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3列シート+スライドドアでもダメ! 人気ジャンルなのに売れないミニバン5選とその理由

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3列シート+スライドドアでもダメ! 人気ジャンルなのに売れないミニバン5選とその理由

 5ナンバーサイズで全高1700mmオーバーが好調だ

 今日のクルマの売れ方を見ると、優れた商品でも人気のジャンルに属さないと売れ行きを伸ばすのは難しい。そのためにクーペやセダンには、販売ランキングの上位に入る車種が見当たらない。逆に人気のジャンルには好調に売れる車種が多いが、すべての販売台数が多いわけではない。ここでは人気のジャンルとされる3列シートミニバンのなかから、今ひとつ売れない5車種を取り上げよう。

【月販数十台のクルマも】売れない車種を販売し続ける理由とは?

 まずは全体的な傾向だが、ミニバンは1990年代の中盤から普及を開始した。当初はいろいろな車種があったが、今では普及開始から20年以上を経て、ミニバンも珍しいジャンルではなくなった。その結果、ミニバンを選ぶのは「多人数で乗車する」「3列目のシートを畳んで大きな荷物を積む」など、明確な目的のあるユーザーのみになっている。

 従って好調に売れるミニバンも、トヨタ・ヴォクシー、日産セレナ、トヨタ・ヴェルファイア、ホンダ・フリードなど、全高が1700mmを超える背の高い車種だ。3列目のシートも居住性が優れ、多人数で快適に乗車できる。3列目を畳めば自転車なども積みやすい。

 逆に全高を1700mm以下に抑えた背の低いミニバンは売れ行きが伸び悩む。ミニバンが普及するときには、3列目シートの乗車時間が短いユーザーなどに受け入れられたが、今は3列シートのSUVが登場したこともあって、背の低いワゴン風のミニバンは全般的に売れ行きが下がった。

 また背の高い車種でも3ナンバー車は苦戦する。ミニバンのユーザーは子育て世代が中心で出費も多く、割安な価格が求められるからだ。ミニバンはファミリーカーで買い物などにも使われるから、運転のしやすさも大切になる。

 その結果、エンジンの排気量が2リッターを超える3ナンバーミニバンで好調に売れるのは、トヨタ・ヴェルファイア&アルファードに限られる。この2車種は存在感の強い外観と、豪華な内装を求めるユーザーの間で人気を高めた。実用的なミニバンというよりも、Lサイズセダン的な価値観で売れている。

 それでは人気のジャンルなのに売れないミニバン5選を見ていきたい。

 人気車種だったが残念ながら販売終了となるモデルも

 1)トヨタ・ウィッシュ

 2017年10月に販売を終えた過去のクルマだが、話の成り行き上取り上げたい。初代モデルは「セダンからミニバンへ」という需要の多かった2003年に発売されて人気を高めた。2001年に発売された2代目イプサムが3ナンバー車になって売れ行きを下げたから、実質的にその後継になっている。背の高い初代ノア&ヴォクシーとは、ミニバンの双璧だった。

 ところが2009年に2代目へと刷新されたころから、次第に背の低いミニバンの売れ行きが下がっていく。ウィッシュは3列のシートを備えながら、価格は同じ1.8リッターエンジンを積むオーリスよりも安かった。しかし、販売の下降を食い止められなかった。

 やがてエコカー減税も対象外になり、緊急自動ブレーキも装着されず廃止に追い込まれた。背の低いミニバンの衰退とともに、そのフラッグシップだったウィッシュも、過去のクルマになってしまった。

 2)ホンダ・ジェイド

 直列4気筒1.5リッターのターボとハイブリッドを搭載するミドルサイズミニバンだが、全高は立体駐車場を使いやすい1530mmに収まる。外観も5ドアハッチバック風で、3列目のシートは完全な補助席だ。サイズが小さく、床と座面の間隔が乏しいから座ると膝が大きく持ち上がり、足もと空間はきわめて狭い。頭上はリヤゲートでガラスになる。

 さらに快適であるはずの2列目も、座面の奥行寸法が1列目に比べて55mm短く大腿部のサポート性が悪い。座り心地も硬めだ。結局まともに座れるのは1列目のみになる。走行性能は優れているが、ユーザーのニーズに合わず販売は低迷した。1カ月の登録台数は160台前後だから、ステップワゴンの約4%だ。

 3)マツダ・プレマシー

 今のミニバンでは、全高が1800mmを上まわる背の高い車種が売れ筋だ。ところがプレマシーは、全高を1615mmに抑えながらも、発売当初の2010年ごろは堅調に売れていた。背が低めで全幅のワイドな3ナンバー車だから一層不利だが、スライドドアを装着してシートアレンジも多彩だ。2013年ごろになっても、1カ月に1500台前後を販売していた。

 ところがマツダは2012年に先代CX-5を発売すると「魂動デザイン」と「スカイアクティブ技術」の車種だけに力を入れて、それ以外は冷遇していった。プレマシーは2013年12月に特別仕様車の「20Sスカイアクティブ・セレーブル」を設定したあと、何のケアも受けていない。

 ミニバンは競争の激しいジャンルだから、機能が優れた買い得車でも、定期的に改善を施したり特別仕様車を設定しないと売れ行きを落とす。プレマシーは従来型も堅調に売れたから乗り換えを希望するユーザーも多いが、マツダの方針に合わず、2018年3月に生産を終える。次期型の計画はない。まさに残念なミニバンの代表だ。

 販売店からは「マツダはトヨタと業務提携したのだから、ヴォクシーの姉妹車でも良いからミニバンが欲しい」今のマツダのミニバン需要を将来に繋げたい。価格が2倍のCX-8に乗り替えてもらうのは無理がある」という悲痛な声が聞かれるが、マツダにその気はまったくないようだ。

 ミニバンブームの火付け役も今や影を潜める……

 4)日産エルグランド

 初代エルグランドは成功したが、2代目はプラットフォームを初代と共通化して後輪駆動を踏襲し、前輪駆動化されたライバル車のアルファードに販売面で負けてしまった。そこで3代目の現行型は前輪駆動に切り替えて、再び成功をおさめるハズだった。

 ところが失敗に終わっている。前輪駆動にしながら床が高く、全高は1815mmと中途半端に低いから(ヴェルファイア&アルファードを65mmほど下まわる)、外観は存在感が乏しく室内高も不足気味だ。

 しかも3列目のシートはLサイズミニバンとしては床と座面の間隔が不足して、座ると膝が持ち上がる。シート自体も小さく座り心地が悪い。前方に畳む方式を採用したから、畳んだときの荷室は床が高くなり、自転車のような背の高い荷物を積みにくい。ミニバンの特徴とされる3列目の居住性と荷室の使い勝手に不満が生じた。

 また2列目がセパレートシートの場合、オットマンが装着されて寝そべるような姿勢も取れる。ロングスライドも可能だが、シートベルトは背もたれではなくピラーから引き出すタイプだ。従ってスライド位置や着座姿勢によっては、シートベルトを正しく着用できない。それでも多いときには1カ月に1000台前後を登録している。アルファードの25%くらいだが、商品力の低さを考えれば好調ともいえるだろう。

※かなり厳しい論調になっていますが、開発者に取材して裏も取ってあります。シートベルトの件は、確かに危ないとのこと。他メーカーの開発者からは「論外」との声も聞かれます。

 5)ホンダ・オデッセイ

 現行オデッセイはフラットフロア構造のボディながらも低床化を徹底させ、乗降性が優れている。全高は1700mm以下だから低重心化も達成され、なおかつ低床設計のために背が低くても室内高はさほど不足していない。

 じつに合理的な設計で、低床であるために3列目シートも床と座面の間隔に余裕を持たせた。従って車内の広さはヴェルファイア&アルファードに負けるが、座り心地を中心とした居住性では勝っている。多人数乗車が最も快適な国産ミニバンとなった。乗り心地は少し硬いが、低重心と相まって走行安定性は良好だ。

 1カ月の登録台数は1500台前後。アルファードの半数弱だが、もっと売れて良いクルマだ。ホンダのメーカー別国内販売ランキングはトヨタに次ぐ2位で、約半数を軽自動車が占める。フィットやフリードを含めてコンパクトな5ナンバー車も充実させたから、オデッセイに対する販売力が低下した。商品力が高くても、メーカーと販売会社の売る気がないと、販売は低迷してしまう。その代表がオデッセイだ。

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