WRC第4戦クロアチア
AUTOSPORT web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村