トヨタといえばもはや日本のみならず、世界最大級の自動車会社である。そんなトヨタが「100年に一度」の変革期とまでいわれる自動運転時代を控え、変化しないわけがない。
そのカギは「モビリティ」。通信データとコネクトしたクルマが走り出し、その情報をいかにトヨタが使い、生活の利便性が上がるのか。10年後、きっと自動車の世界は様変わりしているはずだ。
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トヨタが今後歩むであろう道筋を桃田健史氏が解説します。
文:桃田健史/写真:TOYOTA、ベストカー編集部
■「モビリティ」は機械にあらず、情報収集の仕組みだ
トヨタが近い将来、ビジネスの基盤をオートモービルから「モビリティ」へ転換するという。それは大まかな事業方針ではない。
より具体的に、より早く実現することを目指している。トヨタがいうモビリティとはどのような乗り物なのか。それはEVや自動運転車のことなのか。
トヨタはどこを目指して、何をしようとしているのか。
トヨタのモビリティ戦略の中核になるのが、モビリティサービスプラットフォームだ。それを説明する上の図を見ると、一番下にあるのがDCM(データコミュニケーションモジュール)。
2020年からトヨタ全車に装着されるデータ通信機器で、クラウドを通じて車両の位置、走行状態、運転者のクセなどのビッグデータをトヨタが収集・解析した後、さまざまなサービスに使う。
また、図の一番上には、さまざまなサービス事業者がいる。
電車やバスなどの公共交通機関、タクシーなどの移動手段、ガソリンスタンドや充電ステーションなどのインフラ、さらに旅行や飲食などライフスタイルに関わる多様なビジネスが挙げられている。
こうした図の全体を見ると、ユーザーはトヨタ車を通じて個人情報をトヨタに提供することを許可することで、生活全般における新しいサービスの提供を受けることがわかる。
まるでスマホと同じだ。
■クルマは大きなスマホになる
スマホユーザーは、グーグルやアップルなどのサービス事業者に対して、自分の現在位置やフリーメールを通じた個人情報を提供している。
その個人情報をもとに検索サイトや電車乗り換え案内などの無償サービスを活用できている。
貴重な個人情報を与えても、それ以上に有益なサービスが得られることを認める社会がすでにでき上がっているのだ。
換言すると、IT大手が「クルマを大きなスマホ」に見立てて自社サービスを提供することも充分に可能だ。これは2014年頃から量産化が始まった、車載器とスマホとの連携によって表面化した動き。
アップルはカープレイ、またグーグルはアンドロイドオートという独自のルールを自動車業界に持ち込んできたのだ。
IT各社の自動運転への積極的な関与は、移動中に蓄積されるビッグデータも大きな資産になるからだ。対抗策としてトヨタはすでに人工知能研究のための子会社を設立している(写真はその実験車)
さらに、グーグルは車載器の本丸であるオペレーティングシステム(OS)の事実上の標準化を目指している。
これに対してトヨタは、オートモーティブ・グレード・リナックス(AGL)という自動車メーカー主導による車載OSの普及活動を強化している。
このように、トヨタが今、最も恐れているのがデータビジネスの主導権をIT大手に牛耳られてしまうことなのだ。
モビリティ社会の本質とは、クルマのデータサービスの事業化である。そうした時代変化を念頭にトヨタは今後、大きく変わろうとしているのだ。
■販売形態はいったいどうなる?
クルマのデータサービス事業が本格化するなかで、確実に起こるのは大規模なディーラー再編だ。
例えば、ダイムラーは2025年までの世界販売総数の25%をインターネット販売に切り替えると明言している。そう、クルマのネット直販だ。
こうなると、ディーラー事業の中身は修理のみになってしまい、結果的にディーラーを再編することで収益性を上げることになるだろう。
実は、現時点でもトヨタディーラーの収益の約8割は修理であり、ディーラー各社は独自で新たなる収益事業を模索している。
そうしたなか、トヨタは4月上旬、子会社のトヨタ東京販売がネッツ店、トヨタ店、カローラ店、トヨペット店の4系統を統合すると発表した。
トヨタの場合、こうした直接資本ディーラーよりも独立系ディーラーが圧倒的に多いため、東京での試みがどの程度の速さで全国に広がるかを予測するのは難しい。
とはいえ、ダイムラーの事例のみならず、ドイツ勢はメーカー主導型の販売体制を強化する動きが明確であり、トヨタもそれに追随することになるだろう。
こうした日本国内でのディーラー再編は、日本の年齢分布による顧客の数から想定して、今後10年以内に一気に進むと見られる。
■新車開発は今後は「個性重視」に!?
自動車開発の視点で今後5~10年といえば、モデル改良が1~2回であり、あまり多くの変化は期待できないかもしれない。
トヨタの車両開発は小型、中型、新興国向け、商用車などカンパニー制が敷かれているが、今後10年以内は現状の延長上で進むと予測できる。
ただし、豊田社長が「数は追わない」と指摘するように、これまでのような大量生産・大量消費型の事業が通用しなくなるかもしれない。
自家用車の販売台数拡大は逆効果になる可能性もある。若い世代を中心にシェアリングエコノミーが急拡大した場合、公共的なモビリティサービスも新たなるビジネスとして取り込む必要があるからだ。
採算が厳しくてもメーカーの顔として突出した「イメージ」が必要。スープラなどもその一翼を担うはずだ
いっぽうで、スープラや86、そしてGAZOO Racingのように「ワクドキ」の領域はビジネス規模としてはおおむね縮小する可能性が高い。
だが、トヨタの存在意義を示すブランド戦略として、10年後も20年後も消滅することはないはず。とはいえ、大きな時代変革のなかで先ゆきは不透明な情勢だ。
データビジネス化やディーラー再編など、トヨタはモビリティ社会への転換に向けて、今、重大な岐路に立っていることは間違いない。
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