クルマを降りることなく葬儀に参列
日本初という、葬儀場のドライブスルーシステムが2017年内にも登場する予定です。
クルマのドア、「バー型」増えたワケ 利便性やデザインだけでない、その背景
システムが導入されるのは、長野県上田市にオープン予定の葬儀場「上田南愛昇殿」です。運営会社である冠婚葬祭愛知グループ(長野県上田市)の荻原政雄社長に、そのシステムの概要や導入の背景を聞きました。
――ドライブスルーの葬儀場というのは、どのようなものなのでしょうか?
ファストフード店のドライブスルーのように、クルマを降りることなく葬儀に参列できるシステムです。専用レーンを1台ずつ進み、受付台に備えられたタブレット端末を通じて参列者のお名前やご住所を登録いただき、香典をお預かりします。自動焼香システムにより、その場で焼香することも可能です。喪主をはじめとする場内の参列者は、その様子をカメラを通じてモニターで確認できます。
――なぜこのようなシステムを導入するのでしょうか?
たとえば車いすで生活されているお年寄りが、クルマを降りることなく葬儀に参列できるようにするためです。こうした方にとって葬儀への参列は大変な労力を要し、「人の世話になるから葬儀に行けない」という声を多く聞きます。
また、葬儀はお昼や午後の早い時間帯に行われることが多く、忙しい方にとっては来にくいものですので、健康な方にもニーズがあるでしょう。喪服に着替える時間がなく、平服でも「顔だけは出したい」と思われる方も多くいらっしゃいます。こうした方々も参列しやすくする意図があります。
「ここまで簡素化していいの?」
――葬儀の「簡素化」ということなのでしょうか?
はい。私も葬儀に関わる者として「ここまで簡素化していいのか」という気持ちもありましたが、少子高齢化によって葬儀参列者は全体的に高齢化しており、スタイルも変化しています。それに、喪主さんは「あの人は(葬儀に)来た、あの人は来ていない」ということをよく覚えているものです。それは、行きたくても行けないという方にとっても心残りになりますので、ひとりでも多くの方に参列いただくことが重要だと考えています。
――どのような葬儀での利用を想定していますか?
特にどのような葬儀で、ということはありません。家族葬から社葬まで、広く活用していただければと思っています。
※ ※ ※
体の不自由な人にとっては、クルマの乗り降りはもちろん、受付や焼香の列に並ぶことも大変だといいます。荻原さんは、このドライブスルーシステムを利用することで、参列にかかるもろもろの手間は「10分の1程度になるのでは」と話します。
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