■発売前から大人気の新型「クラウン」
2018年6月26日に発売となる、トヨタ新型「クラウン」のプロトタイプに試乗してみました。販売店ではすでに先行受注を開始しており、早くも4万台を超えるバックオーダーが入っているという情報もあるほどの人気ぶりです。
クラウンからアルファードへ代替増加 ファミリーだけのミニバンではなくなった?
実際に新型「クラウン」を事前にオーダーした皆さんは実車も見ていないし、当然の如く試乗もしていないことでしょう。短い時間だったものの、全てのエンジンバリエーションを試したので紹介したいと思います。
まず新型「クラウン」の総合的な印象ですが、これまでの「クラウン」より圧倒的にベースとなるシャシ(車体の骨格)の性能が上がっています。考えてみれば、現行「クラウン」は基本設計が古いシャシを改良しながら使ってきています。増改築を繰り返した古い建物と同じです。
今回発売する新型「クラウン」は、レクサス「LS」などと同じゼロから開発した後輪駆動用のTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)を採用しています。サスペンションの基本構成やジオメトリーまで一新し、ドイツ車と同じく剛性感が大幅に高まる「接着構造」をボディ各部に取り入れるなど、最新の生産技術も投入しています。
一方、インテリアはクラウンらしさをキッチリ残しています。新しい素材や技術を使いながらも、いろんな意味で「和風」です。難しい表現ながら、明治維新後に作られた洋館や、高級旅館の洋間のような感じがあります。これが良いか悪いかは意見が分かれるところですが、私(国沢光宏)はこれが「クラウン」の味だと思います。
日本の魂を持ちながら、西洋の良い面をしっかり取り入れるという、いわゆる「和魂洋才」です。細やかな気遣いは和風ですし、ボディや足回りの逞しさはヨーロッパ車的。この新型「クラウン」なら、価格的なライバルとなるメルセデス・ベンツ「Cクラス」やBMW「3シリーズ」あたりから乗り換えても「いいね!」と思うでしょう。
■クラウン史上最強パワーユニットも用意した新型「クラウン」の実力とは
前置きが長くなりましたが、ここからは実際に試乗した印象です。
まずは売れ筋になるであろう、2.5リッター4気筒エンジンにモーターを組み合わせたシステム出力225馬力のハイブリッド車から。絶対的な動力性能からすれば全く不満無し。アクセルペダルを踏んだ時のパワー感は通常エンジンの2500cc~3000ccの中間くらい。抜群に優れた燃費と静かさが最大のアピールポイントでしょう。
価格と性能のバランスを考えるなら、現行モデルにも設定されている245馬力を発揮する2リッター4気筒直噴ターボでしょう。前述のハイブリッドモデルと乗り比べれば明らかにクルマの挙動が軽快です。ハンドルを切った時の反応はシャープでキビキビしています。3.5リッターV型6気筒エンジンと同じくらいの動力性能を持っています。
新型「クラウン」で最もパワフルなのは、システム出力何と359馬力に達するレクサス「LS500h」と同じ3.5リッターV型6気筒エンジンとモーターを組み合わせたハイブリッド搭載モデルです。
アクセルペダルを踏み込んだ瞬間から背もたれに掛かる体重がググッと増えるほど「速いですね!」。もちろん「クラウン」史上最強のパワーユニットとなります。
ホメてばかりいますが、新型「クラウン」の弱点はないのだろうか?
今回乗った車両についていえば(まだプロトタイプということで市販車になると改良される可能性大)、ヨーロッパ車のようなハンドリングを追求した副作用か、もしくは慣らし走行不足なのかは不明ながら、通常の速度域での乗り心地が少しばかりザラついた感じを受けました。
速度域が高くなれば気にならないレベルになるのですが、わかりやすく言うと街中で路面のデコボコを少し大ゲサに伝えてしまう感じ。ステアリング系の”しっかり感”も追求しているため、ハンドルに細かいゴツゴツが伝わってきました。
ここがドイツ車のように滑らかになってくれば、私的には新型「クラウン」は申し分無しです! 実際に販売される量産車でこのあたりがどう改善されているのか、市販車の試乗を楽しみにしておきます。
■新型「クラウン」に採用する画期的な新技術はまだベールの中
すでに新型「クラウン」をオーダーした人には”良い買い物だと思います”と伝えておきます。
ちなみに新型「クラウン」から採用される画期的な新技術『コネクテッド』の内容については今回発表されませんでした。『コネクテッド』によって新型「クラウン」はどんな新しい世界を見せてくれるのでしょうか?
新型「クラウン」すべての詳細が明らかになるのは、発表日となる2018年6月26日ということです。
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