今どきのスペース系軽自動車は座席の広さと荷室の広さを両立!
室内空間の下克上! 広さに命をかけて開発されているのが軽自動車。それも限られた全長・全幅のしばりのなかでパッケージ、全高・室内高で勝負するスペース系軽自動車だ。しかも、2017年にもっとも売れた国産車はホンダN-BOX。そして2位のプリウスに続き、3位がタント。1位と3位、どちらもスペース系軽自動車なのである。そこで、ここでは軽自動車の「上級セダンが真っ青になる下克上! 的室内空間の広々度」をランキングにしてみた。
ホンダN-BOXより低価格で登場! 新型スズキ・スペーシアは走るスーツケース
1位は販売台数でもダントツのN-BOX。2017-2018年日本カー・オブ・ザ・イヤーで「スモールモビリティ」特別賞を受賞したデザイン、走り、パッケージ、燃費、先進安全運転支援機能などで評価される1台だ。
後席は身長172cmの筆者のドライビングポジションの背後に座ったとき(以下同)のひざまわり空間(身長172cmの筆者のひざ頭から前席背後までの距離)、頭上空間はそれぞれ最大450mm、265mm!!
続いてタントの同365mm、330mmなのだが、意外なのはムーブキャンバス。タントとムーブの中間的パッケージにして、同350mm、130mmと、さすがに頭上方向は限られるものの、後席ひざまわり空間に関してはタントとそう変わらないのだからびっくり。
最新のスペース系軽自動車のスペーシアはN-BOXを超えてくるのかな? と思いきや、同340mm、280mm。eKスペースは同330mm、290mmである。
後席ひざまわりスペースは後席を最後端位置にセットしたときの数値だが、N-BOXの450mmに対してeKスペースの330mmが”狭く”感じるのは大きな間違い。330mmでさえ、とびっきりに広い。たとえば後席に座って決して狭いとは感じないクラウン、CX-5、BMW3シリーズでも同190mm。しかもスペース系軽自動車の後席は2人掛けながら足もとフロアは完全フラットで広々。足の置き場の自由度が高いと、長時間の着座でも疲れにくいものなのだ。
だが、室内空間の快適度は広さだけでは語れないのも事実。後席についてはシートクッション長もポイント。短いと太股裏の密着度が足りず、落ち着かない着座感となり、また疲れやすいのだ。その視点で上記5台を見ると、後席クッション長にもっとも余裕があるのはムーブキャンバスの驚愕の540mm!! 続いてタントとeKスペースの500mm。N-BOXとスペーシアは480mmである。
ここでまたまたN-BOXとスペーシアの480mmが短く見えてしまいそうだが、それも勘違い。大型ミニバンのオデッセイの2列目席でも480mm。メルセデスベンツEクラスでさえ500mmなのである。もちろん、軽自動車の全長は3395mmに限られているから、後席ひざまわり空間に余裕を持たせると、荷室の奥行きが狭まる理屈。
確かに以前は後席が広いと荷室奥行きはギリギリ……だったが、今ではエンジンルームの小型化やパッケージの進化で後席の広さと荷室の奥行きを両立しているクルマも少なくない。
その最大のキーポイントが後席スライド機構。N-BOXを例に挙げると、身長172cmの筆者のドライビングポジション背後の後席ひざまわり空間は、実際には240~450mm。シートスライドを最後端位置にセットすると最大値の450mmになるものの、荷室奥行きは最小限の330mmになる。
ところが後席を前方にスライドさせ、ひざ回り空間が十二分に広い240mmにセットしたときの荷室奥行きは540mmまで拡大(ステップワゴンやヴォクシー&ノアなどのボックス型ミニバンで400~500mm)。そもそも荷室高(室内高)がたっぷりあるため、これなら相当大きな荷物も積み込めるはずだ。
ちなみにN-BOXは助手席ひざまわり空間、および後席足もとフロア面積も最大級。ひざまわり空間は助手席ロングスライド機構が功を奏し340mm(身長172cmの筆者のひざ頭からインパネまでの距離)! スペーシアでも205mmなのである。
そしてN-BOXの後席足もとフロアは奥行き640mm、幅1240mmもある。ホンダ純正のHonda Dogシリーズのアクセサリー「ペットフロアクッション」を2枚敷くことができ、後席足もとフロアに愛犬を快適にくつろがせることさえできるのである! さすがにこれはどんなに大きなセダンでも不可能。スペース系軽自動車、恐るべし、である。
最後に軽自動車の後席ひざまわり空間中心の室内空間の広さランキングを整理すると、 1位 N-BOX 2位 タント 3位 ムーブキャンバス 4位 スペーシア 5位 eKスペース となる。順位はつけたものの、どれを選んでも後席居住空間はびっくりするぐらい広いことに変わりはない。
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