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アウトバーンの200km/hでも安定! ホンダ・フリード・モデューロX開発者を直撃

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アウトバーンの200km/hでも安定! ホンダ・フリード・モデューロX開発者を直撃

 4輪の接地性を重視してセッティング

ホンダ車向け純正用品・アクセサリーの開発・販売を手掛けるホンダアクセスが、専用のカスタマイズパーツを開発し、車両の生産過程で装着・販売するコンプリートカーブランド「モデューロX」。その第4弾として登場した「フリード・モデューロX」には、どのような想いを込め、多岐にわたるチューニングが施されているのか。モデューロおよびモデューロXを統括する、ホンダアクセス開発部AD4ブロック主任研究員の福田正剛(ふくだせいこう)さんに聞いた。

【今さら聞けない】ワークスチューンって何?

──今回のフリード・モデューロX以前に発売された初代N-BOXとN-ONE、ステップワゴンのモデューロXに対し、ユーザーからはどのような声が聞かれましたか?

福田正剛さん(以下 福田さん):先日、実際にご購入いただいたユーザーの方からいろいろお話を伺ったのですが、乗って走ってみて驚き、熱烈なファンになったという方が多かったですね。そのなかにはN-BOXモデューロXを購入した女性のタクシードライバーの方がいて、複数台所有しているのにN-BOXモデューロXが可愛くてしょうがなくて、カーポートまで作って休日は500kmもドライブしているとのことでした。 クルマを運転する仕事をしている人は、休日は運転しないのが一般的なのですが、外観や走りを含めて自分に感覚がピッタリということで、そこまで可愛がってくれているようですね。 販売の方はおかげさまで順調ですが、もっと認知度を高めるため、本田技研工業と連動して積極的に訴求していきたいと思っています。

──フリード・モデューロXに施したチューニングのポイントは?

福田さん:まず空力に関しては、空気をボディ下面に流し込むよう、バンパーやグリルなどの形状を変更しています。これにより前後リフトバランスを整えるのは常套手段なんですが、新型フリードは先代よりも、とくにリヤのサスペンション剛性が進化しているので、フロントバンパー下部のエアロガイドフィンを、ステップワゴン・モデューロXでは旋回性能を高めるため左右2本にしているところ、フリード・モデューロXでは直進安定性を高めるため中央1本にしています。また、細かなR形状を煮詰め、タイヤの接地荷重の変動を抑えることで、上質な乗り味に結びつけているのもポイントですね。

──フロントバンパーは両サイドの形状も変更しているんですよね?

福田さん:はい、ドイツのアウトバーンでテストしたときにバランスが取れていると、200km/h以上で走行しても安定性があり、低速でも曲がりやすく、ドライバビリティが良くなるんですね。それで、角をツノのようにして、空気を剥離しやすくしています。

──ホイールも剛性バランスにこだわって作られたとのことですが……。

福田さん:ディスク面が受け持つ横方向の剛性と、リングが受け持つ縦の剛性のバランスを変えています。ノーマルはディスク面のほうが高いのですが、それを路面からの入力に対してしなるようにして、小さな入力から大きな入力まで変化がせず、上手くストローク感が出るよう設計しています。 そこで一番大事なのは、リングとスポーク付け根の剛性ですね。スポークの肉抜きを多くして横剛性を下げ、一方でリムに近い部分に肉を持って縦剛性を上げています。さらに、ボルトまわりの面積を上げて、ステアフィールの伝達を良くしながらトラクションを高めています。このホイールの開発にあたっては、製造公差の小ささを重視してサプライヤーを選んでいます。

──サスペンションの変更点は?

福田さん:接地性を大事にして開発していますので、4つのタイヤの接地性が上手く出るようにしています。「モデューロXはN-BOX、N-ONE、ステップワゴン、どれに乗っても同じように感じる」と言われるのですが、あえてそうしています。それは、旋回の姿勢と接地性にあります。0.05G以下の領域でも接地性が出るようスプリングレートやダンパーの伸縮減衰力をセッティングしているのです。

また、フワフワしたような緩い動きが出る領域に対してスムースにストロークするよう、ダンパーのオイルやバルブもこだわって変更しています。ノーマルのダンパーは、ロッドなどのフリクションを低くしながら粘性の高いオイルを使っているのですが、モデューロXは粘性の低いオイルにフリクションのあるロッドを組み合わせて、フリクションがあるからこそそれを乗り越えた後に出る、動き出す瞬間のストローク感を出しています。 こうすることで、ニュルブルクリンク周辺のカントリーロードに多いブラインドコーナーでもインフォメーションを取りやすく、かつアクセルコントロールできるようノーズを入りやすくしました。

ですがリヤがリバースするのではなく、接地性が高まっている4つのタイヤで安心してアクセルで曲げていく。そして、だらしなくフロントがアンダーステアになるのではなく、四輪でアンダーステアになるようにしています。単純にスタビリティを上げていこうとすると、いざというときに曲がれなかったりするので、ボディ剛性以上のことはしていません。ボディ剛性以上にスプリングレートを高めても、どこかでスタビリティが破綻しますので、前後のバランスを非常に大事にしています。ですからアップダウンしても、ステアフィールが変わらないんですよね。またそうなるよう、旋回の姿勢をスプリングで決めて、細かくセッティングしています。

──スタビライザーやブッシュはノーマルと同じですか?

福田さん:はい。スプリングとダンパーだけでも充分に狙った走り味を出せますので。

──車高もノーマルと同じですか?

福田さん:はい。ステップワゴンは15mm下げましたが、フリードは車高を下げていません。

──今回、ハイブリッド車とガソリン車の両方にモデューロXを設定していますが、セッティングの違いは?

福田さん:ハイブリッド車は車重が重いので、直進安定性を重視したセッティングにしています。遠乗りが多く、矢のように真っ直ぐ走るのを求める方にはこちらがオススメですね。ガソリン車はノーズが軽いですから、軽快感を強調したハンドリングにしました。たとえば鹿が急に飛び出してきたとしても、緊急回避しやすいのはこちらですね。

──インテリアも「ドライバーが見て触れて感じる上質さを追求」したとのことですが…。

福田さん:ブラックを基調にし、シートの背もたれなどにModuloXロゴを入れることで、上質感を高めています。また本革巻きステアリングホイールも専用品で、グリップをより扱いやすい形状に変更しました。手に取る部分を大事にしなければならないですよね。まずはステアリングを握った瞬間に違和感がないよう、形状を煮詰めています。 ノーマルのフリードは「ちょうどいい」を開発コンセプトにしていますが、フリード・モデューロXは「ジャスト」「これしかない」というイメージで、もっと感性に訴えるものとして作っています。

──これまでモデューロXは、背が高くスポーティではない量販車種を中心に展開していますが、今後の展開は?

福田さん:今後はもっと背が低くコンパクトな車種、スポーティな車種でも展開したいですね。また、パワートレインやシートの中身、ボディ剛性などもチューニングできればと思っています。 とはいえ、ユーザーがどんなものを欲しがるかというのが大切で、価格を上げるために装備を増やすのでは、すぐに見抜かれてしまいます。長期間使って味わい深いものがあると、ユーザーに支持されるのではないでしょうか。

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