“万が一”の場合に備えて押したほうがいい場合も
路線バスに乗車し、降りるバス停がきたら降車の意図を示すのが“降車ボタン”。筆者のまわりで聞いてみても、とくにバスに強い愛着を持っていないひとでも、“他人に押される前に自分で押したい”と思っている人は多い。
バス関係のイベントでもよく、いろいろな種類の降車ボタンをたくさん板などに取り付け、“降車ボタン押し放題”といったコーナーが設けられているが、小さい子どもはもちろん、大人たちにもかなり好評のようで、たいていは順番待ちの長い列ができている。
その降車ボタンでたびたび議論を呼ぶのが、“終点で降りる際には押すべきか否か”というもの。筆者は幼いころに母親とワンマンの路線バスに乗っていて、終点バス停に近づくと「ボタン押すと運転士さんに怒られるからね」と言われていたので、長い間“押してはいけない派”であった。しかし近年はタレントなどの有名人が路線バスに乗って旅をする番組が人気でいくつも放映されているが、そのなかで終点バス停にて降車ボタンを押すシーンを目にすることが多くなった。
はたして結論はどっちかといえば、終点でも降車ボタンは押して構わないということであった。終点というと鉄道の駅などを連想しがちだが、逆に駅前を発車したバスが向かう先、つまり終点は普通の道路端や、“旋回所”などと呼ばれる、時間調整のためのバスの停車場所だったりする。そういうところが終点の場合は、降車ボタンを押して乗客がいることを運転士に伝える意味からも必要とのことであった。
ごく稀に、乗客を乗せたまま車庫に帰ったりしたという報道もある。本来終点では運転士が目視で車内確認を行うわけだが、“もしも”に備えるためにも降車ボタンは終点でも押して構わないということであった。
降車ボタンの取り付け位置にこだわりを持つ事業者も多いようで、メーカーが設置した降車ボタンの近くに、事業者こだわりの位置へ別の降車ボタンが設置されることもあるので、近い範囲に複数の降車ボタンがあったりするバスも多い。
ちなみに中国では、降車や乗車客の有無に関わらず、すべてのバス停に停車するので降車ボタンは存在しない。アメリカでは降車ボタンが取り付けられた車両もあるが、古めの車両だと左右両サイドの窓付近にワイヤーが前後で張られており、それを引っ張ると降車リクエストのベルが鳴るようになっている。
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