全輪駆動、4WD、AWDといろいろ呼び方は変わっても(ここではAWDと表記することにする)、いわゆる”ヨンク”が雪道や悪路で威力を発揮することは間違いない。とは言っても、ご存知のようにAWDにはさまざまな方式がある。まずは、カップリング式AWDについて、その特性について見てみよう。テストで用意したのは、マツダ・アテンザ、フォルクワーゲン・ゴルフR、そして日産GT-Rである。
カップリング式AWDとは、効率追求のための方式だ。直結式(スズキ・ジムニーなど)やセンターデフ式(スバルWRX STIなど)は、常時四輪に駆動力を掛けられる構造だが、クルマや走行条件によってはオーバースペックとなることがある。強大なパワーを余さず四輪に伝える必要がなく、タイヤが滑る環境を走ることもないドライバーにとっては、プロペラシャフト、従動輪(FF車なら後輪)のデファレンシャルからドライブシャフトまでの重量と回転運動などは無用の長物となってしまう。でも、雪道や悪路で必要な時は全輪駆動になってほしい、というニーズに応えるのが、オンデマンドAWDである。
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装置としてのカップリングは、多板式クラッチ、あるいは流体継手を用いるものが主流だ。クラッチの断続にはアクチュエーター、油圧、ボールカムなどによるスラスト力の発生が手段として挙げられ、それぞれサプライヤーや自動車メーカーが長短所を使い分けて使っている。
で、まずはマツダ・アテンザである。
試乗車は、ディーゼルのワゴンでMTのAWD仕様だ。
Gベクタリングコントロールも搭載している。
もちろん、マツダ・アテンザは、エンジン横置きのFFベースのAWDだ。マツダのAWDは、i-ACTIV AWDという名称を与えられている。
その動きを動画で見てみよう。
マツダ・アテンザ
車両重量:1610kg
前後重量配分:60:40(前軸970kg/後軸640kg)
前後トルク配分:100:0~50:50
試乗車タイヤ:ブリヂストンBLIZZAK VRX(前後225/45R19)
タイヤ指定空気圧:前後230kPa
カップリングユニットは、ジェイテクトのITCC(インテリジェント・トルク・コントロール・カップリング)を使う。湿式多板のクラッチをソレノイドのスラスト力とカムによって締結解放する仕組みだ。
走ってみると、どのような環境にあっても基本的にはFFの挙動を大きく外れることがない。一方で後輪からも強く押してほしいという駆動力は感じない。FFに乗り慣れた人にとってはまったく気負いなく雪道を走れるクルマだ。
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