現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「東京モーターショー2017」総括、言うほど悪くない? ショーウォッチャーはこう見た

ここから本文です

「東京モーターショー2017」総括、言うほど悪くない? ショーウォッチャーはこう見た

掲載 更新
「東京モーターショー2017」総括、言うほど悪くない? ショーウォッチャーはこう見た

地盤沈下? 視点を変えれば実に充実

「東京モーターショー2017」が10月27日(土)から11月5日(日)の日程で開催(一般公開)され、77万1200人もの来場者が2年に一度の、国内最大の自動車ショーを楽しみました。

「東京モーターショー2017」一般公開始まる 会場を彩るコンパニオンの様子は?(写真41枚)

 ただし、今回の東京モーターショーは、アメリカ、イタリア、イギリスの自動車ブランドが不参加。ドイツとフランスからの参加はあったものの、それらのワールドプレミア(世界初公開)はゼロ。会期中に2回あった週末も、初回に台風が直撃してしまったことで、来場者数は前回2015年の81万2500人に届かず。バッドニュースだらけで、「東京モーターショーの地盤沈下」「低予算の手抜きショー」「つまらない」などといったネガティブな意見が数多く出てしまったようです。

 しかし、年間3回から4回、世界のモーターショーを見て回っている筆者(鈴木ケンイチ:モータージャーナリスト。今年はデトロイト、上海、フランクフルトを取材済み)のようなモーターショーウォッチャーからすれば、それほど悪いショーではありませんでした。

 むしろ、今回は、テーマがハッキリしていて見ごたえがあったショーでした。テーマとは世界の自動車業界のトレンドです。それは「電動化(EVやハイブリッド、FCVなど)」「知能化(自動運転技術やAI技術など)」「コネクテッド」です。また、2年前の排気ガス不正発覚の後、EVへの注力を露わにしたドイツからの「EVシフト」という流れもあります。これらトレンドに対して日系ブランドはどのように応えたのか、そうした視点から見れば、今回の「東京モーターショー」は非常に興味深いものであったのです。

 ちなみに、数年前までの世界のトレンドは「SUV」であり、「どこのブランドから、どんなSUVが出た」という話に終始していました。それを考えれば、現在のトレンドはもっと技術範囲も視野も大きく、ウォッチャーとしての興味もさらにそそります。

トレンドに乗ったのは日産と三菱とホンダ

 世界のトレンドにすっかり乗ったのが日産と三菱自動車、そしてホンダです。

 日産は自動運転技術を搭載したクロスオーバーEVのコンセプト「IMx」。三菱自動車からは、AI技術を搭載したクロスオーバーEVのコンセプト「e-EVOUTION」が出品されています。どちらも、ルーフのシルエットは流麗でクーペのよう。ちなみにアウディのAI搭載EVコンセプト「Elaine」もクーペライクなクロスオーバー。しかも、3社のブース配置は通路を挟んで向かい合わせ。トレンドど真ん中といった景色が楽しめました。

 ホンダは、「フランクフルトモーターショー(IAA)」で発表したEVコンセプト「アーバンEVコンセプト」と、その派生のスポーツモデル「スポーツEVコンセプト」を出品。もちろん自動運転技術が搭載されています。また今回、ホンダは「アーバンEVコンセプト」を2020年に日本に導入すると発表しています。「EVシフト」に合流する姿勢をホンダは見せてくれたのです。

独自路線を見せたマツダ、スバル、スズキとダイハツ

 世界のトレンドとは距離を置き、デザインコンセプトを出品したのがマツダとスバルです。マツダは次世代の自車デザインを示唆する「VISION COUPE」。スバルは未来のスポーツセダンをイメージさせる「VIZIV PERFORMANCE CONCEPT」です。特にマツダのデザインコンセプトは、前回の「東京モーターショー」と同様に非常に評価が高かったようで、あちらこちらで「格好良い」という声を聞きました。

 スズキは「XBEE」と「スペーシア」という2台の量産直前のクルマを出品。2018年1月の、スズキ恒例の初売りの目玉となることでしょう。

 ダイハツは5台ものコンセプトを出品。特に人目を引いたのは1960年代のダイハツの名車「コンパーノ」を現代に復刻させるコンセプト「DN COMPAGNO」。非常に夢のあるクルマです。

 マツダ、スバル、スズキ、ダイハツは、正直、会社の規模が小さいため、「電動化」「知能化」「コネクテッド」を自社だけで追及するのは無理があります。「それならば、別の方法で!」という出展でしたが、それはそれで面白い内容だったと思います。

日本を代表してトヨタがアピールしたのは

 トヨタのブースは、ボリュームも内容もたっぷり。新たに立ち上げたスポーツブランドであるGRを並べたエリアもあれば、「センチュリー」や「クラウン」、「JPNタクシー」といった新しい量産モデルもあります。さらにEVコンセプトである「Concept-愛i(コンセプト・アイ)」シリーズにFCV(燃料電池車)コンセプトの「FINE-Comfort Ride」とFCVバスの「SORA」。いろいろありすぎて、総花的にも見えてしまいます。

 しかし、ディディエ・ルロワ副社長が登場したプレスカンファレンスを要約すると「トヨタは電動化/知能化/コネクテッドというトレンドもおさえる。EVの技術は持っているし、次世代に向けてちゃんと準備はしている。ただし、日本の大方針であるFCV(燃料電池車)には、力を注ぎ続ける」というものでした。プレスカンファレンスに豊田章男社長ではなく、フランス人の副社長が登壇したのは、欧州へのアピールを優先したからとか。確かに2015年のイチロー選手と章男社長の日本語でのかけあいプレスカンファレンスは、欧州の記者に興味を抱いてもらえなかったことでしょう。それだけ今回は、欧州へのアピールを真剣に考えていたのでしょう。

 世界のトレンドに対する、それぞれのメーカーの対応と考えが楽しめたのが、「東京モーターショー2017」でした。ちなみに10日間で77万人の来場者数は、それほど悪くない数字だと思います。9月にドイツで開催された「フランクフルトモーターショー」ですら、動員は10日間の開催で81万人。「東京モーターショー」の来場者数は、それほど見劣るわけではないのです。

 それに1日あたり10万人も来場すると、人が多すぎて展示車両をまともに見ることもできません。主催者の立場からすると、来場者数は多い方がよいでしょうが、見に行く立場からいえば、今くらいが限界なのでは。「これ以上、混んでいるショーには、あまり行きたくないな」というのが正直なところです。

【写真】乗りものニュースでもっとも読まれたTMS記事は…?

こんな記事も読まれています

対向車のライトやミラーの反射を軽減!夜間運転用「ナイトイエローレンズ」発売
対向車のライトやミラーの反射を軽減!夜間運転用「ナイトイエローレンズ」発売
グーネット
フィアット「500X ブレッザ」150台限定で発売 電動開閉式ソフトトップ採用
フィアット「500X ブレッザ」150台限定で発売 電動開閉式ソフトトップ採用
グーネット
週末を遊びつくせ!2024年のスーパー耐久24時間レースは”オールナイトFUJI“
週末を遊びつくせ!2024年のスーパー耐久24時間レースは”オールナイトFUJI“
グーネット
マットブラック仕様がクール!ハイエースのカスタムモデル 年間20台上限で販売スタート
マットブラック仕様がクール!ハイエースのカスタムモデル 年間20台上限で販売スタート
グーネット
キモはタイヤメンテナンスにあり?! 走行距離が少ないクルマは危険だぞ……クルマの点検費用を安く抑えるコツ3選
キモはタイヤメンテナンスにあり?! 走行距離が少ないクルマは危険だぞ……クルマの点検費用を安く抑えるコツ3選
ベストカーWeb
中古車の見えない部分をピピッと診断!「グー故障診断」をまるっと解説!
中古車の見えない部分をピピッと診断!「グー故障診断」をまるっと解説!
グーネット
ポルシェ「カレラT」に乗ってスッピン性能を楽しむ! MTで操りたいマニア殺到の「911」とは【東京~大阪試乗】
ポルシェ「カレラT」に乗ってスッピン性能を楽しむ! MTで操りたいマニア殺到の「911」とは【東京~大阪試乗】
Auto Messe Web
メルセデス・ベンツ「GLA180」新型パワートレイン搭載 高性能モデルも追加
メルセデス・ベンツ「GLA180」新型パワートレイン搭載 高性能モデルも追加
グーネット
日産「エルグランド」仕様変更 2つの装備加わり安全性能アップ
日産「エルグランド」仕様変更 2つの装備加わり安全性能アップ
グーネット
「印象ダウン」なATと快適性 新名称で再出発の韓国ブランド KGMトーレスへ試乗
「印象ダウン」なATと快適性 新名称で再出発の韓国ブランド KGMトーレスへ試乗
AUTOCAR JAPAN
黄金のスワンボートからスーパーカーまで!「日本ボート・オブ・ザ・イヤー2023」のバラエティに富んだ会場を紹介します【吉田由美のCCL】
黄金のスワンボートからスーパーカーまで!「日本ボート・オブ・ザ・イヤー2023」のバラエティに富んだ会場を紹介します【吉田由美のCCL】
Auto Messe Web
ポルシェFE、ネオンサイン”煌めく”ピンク色の東京E-Prix特別カラーリング公開。ウェーレイン&ダ・コスタ「東京の街にピッタリ!」と大絶賛
ポルシェFE、ネオンサイン”煌めく”ピンク色の東京E-Prix特別カラーリング公開。ウェーレイン&ダ・コスタ「東京の街にピッタリ!」と大絶賛
motorsport.com 日本版
常に独創的なプジョー9X8のカラーリング。『ライオンの群れ』模した最新リバリーはアパレル展開も
常に独創的なプジョー9X8のカラーリング。『ライオンの群れ』模した最新リバリーはアパレル展開も
AUTOSPORT web
見れば納得! めちゃくちゃ注目される「教習車」なぜ誕生? 「学べる」ワケは?
見れば納得! めちゃくちゃ注目される「教習車」なぜ誕生? 「学べる」ワケは?
くるまのニュース
新型Eで4WDでディーゼル希望なら一択! メルセデス・ベンツE 220 d 4マティック・オールテレイン
新型Eで4WDでディーゼル希望なら一択! メルセデス・ベンツE 220 d 4マティック・オールテレイン
AUTOCAR JAPAN
スズキの「4.4リッター“V6”搭載モデル」登場! 最高出力350馬力の“最強”仕様! スズキ最大エンジン搭載の「DF350AT」とは
スズキの「4.4リッター“V6”搭載モデル」登場! 最高出力350馬力の“最強”仕様! スズキ最大エンジン搭載の「DF350AT」とは
くるまのニュース
トヨタ・ランクル250《先読み購入ガイド》
トヨタ・ランクル250《先読み購入ガイド》
グーネット
愛車の履歴書──Vol33.宅麻伸さん(後編)
愛車の履歴書──Vol33.宅麻伸さん(後編)
GQ JAPAN

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

153.0182.5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1.0294.0万円

中古車を検索
スペーシアの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

153.0182.5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1.0294.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村