社会人になるとなにかと移動に使う機会も多いのがタクシー。しかし日本全国を走っているタクシーモデルのクルマたちは長年モデルチェンジもなく、乗り心地や環境性能、そして安全性の面でも市販車と比較するとイマイチでした。しかし先の東京モーターショーで試乗会も行われたJPNタクシーはそんな前時代的なタクシーの印象を覆すものでした。国沢光宏氏が実際に同乗して体感したJPNタクシーのよさとはいったいどういう部分だったのでしょうか? そして若手社員を救うことになるっていったいどういうこと!?
文:国沢光宏/写真:西尾タクト
2017年12月10日号「クルマの達人になる」
日本でも見たい!! 売ってくれ?? SEMAショーに見るぶっとび日系メーカーカスタム
■JPNタクシーは乗り心地よりも大事なものを評価すべし
JPNタクシーに試乗してみた。といってもハンドル握ったのではなく、リアシートです。すでに出回っているJPNタクシーの紹介記事や試乗レポートを見ると、居住性や乗り心地、便利装備などについてあれこれ書いてあるけれど、私の印象はまったく違う。「これでハズレを引かないで済む」である。例えば私が1番よく乗るタクシー乗り場はJR中央線の西荻窪駅。夜23時を過ぎると、タクシーに乗るしかないからだ。皆さん同じ状況なんだろう。案外待ちます。
こういった駅前にやってくるタクシーの大半は、個人タクシーでなく「ハズレ!」の会社タクシー。ここにきてプリウスも増えてきたけれど、西荻窪にくるのは95%以上クラウンコンフォートである。ナニを隠そう、私はこのクルマに乗ると人生ムナしくなってしまう。だって20年間にわたる安全の歴史を無視しちゃってるから。例えばサイドエアバッグ。2003年くらいからイッキに普及していった。2代目プリウスは全グレード標準装備されたほど。今やサイド&カーテンエアバッグなしのクルマに乗ると怖い。横からの衝突に対し、ほぼ無防備。なんたって32km/h以上で横滑りしながら乗員の位置に電柱が衝突すると、基本的に死ぬ。
しかもクラウンコンフォートって横滑り防止装置が付いていない年式もある。ドライバーが横滑りしても上手にコントロールしてくれればよいが、自分より高齢に見える運転手さんだと期待できないです。雨の日に首都高なんか走ったら怖いのなんの! そればかりか、1994年あたりから普及している助手席エアバッグすら付いていない。3人以上でタクシーに乗る際、もっとも目下の人が狭い助手席に座ることになる。将来のある若手は後ろに座るジジイより長生きしなければならないのに、である。衝突したら助手席の前の『機械類』(表示板など)へ顔面から突っ込む。アレに当たったら顔面骨折だし、速度次第じゃ命の危険性すらあります。
乗り心地は少し固めだが落ち着きがある。そして安全性に関しても従来のタクシー専用車よりも何倍も上がっている
■タクシー業者がJPNタクシーを絶対納入するワケとは?
都心部で流しているタクシーに乗る時は、当然ながら新型車を使っている個人タクシー選ぶ。されど西荻窪じゃ、来たタクシーに乗らないとアカン空気。やがてJPNになっていけば「ハズレ」を掴まず安心して乗ることができるというモノ。ちなみにJPNタクシーは、全グレード助手席エアバッグと前後サイド&カーテンエアバッグが標準装備されている。
どのシートに座っても安心して乗れるという寸法。そもそもボディの基本骨格からして圧倒的に強いと考えていい。 さらに横滑り防止装置を標準装備するから、スピンしてのクラッシュを考えなくてOK。
ここまで読んで「タクシー会社が入れ替えてくれなければ意味ない」と 思うかもしれない。心配ご無用。自動ブレーキを装備しているのが決定打になる。タクシー会社にとって1番収益に影響するのが、追突事故による修理代+休車。少し派手にやると100万円以上のダメージになるという。自動ブレーキで90%の事故を防止できれば迷わず入れ替えるというわけだ。
編集担当もつい先日流しのJPNタクシーに乗車。スライドドア開閉の遅さなどは気になったが、乗っただけでもこれまでのタクシーとの差はわかる
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