新型になり3ナンバーになったフォルクスワーゲンのポロ。今年8月に欧州での発売が始まり、日本導入は来年春ごろといわれる期待のニューモデルだ。ポロといえばゴルフよりコンパクトでキビキビした走りも魅力的だったが、時代に合わせていよいよポロも3ナンバーになった。そこで気になるのが新型ポロがゴルフを超えてしまっているのでは? という疑問。渡辺敏史氏の海外試乗記を通じて新型ポロのインプレッションをお届けしよう!!
文:渡辺敏史/写真:フォルクスワーゲン
新型スイスポはターボになってもコンパクトスポーツのお手本だ!!
ベストカー2017年11月10日号「新型ポロはゴルフを超えたか」
■新型ポロはBセグメント自体の脅威になるかも!?
VWにとっては新興国を含めた世界のマーケットで礎を築く中核車種と位置づけられるポロ。ここ日本でも月1000台前後をコンスタントに売るなど、コンパクトカーの標準的な選択肢となっている。そのポロが8年ぶりのフルモデルチェンジを受け、来年前半にも上陸する。日本のユーザーが最も注目するところはそのサイズかもしれない。
これまでのポロは基本設計年次の旧さもあってか寸法的には現行フィットとほぼ同じ、全長3995mm、全幅1685mm、全高1460mmと、5ナンバー枠内に収まっていた。しかし、この間に世界的にはBセグメントを取り巻く環境が変化し、今ではひと昔前のCセグメントに迫るサイズのライバルも多数見受けられる。
が、ポロとしてはVWの金看板であるゴルフの領域に、やすやすと踏み入れるわけにはいかない。結果としてそのサイズは全長4053mm、全幅1751mm、全高1446mm、ホイールベース2564mmに収まった。これはトヨタアクアよりも全長が3mm長く、全幅が56mmワイド、そのいっぽうで全高は9mm低い。現在のBセグメント水準においては、ほぼ中央値だ。
いっぽうゴルフと比較すると新型ポロの全幅1751mmは5代目ゴルフの1760mmに近いが、さすがに現行7代目ゴルフの全長4265mm、全幅1800mm、全高1480mmよりはひと回り小さい。新型ポロのプラットフォームはゴルフやパサートにも用いるMQBモジュールをBセグメント用にリファインしたもの。搭載されるエンジンはEA211系の1L3気筒をボトムに、ディーゼルを含む9種類が用意される。日本仕様は当面、コンフォートラインとハイラインの2グレード構成となり、エンジンはともに95ps/17.9kgmを発揮する1L3気筒ターボ、それに乾式クラッチの7速DSGの組み合わせとなる予定だ。
装備面での最大の特徴は先進運転支援デバイスの充実だ。被害軽減ブレーキは歩行者検知機能付となったほか、ACCは手動パーキングブレーキながらゼロホールドを備えた全車速追従型に進化、サイド&リアブラインドの警報および衝突抑止機能、パーキングアシストなども加えられ、Bセグメントとしてはトップクラスの内容となった。
ボディサイドのキャラクターラインはその生産・組付け精度を見せつけるかのようだ。内外装の作り込みの緻密さもライバルを圧倒する勢いの新型ポロは、車寸を見栄えだけでなくしっかり室内空間の拡大にも使っていて、特に前後席間や荷室はその広がりを実感できるはずだ。
■乗り味は8年分の進化をヒシヒシと感じる
そしてその乗り味も前型に対して、8年ぶんの進化をきっちり感じさせてくれる。低中速域ではトーションビームサスの癖ともいえる横方向の揺すりに加えて細かな上下動もしっかり抑えられており、常速域でのライド感はBセグメントとしてはみごとにフラットだ。そこから高速域に至るまでは上屋の風切り音も小さく、187km/hと発表されている最高速付近まで接地感や直進性にまったく不満はない。動的な資質はかぎりなくゴルフの廉価グレードに近いところが確保されている。
95psの動力性能は必要にして充分といったところだろうか。0~100km/h加速は10.8秒と、このクラスとしては標準的なものだが、ターボ化によるトルクの厚さは特に2000rpm前後の実用域で実感することができる。そしてバランサーレスの3気筒としては低中回転域での振動の少なさは特筆すべきだろう。が、高速での合流など高回転域を多用する場面ではさすがに微振動が掌に伝わることもある。
また、高速巡航時はロードノイズが若干大きめにキャビンに響くなど、さすがにゴルフ同然とはいかないところがあるのも確かだ。とはいえ、その総合力がBセグメントの常識を塗り替えることは間違いない。新型ポロはその価格設定次第では、ライバルにとって先代以上の大きな脅威となるだろう。
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