独自の車作りで他メーカーと一線を画すスバルとマツダ。ともに、いま最も勢いがあり、その“独自路線”によって、多くのファンを惹きつけているメーカーだ。
【関連記事】スバルとマツダにしかできない『今まで通りの車作り』
トヨタS-FRとかマツダRX-VISIONとかどうなった!? あのニュースの「その後」に迫る
共通点も多い両社だが、4WDといえばスバルのイメージが強い。いっぽうで、マツダは新世代4WD『i-ACTIV AWD』を投入し、これがなかなかの高評価を得ている。やはり4WDが優れるのはスバルなのか、それともマツダか。両社の4WDシステムの考え方は超対照的なのだった。
文:斎藤聡/写真:編集部、SUBARU、MAZDA
ベストカー2017年8月10日号
スバルの4WDは『アナログ的な作り込み』で世界トップ級
スバルのAWD(All Whell Drive=四駆)の完成度は世界的なレベルで優れているといっていい。乗用車用AWDに対するノウハウや車とのマッチング、完成度という点でスバルとアウディが世界の乗用車AWDの双璧といっていいのではないかと思う。
スバルのAWDの強みは愚直といいたくなるくらいユーザーを向いて車作りを取り組んでいるところだろう。
多彩なバリエーションを持つAWDもその表われといっていい。マルチモードDCCD、ビスカスLSD付きセンターデフ、VTD(不等&可変トルク配分電子制御AWD)、ACT-4(アクティブトルクスプリットAWD)、X-MODE付きACT-4の5種類を用意。
しかも、この多彩なAWDは、例えば氷盤路でドリフトの定常旋回をさせると、どのAWDシステムも(全車試したわけではないが)軽くハンドルを内側に切った状態でドリフトの定常旋回がバランスする。たぶん意図的にそうなるようにセッティングされているのだ。
AWDのハンドリングはこうあるべきという思想がちゃんとスバルにはあるのだ。システムによってハンドルを内側に切り込む度合いは多少違うが、まずカウンターステアは当たらない。
電子制御をまったく使っていないわけでないが、電子制御で操縦性を何とかしようとするのではなく、AWDのレイアウトと機械的なシステムによって基本性能を作っている。ある意味アナログ的な作り込みがなされているのがスバルのAWDだ。
スバルとは対照的!? 『電子制御を駆使した』マツダの新世代4WD
マツダはi-ACTIV AWDという、リアデフ直前に電子制御クラッチユニットを用いたAWDシステムを採用している。
システムとしてはFF車をベースにAWD化するのによく用いられているが、マツダのユニークな点は、さまざまなセンサーとDSC(横滑り防止装置)のブレーキ制御を組み合わせ、100対0から50対50までのトルク配分やブレーキによる車輪速制御を駆使して最適なトラクション、操縦性、燃費などを考慮しているところ。
例えば、坂道の具合やワイパーのオン/オフといった情報までセンシングしてAWD制御をしている。わりとポピュラーな4WDシステムの電子制御を積極的に使って性能を高めているのが、マツダの4WDに対するアプローチなのだ。
アナログなスバルとデジタルのマツダ 実力差は僅か
というものの、視点の置き方で4WD性能の評価は大きく違ってくる。今回は悪路走破性=4WD性能という観点で、というオーダーがあったので走破性、トラクション性能を重視して評価をしてみることにした。
マツダのi-ACTIV AWDと直接的なライバルは、スバルのVTD、X-MODE付きACT-4、ACT-4だろう。
では、マツダi-ACTIV AWDの実力はというと、X-MODE付きのACT-4とほぼ同程度の性能だと思う。
トラクション性能だけを見るとスバルのほうが優位だと思うが、滑りやすい平たん路での曲がりやすさ、発進の容易さは限界領域でないかぎり、マツダもスバルに負けていない。
ただ、4輪の駆動トルク制御はマツダのほうが緻密だ。ここまで電子制御でいろんなことができるようになると、場面によってはシステムの優秀さをプログラムが凌駕する場面も出てくるということだ。
総合的に見ると、スバルの勝ち。しかし、電子制御を駆使した新世代の4WDは、作り方によっては侮れないパフォーマンスを発揮する。マツダのi-ACTIV AWDはその最右翼だろう。
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
併走するクルマへの目潰しでしかないのにナゼやる? 斜め後ろに「白色ライト」を点灯して走行するトラックは法令違反だった!!
アストンマーティン代表、ストロールへの裁定は厳しいと語る「しっかりと理解されないまま判定が下された」/F1第5戦
イタリアーンないすゞ車?! 当時の国産車の倍もしたのにヒットしたクルマ いすゞ117クーペがオシャレすぎた!
クルマ愛ゆえの辛口? 自動車評論家「徳大寺有恒」没後もうすぐ10年、モータージャーナリストの私が今でも尊敬し続けるワケ
もしや未来のレジェンドか!?!? 次世代電気自動車「Honda0(ゼロ)シリーズ」が衝撃 しかもほぼそのまま市販モデルになるってマジか
みんなのコメント
この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?