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輸入車ディーラーのトップセールスマンが語る「本音と裏事情」とは?

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輸入車ディーラーのトップセールスマンが語る「本音と裏事情」とは?

欲しかった輸入車の契約書にサインする瞬間。あこがれだった輸入車を手に入れる瞬間…それはきっと誰もが心躍る瞬間。そのとき、テーブルの向かいには、担当のセールスマンが契約書にサインする瞬間を見つめています。

彼ら(彼女)たちにとっては日常の見慣れた光景。その眼差しの奥で、どのようなことを思い、考えているのでしょうか。実際にある輸入車ディーラーに勤めるセールスマンの生の声を取材してみました。この記事がきっかけとなり、セールスマンとの付き合いが変わるきっかけになればと思います。

スバル車が納車寸前だったユーザーたちはどうなるの?というリアルな問題

今回の取材対象者は、とある輸入車ディーラーの男性セールスマン(20代)で、ディーラーのなかでもコンスタントにトップクラスの販売台数を誇る方です。

※当記事の画像はイメージです。

輸入車の裾野が広がったことでユーザー層は変わりましたか?

はい、変わったと思います。2015年度輸入車の新規登録台数は282,079台。2016年度上半期の軽自動車を除く国内新車販売の割合は8.9%です。しばらくは5~6%で推移していましたから、ここ数年で着実に販売台数を伸ばしています。

※日本自動車輸入組合(JAIA)の統計データよると、輸入車の新規登録台数は1996年をピークに下降線をたどり、現在は再びそのピーク時に近いシェアで推移している

考えられる理由として、各メーカーが低価格帯のモデルを相次いで投入していることや、週末のアウトレットモールなどで出張展示を行い、輸入車そのものへのハードルが下がってきていることなどが挙げられます。また最近は、新車の正規輸入車は低金利で購入できるケースが多く、さたにメーカー保証が付帯されており、壊れたときでも無料で対応してくれるケースもあります。少しずつ「輸入車=維持費が掛かりすぎる」というイメージが払拭されつつあるのかもしれません。

また、高い安全性や自動運転に近い装備に興味を持たれて購入される方もいらっしゃいます。たとえエントリーモデルでも、日本車ではなかなか味わえない走りの質感の高さに驚き、輸入車を選ばれる方もいらっしゃいますね。

値引き交渉は日常的に行われていますか?

はい。日常的に行われています。これはブランドや他のディーラーさんによって異なると思いますが、(ハイブランドは別にして)基本的に値引きをするのはタブーではないと考えています。弊社では商談時にある程度のお値引き額をご提示してお見積もりを出すようにしています。正直申しまして、弊社のお客様であからさまな値引き交渉を行わなかったケースは全体の1割くらいでしょうか。なかには、他店や他ブランドのディーラーさんと比較する方や「値引き交渉ができないなら買わない」というような、シビアな方もいらっしゃいます。

ときどき「これ以上、値引きができないなら、用品をサービスしてよ」と仰るお客様がいらっしゃいます。これはあまり知られていないことなのかもしれませんが、ディーラー側にとってディーラーオプションなどを無償で上乗せすることは値引きと同じなのです。雑誌などで「値引きがだめなら用品で」というような指南がありますが、正直申しましてあれはお勧めしません。

また、現金一括で購入するからもっと値引きを、というお客様もいらっしゃいます。このケースもディーラーにはメリットがあるように感じられますが、ローンの取り扱い高もインポーターからノルマが課せられています。新車だと低金利をうたうケースが増えているので、ローンの方がインポーターに対して実績が増えるという点においてディーラー側は助かります…というのが正直なところです。

最近の傾向として、残価設定ローンは代替がスムーズにいく場合が多いです。その理由として、同メーカーおよび同ディーラーでのお乗り替えは、高額で下取りしてもらえる可能性がありますし、お客様にも「セールスマンとの付き合いもあるし、他に乗り換えは気が引けるなあ」という感情が芽生えることが多いためです。しかし個人的には、短期間(3年くらい)おきにさまざまなメーカーの輸入車に乗ってみたいという方には、残価設定ローンはお勧めしません。

「これだけは勘弁して欲しい」という商談はどのようなものですか?

「注文書を書いたあとに再度値引き交渉を仰るお客様」です。値引き額が増えてくるにつれて、マネージャーや店長決裁など、必然的に「上にお伺いを立てる」ことになります。さすがにこの光景をお客様にお見せすることはできませんが、ドアの向こうでもかなりシビアな社内間の戦いが繰り広げられているのです。

「ここまで値引きすればサインしてくれますから」とようやく上司の了承を得て、ようやく注文書にサインしていただく…。お客様にとっては心躍るときだと思いますが、こちらにとっては安堵の瞬間でもあるのです。これで一安心…かと思いきや、注文書にサインしていただいたあとにさらに値引き交渉を仕掛けてくるお客様がいらっしゃいますが、これはセールスマンとの信頼関係にひびが入りかねない禁じ手だと、この機会にご理解いただきたいというのが本音です。

なぜなら、担当セールスだけでなく、その上司や店長にもネガティブな印象を与えかねないからです。さらには、後から電話で値引きの交渉するお客様もいらっしゃいます。そのときは得した気分になるかもしれませんが、お客様の気がつかないところで、確実にセールスとの人間関係に悪影響をおよぼしているとご理解いただいてよろしいかと思います。

ズバリ「セールスマンに嫌われるお客様」とは?

一言でいえば「セールスマンを一人の人間として見ていない方」です。これはあくまで傾向として、ですが、予算的にいわゆる「カツカツ」でご購入いただいたお客様の方が、セールスに対する対応もシビアであるように思います。お忙しいのか、お気持ちに余裕があまりないのか、人に対する気遣いが感じられない方が多いような気がします。

「納車・引き取りはディーラーが行って当然」、「代車に文句をいう」、「こちらの都合をまったく考えてくれない」、「そもそもセールスやディーラーを信用してくれていない…」等々。いまだに「お客様は神様」を信じて疑わない、またはそれが当然だといわんばかりの方でしょうか。ご自分の都合や価値観(固定観念)を押しつけてくる方は、どのディーラーに行っても嫌われてしまうと思います。

それから、以前に比べるとかなり改善されてきているとはいえ、輸入車ゆえの故障が完全に払拭されたわけではありません。日本車から輸入車に乗り換えたお客様によくあることなのですが、「前に乗っていた●●●●(日本車名)より、高くていいクルマが壊れるとはどういうことだ!」とお叱りを受けることもあります。お気持ちはもっともなのですが、日本車同様、輸入車も高額になればなるほど複雑なシステムが組み込まれています。装備が増え、複雑になることに比例して、故障要因も増えてくるのです。

これがなかなかご理解いただけないケースがあり、正直苦労しています。故障しないという点においては、日本車は最高かつ最強です。それが低価格の軽自動車であっても同様という点は本当に素晴らしいと、この仕事をしていて改めて思います。

では、輸入車ディーラーのセールスにとって「いいお客様」とは?

「きちんと話しを聞いてくださる方」です。長年、輸入車を乗り継いでこられた方は、故障要因に対する説明にもきちんと耳を傾けてくださるように思います。

事実、ご納車されてから私たちセールスマンやディーラーと本当のお付き合いがスタートするのです。商談中は「お見合い期間」なんです。ただ力関係でいえば、お客様に選択肢があります。ご自身で会社を興され、何人も社員を雇って経営されている方、いわゆる社長様や社会的に地位のある方の細やかな気配りに感動することもしばしばです。こういう方は無理難題を押しつけてくることが少ないように感じます。値引き交渉もスムーズで、基本的に1,2回でまとまることが多いです。社会的に地位のある方は、そのあたりの立ち振る舞いをわきまえていらっしゃるように感じます。いわゆる「コミュニケーション能力の高い方」なのだと思います。だからこそ、人の心を掴み、いまの地位を得たのではないでしょうか。

故障しない、維持費が安い日本車がこれだけ街に溢れ、さまざまな選択肢があるなかであえて輸入車を選ぶ。きっと日本車では得られない「何か」を求めていらっしゃるのだと思います。単にクルマを売るだけではなく、輸入車がある暮らしのご提案を含めてセールスしているのだという自負があります。ディーラーの店内は、メーカー本国で決められた細かい規定に則り成り立っています。その雰囲気を味わっていただくことも輸入車との暮らしのひとつなのです。

…ひとつ、忘れていました。「いいお客様とは?」ですが、他のメーカーに浮気せず、さらにはご友人などを紹介してくださる方でしょうか。そんな方が一人でも増えるよう、また輸入車の魅力をより多くのお客様に伝えられるように、私もさらに精進しなければ…と日々頑張っています。

ブランドや価格に関係なく、大切なのは「人と人とのつながり」

私が心掛けているのは「ブランドと担当セールスである私のファンになっていただくこと」です。クルマが素晴らしいとしても、セールスがいい加減な対応をしていては他ブランドにお客様を奪われてしまいます。そのためにも、愚直なまでにお客様と信頼関係を築くための努力は惜しまないつもりです。私のセールスマンとしてのキャリアは決して長いものではありませんが、大切なのは「人と人とのつながり」という持論は、年齢やキャリアを重ねても変わらないように思います。

[ライター・撮影/江上透]

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