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【試乗】乗ればわかる楽しさ・気持ち良さ! 新型ホンダ・シビックの大いなる野望

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【試乗】乗ればわかる楽しさ・気持ち良さ! 新型ホンダ・シビックの大いなる野望

 欧州ライバルのなかでクラストップを狙った走り

1972年に誕生したシビックはこの新型で10代目となり、名実ともにホンダを支える基幹機種へと成長を遂げている。今や170以上の国と地域を走るシビックは2016年に打ち立てたホンダの総販売台数一億台のうちの4分1を占めているのだとか。

「従来の延長線じゃダメ」新型ホンダ・シビックに高すぎるハードルを設定した開発責任者の想いとは?

ただ、ご存じの方もいらっしゃると思うが、日本市場では9代目の販売はお休みしていた。ホンダの小型車の役割はシビックに代わりフィットが担うことになり、ミニバンが売れ、軽自動車が売れる日本ではシビックの存在が薄れつつあったのは否めない。

それでもグローバルな視点に立てばシビックは変わらずに進化を続け、世界の道路を走り続けてきた。そして10代目という”節目”とも言えるこのモデルでビッグステップを踏んだことは間違いないなさそうだ。”欧州Cセグメントのなかでトップクラスの操る歓びの実現”という高い目標とともに……。

ビッグ……と書いて触れておきたいのはボディサイズについて。個人ネタではあるけれど、私がフェイスブックでこの新型シビックを紹介したところ「大きくなりましたね」というサイズに対するコメントを多くいただいた。その気持ちも非常にわかるけれど、前述したように、もはやかつてのシビックのサイズはフィットが担っているわけで、シビックのボディサイズを含むクラスアップはすでに8代目から始まっている。

そんなわけで新型シビックのこと、ニュートラルな感覚で向き合ってみませんか? と5代目EG型、6代目EK型あたりのシビック世代である筆者は申し上げたい。

前段でも紹介したように、8代目からサイズアップが図られCセグメント化が進んだシビックが今回目指したのは、”欧州のCセグメントトップクラスの操る歓び”の実現だ。

そこで新型シビックはプラットフォームを一新し、まずはシャシー性能を存分に引き出すボディ骨格を用意。そしてサスペンションはフロントにマクファーソン・ストラット、リヤはマルチリンク式を採用し、ステアリングは電動パワーステアリングなのはもちろんだが、こだわりのデュアルピニオン可変レシオタイプを選択。

ちなみに今回のモデルラインアップはセダン/ハッチバック、そしてタイプRの3モデル。そのなかから開発のベースモデルには、もっともスポーティなタイプRを選んでいると聞けば、セダンやハッチバックモデルの基本性能の高さも期待できるというものではないか。

セダンとハッチバックに搭載されるエンジンはホンダ最新のダウンサイジングターボエンジンである1.5リッターVTECターボエンジン(182馬力/240N・m)。そしてセダンのトランスミッションはラバーバンド感の減らされた(変速感と実際の速度のリアリティを追求するため)CVTを、ハッチバックにはCVTと6速MTの2種類が用意されている。

 日常使用でも運転が楽しいと思えるハッチバック

すでにタイプRもラインアップされている新型シビックにとって、ハッチバックモデルはどのような存在なのかと言えば、セダンよりもスポーティだけどすごく特別なスポーツ性能が与えられているというわけではない。が、サイズ感がいい。

さらに高速道路のランプウエイの左カーブでボンネットのアクセントラインの盛り上がりをキーにして曲がっていった瞬間、「気持ちいい!」と思えるようなモデルだ。思い通りにコーナーリングをし、でもドライバーのスポーツモードスイッチが“オン”になるというより、鼻歌(音楽)のスイッチが入りそうな軽快さと気持ち良さが魅力。「フツーに使って(走って)いながら、なんだか運転がとっても楽しいんだよね」というタイプ。

それは欧州車のなかでも近年のフランス車の楽しさに近い。近年のフランス車はボディに高剛性感がありながら決して動きは硬くない。ボディはしっかりしている、一方でサスペンションがよく動くから人間の感覚に寄り添うようなしなやかな動きが生まれる。たとえばスキーヤーの腰から下の動き(=人間の足がサスペンションとなる)のように、走る、という感じかしら。特別じゃなくて当たり前の性能は、新世代のプラットフォームがボディの骨格構造そのものの考え方や製造方法が新しく、その結果、たとえばボディ全体の骨格先代モデルに対しボディのねじり剛性を25%向上させながら22kgの軽量をし、さらに車体前後の軽量化も進め、低重心なボディの低慣性も追求しているという。

しいて言えば、グッドイヤー製EAGLE F1の18インチタイヤが装着されており、どこか欧州車のスポーティもしくはスポーツカー的ないわゆる“シューズ”を履いていたのだけれど、それはタイヤメーカー数社にシビック用のタイヤ開発をお願いした結果だそうだ。乗り心地もいい。 

そしてハッチバックでは6速MTが選べる。この6速MTの操作フィールは優しい。ついでにステアリングもクラッチも……。クラッチを緩めながらアクセルを踏み込めばスムースに1速→2速→3速……と繋がり、1.5リッターターボエンジンは太いトルクを軽々と速度に載せてくる。この軽々感が新型シビックのサイズにピッタリ。もちろん高速走行での速さや再加速の力強さも十分にある。シフトストロークもスポーツカーのような短さではなく、しかしもどかしいような長さではない。ちょうどいい。でもエキゾースト音はセダンとは違い、野太い音がドライビングをよりドラマチックにしてくれる小気味良さは特筆しておきたい。それから……フィットもそうだが6速MTでも前車追従式のクルーズコントロールが採用されている点、国産車ではまだ珍しい。シフトチェンジが必要な状況では、シフトチェンジ動作は必要だが、断続的に続くノロノロ渋滞でセットできるというのは、MT乗りにとって朗報と言えるのではないか。

 セダンはより落ち着いた動きが特徴

一方セダンは、ボディの剛性感やしなやかさなセッティングはハッチバックと同様ながら、リヤタイヤ以後がやや長い分、落ち着きのある乗り味が印象的だ。ハンドル切る際の手応えの重さとコーナリングのしっかり感が合っていて、何も考えずに運転をしていながら気持ち良くクルマを走らせられる、それこそ基本性能を追求した新型シビックの魅力と言える。「ほらっ、ハンドルを切ったらクイッて曲がったでしょ?」的なアピールをクルマがしてこない、当たり前の良さこそ誰が運転をしても「運転がしやすい」と思える良さなのだ。

さらにそんなドライブフィールを支える、ラバーバンド感を減らすチューニングがされたCVTの効果も少なくはない。ワインディングで加減速を繰り返しても、確かにリニアなドライブフィールが得られる。

ここまで仕上がりの良いモデルゆえに、あえて気になった点を挙げておくと、音の入り方が少々気にならなくもない。運転席から聞こえるエンジン音や、後ろのほうから聞こえてくるロードノイズは、ハッチバックならカジュアル&スポーティ気分でカバーできるけれど、セダンにはこのあたりの質感を求めたくなった。

これはシビックが特別劣っているというわけではなく、新型シビックのドライブフィールやライドフィールの質が上がっているからこそ、あえて申し上げたくなるという、もっと、もっと……の欲目。ついでに乗り心地のわずかな硬さも、よりコンフォートさの強いタイヤを履いたら滑らかになるのな……とか。

ところで試乗中、メーターパネルのデザインにも惹かれた。ブルーの照明(ハッチバックは赤)のインジケーターはセンターが液晶デジタル。そして左右にアナログメーターというデザインで、その表示がまた独特なのだ。細かくメモリをふらず、現在の状況を示すところだけを光らせている方法、パッと見てわかりやすいしシンプルなデザインが印象的だった。

カーブを曲がるシッカリ感と絶妙に加わるしなやかさ……。目をつぶったら欧州のカントリーロードを走っているみたいな気分になれる(実際に試さないでくださいね)、そんなセダンだ。

ところでシビックと言えば、過去のモデルのファンはやはりハッチバックの印象が強いかもしれない。今回のデザインはセダン、ハッチバックともにやはりリヤへと続くルーフラインに特徴があり、個性も十分。

好みはあると思うけれど、たった半日つきあっているだけで、とくにセダンはクーペのようなスタイルの個性にも絶妙な品とインテリジェンスが感じられるようになり、所有する楽しさをこの新しさとともに丸ごと楽しめそうな気がしてきた。

ちなみにセダン、ハッチバックともに用意されたボディカラーの“赤”はそれぞれまったく異なる赤色をしていて、それぞれのモデルに合っている。

パッケージングは、居住スペースについてはセダン、ハッチバックとも同等。ラゲッジはセダンのほうが519リットルとハッチバックよりも約100リットル広く、さらにセダンも後席を倒すことができるので、意外と便利で使える。欧州クーペオーナーだった筆者の感想だ。後席の広さはたっぷり感とタイトさの絶妙ぶりによって、サポート性も十分。

シートはレザーも選べるが、ファブリックもシビックの品とカジュアルがほどよくバランスされた雰囲気にあった生地が選ばれていると思う。ハッチバックのくだりでも触れた先進安全運転支援システムについては、最新の『ホンダセンシング』を搭載。ミリ波レーダーと単眼カメラによる前方の状況認識とブレーキやステリアンリングの制御も行う。

従来の延長では期待には応えられない。従来の枠を超えたクルマづくりを行ったという新型シビック。このビックステップは、今後、国内外問わぬホンダのスタンダードモデルのベースとなるような一台と言えそうだ。

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