ハイブリッドシステムはよりコンパクトかつ軽量化
新型カムリには新開発のパワーユニットが搭載されることとなった。従来モデル同様、日本仕様ではハイブリッドエンジンのみとなるが、プラットフォームと同時進行で開発が行なわれたこともあり、出力特性や燃費性能はもちろん、コンパクト化や静粛性向上、振動低減など、エンジンに求められるさまざまな性能要件を大幅に向上させている。
【開発陣に直撃】新型トヨタ・カムリのデザインは「新しいカムリ」じゃなく「理想のセダン」
新開発の2.5リッター4気筒エンジン「A25A-FXS」は、ストローク/ボア比が約1.2となるロングストローク型。バルブ挟み角を41度に設定し、吸気ポートをストレート化することで高効率化。さらに直噴インジェクターをマルチホールタイプとし、タンブル流方向に合わせ、最適な角度とタイミングで燃料を噴射することで燃焼室内でのタンブル効果を高め、高速燃焼を実現。ハイブリッド仕様での熱効率を41%に高めている。ハイブリッドシステム最高出力は155kW(211馬力)を発生。
ハイブリッドシステムは「THS2」。2モーター機械分配式のトランスアクスルは、モーター&ジェネレーターとリダクションギヤの回転軸と並行配置することで、従来のカムリに搭載していたものに比べ、全長(搭載方向では横幅)を約30mm短縮。モーターは小型化され高速型となり、これによりハイギヤードでの駆動が可能になり、高い実効トルクを引き出しつつ、燃費を向上させることに成功している。
またパワーコントロールユニットは、10%の小型化および20%の軽量化により、トランスアクスルの真上に配置することが可能になった。モーターの小型化も合わせると、エンジンも含めたパワートレイン全体で大幅なコンパクト化と30%の軽量化を実現している。TNGAでは車両全体での低重心化がコンセプトとなっているが、パワートレインのコンパクト化、バッテリーの小型化(11%)&リヤシート下への配置も、これに貢献している。
トランスミッションは電気式無段変速機だが、今回、新たに「シーケンシャルシフトマチック」を搭載。6速のマニュアル操作(+/-)により、アクセル操作に対する高い応答性が得られるとともに、エンジンブレーキの作動力を選択できるようになった。
ハイブリッドシステム全体の性能向上により、燃費性能は28.4~33.4km/Lを実現。燃費性能の大幅な向上は、エンジン、ハイブリッドシステム、モーターといった各パートごとの進化によりもたらされた。エンジンをロングストロークのトルク型とすることでトランスミッションのギヤ比を高めに設定することができ、またモーターの高効率化と高出力化により、電力走行時の走行性能を高めることができるようになった(モーター走行のみでの最高速度は120km/hに設定されている)。
そして、これは数値としては表れない部分だが、ハードウェアとして進化したパワートレインのシステムをより高度に統合制御する技術の向上も見逃せない。燃費性能の高さとともに、スムースさや加速/減速操作に対する追従性など、ドライバビリティの点でも徹底的に性能追求が行なわれているのだ。
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