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業界ニュース 2018.6.26

進化した トヨタ セーフティ センス の実力は?…自転車検知、夜間歩行者検知を体験

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2014年11月26日、トヨタ自動車は複数の運転支援技術を組み合わせた予防安全パッケージ「トヨタ セーフティ センス C,P」(Toyota Safety Sense C,P)を発表。翌2015年4月1日に発売された『カローラ』に「トヨタ セーフティ センス C」を搭載した。その後は順次、搭載車が増やされ、2018年6月現在トヨタ セーフティ センスは日米欧の地域において、ほぼすべての乗用車への設定が完了。これまでの世界累計販売台数は800万台にのぼる。

2017年12月25日、トヨタ セーフティ センス は第2世代版へと進化した。第2世代版を初めて搭載したのは同日にマイナーチェンジを行ったミニバン『アルファード/ヴェルファイア』だ。最大の技術的進化点は、トヨタ セーフティ センス Pが採用していたミリ波レーダーと単眼光学式カメラの性能をそれぞれ向上させ、両センサーの情報を融合させる「センサーフュージョン方式」も同時に強化したことで新たに夜間の歩行者や、自転車の運転者(=自転車)も検知可能な衝突被害軽減ブレーキ「プリクラッシュセーフティ」が実現した(従来のトヨタ セーフティ センス Pでは自転車や夜間の歩行者検知はできない)ことだ。

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加えて、車線の中央走行維持をサポートする「レーントレーシングアシスト」や、将来の自動運転技術へとつながる運転支援技術として標識(制限速度や一時停止、進入禁止、はみ出し禁止など)を読み取りその結果をディスプレイに表示する「ロードサインアシスト」も追加した。

◆死亡事故の原因に対策を

現在日本では、1.歩行者事故(35%)、2.逸脱事故(31%)、3.交差点事故(20%)、4.追突事故(5%)という4つの事故形態が、交通死亡事故全体の約90%を占めている(平成29年警察庁交通局)。トヨタではこれらの事故を徹底的に分析して、それぞれに対応、つまりは死亡事故を抑制する先進安全技術を生み出し、車両に実装するという「実安全の追求」のプロセスこそが、交通事故死傷者ゼロにつながると考えている。

前述した通り、第2世代版となったトヨタ セーフティ センス 最大の技術的なトピックは、夜間の歩行者検知と自転車との検知にあるわけだが、そこに至った背景には先の実安全の追求にある。

まずは歩行者事故。平成29年の警察庁発表データによると、歩行者死亡事故の昼夜割合では、なんと70%が夜間であるという。また、どんな状況の際に歩行者死亡事故が発生しているかという行動別割合では、横断中がもっとも高く78%(平成24年交通事故総合分析センター)にまで及ぶ。

次に自転車との事故。交通事故死亡者数が年々減少するなかで、じつは自転車乗車中の交通死亡者数はここ5年間横ばいだ。つまり死亡者数全体における割合が増えていることになる。また、自転車対自動車の交通死亡事故割合では、「見えない場所からサッと飛び出してくる出会い頭や、道路の横断」が最多で59%、次いで「追突や追い抜き、すれ違い時」が18%と高い。第2世代版では、この最多、次点の事故形態に対応可能だ。

◆4つのパターンで安全機能を試す

今回、トヨタ自動車の研究所において、このトヨタ セーフティ センス 第2世代版を装着したアルファードに試乗して、実際に進化した第2世代版の新機能を体感することができた。体感試乗は以下の4点だ。

1.クルマの影から飛び出した歩行者に対する衝突被害軽減ブレーキ(昼間)

2.道路を横断する自転車に対する衝突被害軽減ブレーキ(昼間)

3.夜間の横断歩行者に対する衝突被害軽減ブレーキ

4.夜間の止まっている歩行者に対する衝突被害軽減ブレーキ

1.では自車速度40km/h、子供の歩行者ダミー(身長1154プラスマイナス20mm/肩幅298プラスマイナス20mm/体重は最大で2kg/Euro-NCAPと同仕様)は5km/hで車の影から飛び出してくる。つまり、NASVAにおける駐車車両の陰から歩行者が横断してくる「CPNO」試験に準じたシナリオだ。ここでの衝突被害軽減ブレーキは衝突予測時間(TTC)にして1秒以下になることから、ミリ波レーダーと単眼光学式カメラの両センサーが捉えた時点とほぼ同じタイミングで強め制動(減速度0.8程度)が立ち上がる。筆者はこの手の試乗を10年以上テストコースで体感してきたが、もっとも肝を冷やす体感試乗だった。警報→制動へのタイムラグがほとんどないからだ。ダミーを目視した時点でブレーキを踏まなければ間に合わない、そんな状況であっても第2世代版はダミーの手や足、頭など部分的に確認できた時点で警報を発報し、すぐさま制動を開始することでダミーには擦りもせずに停止した。

2.では自車速度40km/h、自転車は15km/hで道路を横断する。車とは直角で交わる状況だ。体感試乗では遠くに自転車がいる場合に発見→ブレーキなどの回避操作を行えば余裕があるが、それに気がつかないでいると急速に自転車が近づいてくる印象で、近づくほどにAピラーに自転車が隠れてしまう。第2世代版は、迫り来る自転車を発見した時点でTTCによる警報→制動により、自転車と接触せずに停止した。これはデュアルモード方式のミリ波レーダーにおける近距離検出範囲を従来から約40%ワイド(広角)化したこと、加えて単眼光学式カメラに移動体を連続して追い続けその未来行動を予測する「動き検出ロジック」を追加することで実現した。

3.では自車速度30km/h、大人の歩行者ダミー(身長1800プラスマイナス20mm/肩幅500プラスマイナス20mm/体重は最大で4kg/Euro-NCAPと同仕様)は5km/hで道路を横断する。状況としては街灯のない真っ暗な道路だ。ヘッドライトはすれ違い用前照灯であるロービーム。ここでもTTCに則り警報→制動となるのだが、ここでは1ルクス(肉眼では真っ暗と認識される状況)でも検出可能な高感度撮像素子(ソニー製)を採用したことと、歩行者の認識パターンに人の下半身、つまりは足を認識するプログラム(辞書)を追加して対応した。

4.では、3.と同じ状況で今度は歩行者が自車の真正面で止っているパターンだ。3.と4.いずれも肉眼では発見が大きく遅れてしまう状況だったが、第2世代版はしっかりと警報→制動へとバトンをつなぎ衝突を回避した。

◆システムだけに頼りきるのではなく…

体感試乗を終え筆者が感じたことは次のふたつ。ひとつ目は「機械に守られる安心感」だ。目視できてもブレーキを踏む、ステアリングで回避するといった反応には遅れが生じ、どんなに訓練を行っても一定時間以下に縮めることは不可能だ。その点、ドライバーの眼を補強する「電子の眼」によるサポートを受けることで、電子バリアによる時間的なゆとりを手に入れることができる。そこでの獲得時間がたとえ0.5秒だとしても、対象が歩行者である場合は加害度合い軽減の観点から、1km/hでも衝突時の運動エネルギーが減少することが望ましい。

ふたつ目は「物理的限界点の再認識」だ。実際の車列からの飛び出しでは、TTCにして0.2秒程度という瞬間的な事故の報告がなされており、そうなると高精度を誇る第2世代版とはいえ衝突回避はむずかしいだろう。その点、今回の体感試乗ではTTCにして1.2秒程度と頻発するケースをもとに、GPS情報を用いて自車位置とダミー位置との相関的な位置把握が精密に行われた上で実施され、人が怖いと感じたり、反応できなかったりする時間的余裕がない場合であっても強い制動による確かな回避が行われた。言うなれば、厳格な管理のもと成功した実演テストなのだ。

ただし、実際の道路環境では路面の状況、センサーの検知パターンとのマッチング、そして当該車両の整備状況(例/タイヤ空気圧など)など複合的な要素がシステムの設計範囲に合致していることが不可欠で、それらが満たされた場合にのみ100%に近い機能(≒回避力)を発揮する。

つまり、このことを逆説的に考えれば、衝突回避の難易度が高い状況での回避成功事例(今回の実演テストの趣旨と内容)を”正しく世に知らしめるため”には、機能の物理的限界点が複数存在し、しかもそれは複合的な要因により時間軸や状況の変化とともに移り変わり、時に限界点が大きく下がってしまうこともあるなど、さまざまな要因によって成り立っていることの情報共有がスタートラインにあると言えるのではないか。

改めるまでもなく、トヨタ セーフティ センスは高度な運転支援技術だ。しかし、システムの回避動作に頼らず、システムの発する警報にドライバーが極力反応し、ブレーキを踏んだり、ステアリングを操作したりするなど回避動作をとることが、トヨタ セーフティ センス第2世代版に進化した今でも重要な点であることに変わりはない。

トヨタとレクサスでは「Mobility Teammate Concept」のもと自動運転技術の開発を進めている。ドライバーが運転したい時には運転を楽しむことができ、運転したくないとき、または、なんらかの状況でできないときはクルマに安心して運転を任せることができる、そんな人と機械の協調運転の先に近い将来の自動運転社会があるのだと筆者は信じている。

だからこそ、その要素技術となるトヨタ セーフティ センスでは引き続き、正しい理解と普及が求められる。今回、運転支援技術であるトヨタ セーフティ センス第2世代版が手にした高度な「衝突回避性能」に触れ、我々の伝え方もこれまで以上に誤解や過信を抱かせない第2世代版へと進化させていく必要性を強く感じた。

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(レスポンス 西村直人@NAC)

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