2016年に続いて2017年上半期も増加
「クルマ離れ」という言葉を目にする機会は少なくなく、日本の自動車市場は縮小傾向にあると感じている人は多いだろう。たしかに、1990年代に770万台を超える新車を売っていた市場が、直近2016年では500万台を切っているのだから傾向としてはシュリンクしているのは間違いない。しかし、そのなかで輸入車のセールスは伸びているという話もある。
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たしかに2016年の実績を見ると、四輪乗用車の新車販売台数は414.6万台で、前年比マイナス1.6%(普通車10.0%増、小型四輪車2.9%減、軽四輪車11.0%減)となっている。一方、輸入乗用車は4.6%増の32.8万台。日本市場において存在感を増している。
さらに、2017年上半期(1~6月)の輸入乗用車(国産ブランド除く)の実績を見ても約14.5万台で前年比3.8%増と勢いをキープしているように見える。こうしたトレンドを生み出しているのは景気回復と格差拡大といった2つの四字熟語がヒントなる。2016年の実績で輸入車と普通車が伸びているのに対して、小型車(5ナンバー)と軽自動車が減少しているのは、そうした格差を数値として感じさせる。
そして、この数字を見ると、輸入車ブランドだけが伸びているのではなく、国産も含めて比較的高価格帯の商品が動いていることがわかる。もっとも、輸入車についてはフォルクスワーゲンのディーゼルゲート(欧米におけるディーゼルエンジンでの不正)におけるブランドイメージの毀損から、日本での販売台数が減少していたので、2016年の4.6%増というのは3年ぶりの増加であり、けっして順調な流れにあるわけではない点は留意したい。
また、2017年上半期は着々と販売を伸ばしている輸入車だが、2017年7月単月での数値を見ると、外国ブランドの乗用車の販売台数は20,924台にとどまり、前年同月比3.7%減となっている。メルセデスやBMWといったトップ2は前年比から若干だが伸びているが、フォルクスワーゲンやジープ、ポルシェにジャガーといったブランドが前年比で大きく落としているのが全体としてのマイナスにつながったといえる。
単月の販売については、モデル入れ替わりのタイミングなどもあるので、7月だけを見て傾向を判断することはできないが、輸入車を買おうと考えるユーザー層にある程度行き渡り、市場の拡大が減速していることが予想される。
さらに、欧州からは特定一社に限らないディーゼルゲートの可能性についての報道も聞こえてくるが、その結果如何では、輸入車全体がブランド価値を落としてしまう可能性も否定できない。好況感もあってセールスが好調だった輸入車だが、現在の高価格帯の商品ラインアップといったスタイルでは早晩限界を迎えることも考えられるだろう。
余談だが、2016年末段階での国内四輪保有台数は約7775万台で、前年より0.4%ほど増えている。クルマ離れという言葉は「新車が売れない」という意味であって、保有台数は僅かながら右肩上がり傾向にあることは覚えておきたい。
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