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じつはこの技術、自動運転時代に必要です。センシング技術と制御技術を組み合わせて、バス停にピッタリ停める 

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じつはこの技術、自動運転時代に必要です。センシング技術と制御技術を組み合わせて、バス停にピッタリ停める 

5月8~10日に開催された第16回アジア太平洋地域ITSフォーラム2018福岡で、ジェイテクトが「次世代都市交通 正着制御システム」のデモンストレーションを行なった。「正着制御」とはいったいなんだろう?TEXT&PHOTO◎鈴木慎一(SUZUKI Shin-ichi)

自動運転時代のバスをバス停にぴったりと停める

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「次世代都市交通 正着制御システム」は、内閣府が推進する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の一環としてNEDOからジェイテクトが委託を受けて開発している技術だ。
「正着制御」という聞き慣れない用語は、この技術を開発するにあたって作り出された造語。英語表記の「Precise Dockng Control System」というのも正着制御に合わせて作った表記だという。
 簡単に説明すれば、自動運転時代の都市交通機関を(バスや小型のピープルムーバー)が、所定の場所(バス停を想像していただきたい)にぴったりと停める技術である。


 自動運転が最初に実用化される分野として、すぐに思い浮かべるのは、あらかじめ走行ルートを決めプログラムして走るバスだと思っていた。自動運転の無人バスが決まった路線を循環、または往復するというイメージだ。過疎化や高齢化が進んだ地域では移動手段して有効だし、道路条件(交通量が少ない)を考えても技術的ハードルは高くない……と漠然と考えていた。
 今回、福岡でジェイテクトが行なったデモを見て、バス停にピタリと停める技術なしに、自動運転バスは成立しないということを痛感した。高齢者や車いす、ベビーカー利用者が介助なしでスムーズに乗降するには、バス停から数センチ以内程度に「正着」しないと難しい。


 デモ会場となったのは、西鉄バス研修センターというクローズドな環境だ。日野自動車製のバスにジェイテクトが開発したシステムを搭載したプロトタイプの運転席には、運転手が座っている。今回のバスはアクセル操作のみを運転手が、操舵とブレーキはシステムが受け持つ仕様だった。アクセル操作を運転手が行なうのは、SIPでの担当分野の違うというだけで、これも自動で行なうことに技術的困難があるというわけではない。


 まずは、車外から観察する。バス停をスムーズに発進したバスは、コースを一周して、迷いなくスムーズに、ピタリとバス停を模したプラットホームに停まった。何度かデモ走行を見せてくれたが、まったく同じようにピタリと停まる。バスとプラットホームの間はわずか5cm。これならクルマ椅子でもそのまま乗り込める。
 走行ルートは、事前にプログラムされている。その軌道に対して自車位置は高精度GPS(RTK-GPS)を使ってセンシングし、目標に対してのずれを補正しながら走るわけだ。こう書くとさして難しくないように思うかもしれないが、大型車両は応答遅れも大きい。路面もフラットではない。車両側のジャイロセンサーでクルマが振られたことを検出してから舵を当てたのでは遅いし、スムーズな動きにはならない。会場にいた西鉄バスのベテラン運転手に聞くと「あそこまでぴったりに毎回停めるのは、ベテランでも難しい」という。機械がやっているのだから、毎回同じ動きになるのは当然とも思えるが、見ているとその動きに惚れ惚れする。




 今度はバスに同乗してみた。運転手はシフト操作とアクセル操作のみでステアリングホイールには手を触れていない。コーナーが迫ってくるとステアリングホイールはスルスルと非常に滑らかに回る。少しもカクカクした動きがないのが素晴らしい。
「滑らかに動かすのは一朝一夕にはできません。油圧パワーステアリングを含めたシステム全体を把握することが重要です。大型バスは車両の応答がすごく遅いし、ステアリングホイールからタイヤまでが遠く、複雑な機構で動かしているので、タイヤを滑らかに精度高くコントロールするのが難しい。先読み、とまでは言えませんが、フィードフォワード的な要素も制御ロジックに入れています」とのジェイテクトからの説明だった。 ステアリングホイールの動きがカクカク不自然だと乗客にも、乗務員(しばらくは運転席に人が座ることになるだろうから)にも不安を与えることになる。目標とするのはベテラン運転手と同じような自然でスムーズな操舵である。
 バス停が近づいてくる。バスは躊躇することなく(当然だが)、極めてスムーズに減速してピタリとバス停で停まった。定規で測ると、やはり7cmだった。


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