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中身はR32型、外身はケンメリ。旧車生活の概念を覆す”スーパーGT-R”の勇姿

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中身はR32型、外身はケンメリ。旧車生活の概念を覆す”スーパーGT-R”の勇姿

クラッシックカーを身近に、快適に楽しむべく 一石を投じた「ロッキーオート」の大胆不敵なクルマ作り

世界的にも人気、価値ともに高まりつつある日本を代表する名車、スカイラインGT-R。 2018年初頭に開催された日本初のヒストリックカーオークション(BHオークション)で、第2世代と呼ばれるGT-Rの最終モデルであるR34型(未登録、走行10km)が3,200万円という驚愕の価格で落札されたニュースは自動車業界を駆け巡った。

現代に蘇った"ハコスカ"ワゴンの正体とは

そのご先祖様である第1世代と呼ばれるケンメリ(4代目 C110型スカイライン)GT-Rは総生産台数197台(諸説あり)というその希少価値から、すでに同等以上の価格で取引。もはやスーパーカー級の相場にまで値がつり上がってしまっており、今じゃ標準仕様のGTやGT-Xも、かなり値がはるように。日に日に、乗りたくても乗れない環境になっているといえる。

一方で、こんな人も増えてきた。旧車のスタイルは大好き。あの頃のクルマの形には、現代と違って夢があった。だからいつかは乗ってみたいのだけれども、古いクルマは何かと大変そう。重いステアリング、扱いづらいマニュアルミッション、効かないクーラー(あればまし)、ガソリン臭さにかび臭さ、などなど。運転はもちろんのこと、万が一、どころか千くらいありそうな故障も心配だし、日頃のメンテナンスや後々のパーツ供給にも不安が山ほどあって……。 よほど覚悟のある好き者でなければ、そうおいそれとは、旧車の世界へ踏み出せない。好きな形、憧れのスタイリング、夢の名車に、乗りたくても乗れないという状況を何とか変えられないものか。

外観はよほどのマニアでないと、本物と見分けがつかない高い完成度

そのようなオーナー予備軍の夢を叶えてくれるのが、旧車の世界をより身近にする革新モデルを数多く提案してきた愛知県岡崎市の旧車専門店である『ロッキーオート』。なんと、8代目のR32型スカイラインにケンメリGT-Rの皮を被せる、なんとも大胆な手法でヒストリックカーを所有することの不安のかなりの部分を払拭した。「現代版ケンメリGT-R」と呼ばれるコンプリートカーは簡単に説明するとR32型スカイラインをホワイトボディにして大胆にもA/B/Cピラーをカット。そこに本物のケンメリから肩取りしたFRP製のパネルをドッキングすることで成立している。FRPも歪み防止やしっかりとした強度を出すため、なんと5層構造。ボンネットやドアなどはずっしりと重量感がある(それでいてオリジナルのR32型GT-Rよりも約200kg軽量)。 目を皿のようにして眺めてみれば、いくつか“おや?”と思う部位もあるにはあるけれど、全体の雰囲気はまさにケンメリGT-R。よほどのマニアでなければ、本物と識別することはできないだろう。

また、ボディをカットしたことで低下した車体剛性は、ケンメリのボディラインに合わせてロールケージが装着され、さらに各部に補強を加えることで対応。もちろん、ロールケージのパイプは室内から見えないようにピラー/ルーフ内などに収められているので、ハードなイメージはどこにもない。

ドアを開けるとようやくこのクルマの中身がR32スカイラインであると納得できる。 室内はオプションでさまざまなパーツが選べるが、基本はダッシュボード/センターコンソール/シート、そしてエアコン/パワステなどの快適装備も含めてR32型スカイラインのままである。それでいて、窓の向こうの景色は前後左右まったくもって、ケンメリ。思わず何度も見て確認してしまったほどだ。 そのギャップを楽しみつつ、現代版ケンメリGT-R(試乗車はUSEDのR32型GT-Rベース)のエンジンをスタートし、アクセルを踏み込んだ。

本物の1/3の投資で、速さは倍以上。 クルマ趣味を存分に楽しむ人に最適な逸品

乗った印象は、どこかの中古車屋でちょっととうが立ったR32型GT-Rに試乗しているのと何ら変わらない。ボディの立て付けにまるで不安はなく、ウィンド周りもビビることなくしっかりしていて、車体の剛性不足など感じない。トルクの塊に乗っかるようなRB26DETTエンジンの加速フィール、そのパワーを受け止める懐の深いシャシー性能はR32型GT-Rのそれで、だんだんとケンメリのカタチに乗っているということを忘れてしまいそうになる。

後方を確認しようと、あるはずのないドアミラーを探し、あわてて視線をフェンダーミラーに移した。 目視で薄いリアウィンドウを見て改めて、「あ、ケンメリに乗っていたんだった」と思い出す。何よりも街行く人や、対向車、追い越されるクルマからの視線がいちいち楽しい。ゆっくり走っているなら「ケンメリGT-Rだ」という、まるで本物に遭遇したような驚きだろうし、高速道路でぶち抜かれた相手なら、「どうしてケンメリがそんなによく走るの?」と驚くに違いない。 本物と間違えて驚かれるよりも、この形が本物ではありえない性能を発揮しているところを見せつける方が楽しいと思った。この現代版ケンメリGT-Rなら、東京へだってどこへだって、快適にかつ愉快に走っていけそうだ。

長年にわたり、旧車をいかに速く、いかに楽しく走らせるかを実戦し続けてきた「ロッキーオート」だからこそなし得た、コペルニクス転回による、恐るべきレプリカ。 197 台しかないとはいえKPGC110が3,000万円以上もする昨今、R32型GT-Rベースが1,166万4,000円~。FRの基準車ベースなら861万1,840万円(税込み)~となり、こちらはAT仕様も選べるので、よりイージーに楽しむことも可能だ(完全受注生産)。

それでも決して”安い”とはいえないが、本物の約1/3(NA仕様なら約1/4)の投資で、本物の倍は速いコイツを毎日楽しむというのはアリだと、心底感じる。憧れの旧車を楽しむ趣味の世界を拡げてくれる一台といえよう。

ロッキーオート https://rockyauto.co.jp/

(レポート:GT-Rマガジン編集部)

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