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昔よく言われた「1馬力=1万円」は本当? 車の1馬力当たりの金額を検証してみた

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昔よく言われた「1馬力=1万円」は本当? 車の1馬力当たりの金額を検証してみた

■クルマ1馬力あたりの金額を徹底検証!

 最近ではエコや安全が重視され、昔のようにクルマの高性能さを争った「馬力競争」という時代ではなくなりましたが、クルマの1馬力当たりの金額はいくらなのでしょうか。昔は「1馬力=1万円」などといわれましたが、昔と今のクルマはどうなっているのか検証してみました。

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 ちなみにクルマ開発の現場では言われたことがあったのか、「CR-Xデルソル」などの開発責任者を務めたホンダの元開発者である繁浩太郎氏に、「1馬力=1万円」という考え方で開発したことはありますか?と聞いてみると、「全くそんなことは考えたことはありません。いいクルマを作るにあたり、そんな考え方はありません」とのことでした。

 筆者(渡辺陽一郎)が自動車雑誌の編集長をしていた頃は、「1馬力=1万円」という使い方を同車種で異なるエンジンやパワーが与えられていた時に、グレード毎のお買い得感の指標に使っていました。車種が違ったら、計算はまったく成り立たなくなります。

 例えばトヨタ「シエンタ1.5X」の価格は181万6363円で、最高出力は109馬力。トヨタ「ヴェルファイア2.5X」の価格は335万4480円で、最高出力は182馬力になる。最高出力はヴェルファイアが73馬力高いが、価格は153万8117円上まわります。すると「1馬力=1万円」どころか、2万円以上の差が付いてしまいます。

 したがって比べるのは同じ車種同士となります。排気量を拡大したり、ターボを装着するなどのパワーアップが行われた時に「価格がどの程度高まるのか」という計算になります。

 まず昔良く言われた「1馬力=1万円」が本当なのかを検証したいと思います。過去に遡りすぎると物価が違ってしまうので、20年前で考えてみます。

 1998年に販売されていた8代目トヨタ「マークII 2.0グランデ」は、価格が235万円(当時は消費税を含まない本体価格表示)で、直列6気筒2リッターエンジンの最高出力は160馬力。同じく「マークII 2.5グランデ」は、価格が264万円で、直列6気筒2.5リッターエンジンの最高出力が200馬力でした。

 つまり最高出力が40馬力の違いで価格差は29万円なので、1馬力当たり7250円になります。少し安いですが、大幅なズレともいえません。

 10代目のR34型日産スカイライン2ドアクーペでみると、2.0GTの価格が234万4000円で、直列6気筒2リッターエンジンの最高出力は155馬力。25GTの価格は260万7000円で、2.5リッターエンジンの最高出力は200馬力。25GTターボの価格は303万5000円で、2.5リッターターボの最高出力は280馬力でした。

 装備の違いも多少はありますが、2リッターと2.5リッターでは、価格差が26万3000円、最高出力の差が45馬力ですから、1馬力当たり5844円です。2.5リッターは2リッターよりも割安にパワーアップされていたということになります。

 また2.5リッターと2.5リッターターボでは、価格差が42万8000円、最高出力の差が80馬力だから、1馬力は5350円。スカイラインのようなスポーツモデルは、動力性能が割安に高められ、高性能なグレードほど買い得でした。

■軽のターボモデルは1馬力がマクドナルドのセット価格並?

 一方、今日では、ハイブリッドが加わったこともあってエンジンの種類を減らす方向にあります。その意味で注目されるのは、CX-5などのマツダ車です。

 CX-5に2リッターガソリンエンジンを積んだ2WDの「20S プロアクティブ」は、価格が268万9200円で最高出力は156馬力。2.5リッターガソリンエンジンの「4WD・25S プロアクティブ」は、価格が291万6000円で最高出力は188馬力。つまり「500cc/32馬力+4WD」の価格が22万6800円になる計算です。

 次はディーゼルで同様の計算を行ってみます。2.2リッターディーゼルを搭載する「2WD・XDプロアクティブ」は最高出力が190馬力で300万2400円。同じエンジンの「4WD・XDプロアクティブ」は322万9200円。4WDの価格差だけで22万6800円になります。

 つまりガソリンエンジン車で4WDを選ぶと、2WDとの価格差はディーゼルと同じなのに「500cc/32馬力」がオマケで手に入るのです。「1馬力=1万円」とすれば、CX-5(ほかのマツダ車も同じ)のガソリン車で2.5リッターの4WDを選ぶと、2リッターの2WDに比べて32万円トクするわけです。

 これは特殊な例ですが、軽自動車のターボモデルも比較的安いです。特に注目されるのは日産デイズ。「ハイウェイスターG」の価格は148万5000円で、最高出力は49馬力。「ハイウェイスターGターボ」の価格は149万5800円で、最高出力は64馬力になります。価格差は1万800円で最高出力の差は15馬力ですから、1馬力は720円となります。マクドナルドのバリューセットと同等の金額で1馬力が買える計算です。

 一般的な車種ではスバル「インプレッサスポーツ」が挙げられます。「1.6i-Lアイサイト」は価格が194万4000円で、最高出力は115馬力。「2.0i-Lアイサイト」は価格が218万1600円で、最高出力は154馬力。価格差が23万7600円で、最高出力の差が39馬力だから、1馬力は6092円になる。

 このように1馬力が1万円に達する車種は、今の日本車にはほとんど存在しません(高性能エンジン車の装備が大幅に充実する場合を除く)。1馬力の相場は5000円から6000円と考えていれば問題ないです。その意味ではR34型スカイラインなどの馬力レートが、20年後の今でも続いているわけです。

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