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欧州でもレトロゲームが熱い? メルセデスAMGのDTMレトロゲームとセガの往年の名作を走り比べた

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欧州でもレトロゲームが熱い? メルセデスAMGのDTMレトロゲームとセガの往年の名作を走り比べた

先日、ダイムラーの本国プレスサイトを何気なく見ていたところ、新型車情報やレース結果などと一緒に、場違いなレトロゲームの写真が目に飛び込んできました。思わずサムネール画像をクリックしたところ、「DTMレトロゲームをプレイして、DTMレースタクシーへの乗車を勝ち取れ」と書いてあります。DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)といえば、日本のSUPER GT・GT500クラスと同様に、ツーリングカーレースの頂点に位置するドイツの人気レース。そのDTMをモチーフにしたゲームをあえてレトロゲームとして登場させた理由はどこにあるのでしょうか?

そこで今回は、メルセデスAMG謹製のDTMレトロゲームの内容をご紹介。さらにDTMをモチーフにした’90年代のレースゲーム『セガ ツーリングカーチャンピオンシップ』についても解説します。<レポート:北沢剛司/Koji Kitazawa>

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DTM参戦30周年をゲームイベントで祝う

メルセデス・ベンツがAMGと本格的なパートナーシップを組み、190 E 2.5-16でDTMへの参戦を開始したのが1988年。その30周年を記念するイベントとしてメルセデスAMG モータースポーツが用意したのは、なんとレトロゲームという変化球でした。
●Retro Game – MERCEDES-AMG DTM

これはメルセデスとAMGがDTMに参戦した当時のレースゲームの雰囲気を現代に甦らせたもの。ステアリングの操作方法もキーボードのA/S/Dキーまたは矢印キーを使うだけという簡潔さ。’80年代にパソコンのキーボードを使ってゲームをしていた世代にとっては、懐かしさがこみ上げてくる操作性です。ちなみにスマートフォンでは、画面下部の左右および中央をタップすることでプレイすることができます。

ゲーム自体は、キーボードで3レーンのコースを動かしてライバル車を避けながら進んでいくシンプルなもの。コース中に現れるメルセデスのスターマークを取ると短時間のブーストが得られ、ライバル車にぶつかると大幅に減速するという仕組み。実際にプレイしてみると、ファミコンゲームの『F1 レース』に近いものがあり、スピード感はなかなかのもの。ブレーキ操作は不要でひたすらライバル車を避ける単純な内容のため、誰にでも気軽に楽しむことができます。

そして、このゲームは単純にレトロゲームを楽しむためのものではありません。2018年10月12-14日にホッケンハイムリンクで行なわれる2018年シーズンのDTM最終戦で、本物のDTMマシンに乗れるチャンスがあるのです。

その方法は、登録したEメールアドレスから9月末に抽選を行ない、ランダムに選ばれた3人がDTM最終戦ホッケンハイムリンクの内に設けられたメルセデスAMG モータースポーツのイベント会場でゲームを実施。それぞれの順位に応じた賞が与えられるというもの。
3位にはメルセデス・ベンツのドライブイベントのチケット、2位にはDTM最終戦でメルセデスAMGのVIPエリアに入場できる2枚のチケットを手にすることができます。そして優勝者には、VIPエリアへの2名分のチケットに加え、ホッケンハイムリンクでメルセデスAMG C 63 DTM レーシングタクシーに乗車する権利が得られるのです。

応募資格は、18歳以上の人なら世界中の誰でもOK。もちろん10月12-14日にホッケンハイムリンクに行くための旅費は自己負担ですが、もし優勝すれば、素人では絶対に不可能なDTMマシンへの乗車が体験できます。メルセデスAMG モータースポーツによるDTM参戦は今シーズン(2018年)限りとなるだけに、まさに最初で最後のビッグチャンス。レトロゲームを楽しみながら、DTMマシンへの乗車にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

DTMの興奮をゲームで実現した『セガ ツーリングカーチャンピオンシップ』

DTMの歴史の中でもっとも過激なマシンが出走していたのは、改造範囲の広いFIAのクラス1規定が導入された1993年から1996年シーズン。メルセデスAMG、アルファロメオ、オペルの3メーカーが、ツーリングカーとは名ばかりのハイテクマシンを投入。1996年にはITC(国際ツーリングカー選手権)に発展したものの、あまりにも過激な競争によりマシンの開発コストが増大し、結果的にシリーズ終了となってしまったほど。その過激なDTMマシンをゲームで楽しめる作品が、1996年にセガが発売したアーケードゲームの『セガ ツーリングカーチャンピオンシップ』です。

このゲームには4WDのアルファロメオ 155 V6 TIとオペル・カリブラ V6、後輪駆動のAMGメルセデス Cクラスとトヨタ・スープラ GTの4種類のマシンを用意。乗りやすい4WD車とパワフルなFR車という位置付けがなされていました。

ちなみに3台のDTMマシンに加えて当時JGTC(全日本GT選手権)に出場したトヨタ・スープラが収録されているのは、当時のDTMには3メーカーしか参戦していなかったため。もちろん、日本人にとって馴染みのある車種を収録したいという狙いもあったのではないでしょうか。

難易度の高さにゲーマーが仰天!

このゲームの特徴は、実車のパラメーターをもとに走行性能を再現したことにあります。当時のレースゲームは、ステアリングを切ればその通りにグイグイ曲がるか、逆にアンダーステアに徹しているのが常識でした。そのため、『セガ ラリーチャンピオンシップ』でリニアなドリフトを実現したことが、革命的な出来事として捉えられていた時代でした。
しかし、『セガ ツーリングカーチャンピオンシップ』では、ドリフトに加えて前後の荷重バランスも再現したため、コーナー進入時にはブレーキングにより前輪に荷重をかけ、前輪のグリップを増してあげる必要があったのです。そんな実車の荷重移動などを知らない当時のゲーマーたちは、ただステアリングを切るだけではコースアウト連発となる独自の操縦性に衝撃を覚えたものです。

ちなみにこの実車並みのハンドリングは、PlayStation®専用タイトルの『グランツーリスモ』に先んじて搭載していたため、当時としては革新的な設計でした。さらに予選でスターティング・グリッドを決めてから本戦に臨むという方式も本格的で、予選で下位に沈むと本戦では挽回が困難というリアルすぎる内容でした。

クセのある操縦性に加えて、チェックポイント通過までの制限時間も短かったことから、3つのコースを完走するのは至難の技でした。従来のレースゲームの常識が通用せず、すべてがシビアに設計されたこのゲームは、非常に難易度の高い作品として知られるようになったのです。

アーケード版よりも難易度高めだったセガサターン版

1997年には家庭用ゲーム機のセガサターン向けソフトが発売され、家庭でもプレイできるようになりました。

ところが、セガサターンに移植された作品は画質が荒く、コーナーのクリッピングポイントに向けてステアリングを切っていくタイミングが掴みにくくなっていました。さらに繊細なステアリング操作が必要なゲームにもかかわらず、標準のコントロールパッドではオンかオフのボタン操作しかできなかったため、操縦性が極めて困難になっていたのです。
そのため、別売のステアリング型コントローラーの「レーシングコントローラー」か、アナログキーを備えた「マルチコントローラー」を購入することで操作性を改善する必要がありました。

セガサターン版ではアーケードモードに加えて操作感などをアレンジしたサターンモードも用意され、車両の操縦性をセッティングしたり、難易度を変えることも可能になりました。これにより多少は走りやすくなったものの、基本的な難しさはそのまま。難易度を「EASY」に変えても違いがほとんど体感できないほどでした。




今回久しぶりにプレイしてみたところ、独特の操縦性に慣れるまで時間がかかり、特にヘルシンキをイメージした市街地コースでは壁に当たりまくる始末でした。でも、そんなコース幅の狭さがリアルさを高めていて、スピード感の高さは『グランツーリスモ』の比ではありません。そして何回もプレイしていくうちにコツをつかみ、難しいコーナリングがバッチリ決まったときは、大きな達成感を得ることができました。やり込めばやり込むほど面白さが見えてくるという意味では、やはりマニア向きのゲームといえるでしょう。

Avex traxによる本格的なBGMを実現し、ネットイベントも開催

セガはゲームミュージックの可能性にいち早く着目したメーカーで、ドライブゲームの『アウトラン』で使われた楽曲などはサントラ版も発売。ドライブ時のBGMとして現在も楽しんでいるクルマ好きがいるほどです。
『アウトラン』の10年後に発売された『セガ ツーリングカーチャンピオンシップ』では、なんとAvex traxによるユーロビート系などのBGMを採用。ゲーム内の楽曲における本格的なレコードレーベルとのコラボレーションは、非常に斬新な試みでした。

さらにインターネットによるグローバルネットイベントも開催し、全世界で同時にタイムを競いあうことを実現していました。当時のパソコンはWindows 95が主流で、ようやくインターネットが普及しはじめた頃。そんな時代にゲームのネットイベントを開催するのは画期的で、このゲームにかける志の高さが感じられます。

この期間限定イベントは、驚くことに現在もプレイすることができます。その方法は、セガサターン本体の時刻設定をイベント開催日時に変更するというもの。この裏ワザにより、合計3回実施されたユニークなイベントをいつでもプレイできます。今から20年以上前に行なわれたレースイベントが現在も楽しめるなんて、ネット接続が当たり前となった現代のゲームでは到底考えられません。これもインターネット黎明期につくられたゲームならではの面白さといえそうです。

このように『セガ ツーリングカーチャンピオンシップ』にはゲーム性に多少難はあるものの、当時としては斬新な試みがいくつもあり、後のゲームに影響を与えた部分も少なくありません。DTMの興奮をゲームで追体験することで、30年間にわたるメルセデスAMGのDTM活動を振り返ってみるのも面白いかもしれませんね。

> コラム:北沢剛司の「クルマ趣味 サブカル系」 記事一覧

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